【CEDEC 2020】ユーザーの「困りごと」を能動的にキャッチアップ! Twitterを活用したグリーのアクティブサポートとは


コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、9月2日~4日の期間、国内最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータ・エンターテインメント・デベロッパーズ・カンファレンス 2020」(CEDEC 2020)をオンラインで開催した。

本稿では、9月4日に行われた講演「Twitterカスタマーサポートでお客さまの疑問に即対応!アクティブサポートの魅力と今後の課題」についてのレポートをお届けしていく。

本講演には、グリー 開発本部 Customer & Product Satisfaction部の陶山瑛子氏、山中貴登氏、西村順矢氏の3名が登壇。『SINoALICE』『シンフォギアXD』におけるアクティブサポートの導入例と、今後の課題について紹介した。


陶山瑛子氏
グリー株式会社
開発本部 Customer & Product Satisfaction部
アソシエイトマネジャー


山中貴登氏
グリー株式会社
開発本部 Customer & Product Satisfaction部


西村順矢氏
グリー株式会社
開発本部 Customer & Product Satisfaction部


まずは陶山氏がアクティブサポートの概要を説明。

アクティブサポートとは、メールサポートやチャットボットなど、ユーザーからの問い合わせに答えるカスタマーサポートとは異なり、TwitterなどのSNSからユーザーが困っていることを能動的にキャッチアップして積極的に問題解決を行う、サポートの新しい形であるという。


▲ゲームタイトルのハッシュタグなどから問題を検知して、カスタマーサポート側から声をかけることで能動的に解決に導いている。

また、アクティブサポートを行う際は、ゲームタイトルごとの公式アカウントとは異なるカスタマーサポートの専用アカウントや専用ハッシュタグを活用していることが紹介された。


▲公式アカウントではイベントやキャンペーンなど、ユーザー全体に向けたタイトルの情報を発信。サポートアカウントではサポートであることを全面に出してユーザーからの問い合わせを受け付けることを目的とするなど、それぞれの役割を明確にしている。

オペレーションは主に「リプライ対応」と「DM対応」の2種類を行っている。

リプライ対応では、Twitter上で指定の文言を検索して一覧でリアルタイム表示できる「Tweetdeck」を使用。こちらのツールで専用ハッシュタグをはじめ、サポートしているゲームタイトル、バグ、エラーなどのワード検索を活用することで監視を行っている。そこから困っていることや障害を能動的に検知して専用スタッフが直接ユーザーのツイートにリプライして問題を解決している。なお、こちらの対応ではユーザーが公開しているツイートに対して回答ができるため、問題の解決方法を全体に公開状態にできるというメリットがある。

一方、DM対応では、ユーザーからサポートアカウントに届いたDMに専用スタッフが返信している。ユーザーのプレイデータを聴取し、詳細をヒアリングすることが可能となっているため、より細かい調査依頼や個別事象にも対応できるようになっている。


▲従来のメールサポートとの比較を公開。スピード感や気軽さ、ツール費用、柔軟性といった点で優れていることが分かる。また、画像や動画を添付をしやすいのも強みのひとつとなっている。

ここからは、『SINoALICE』『シンフォギアXD』での導入事例を紹介。




同社では、このサポートアカウントを2018年3月より試験運用を開始。認知を高めるためにサポートアカウントからの自発ツイートを開始したり、サーベイ取り入れた結果、現在2434のフォロワーを獲得している。



次に、山中氏がアクティブサポートのメリットに言及。アクティブサポートには、次の3つのメリットがあるという。

●回答を全ての人に共有できること
通常の問い合わせ対応はユーザーとのクローズドなコミュニケーションとなるが、アクティブサポートでは公開状態の中で問題を解決することで、問い合わせした方とSNSで繋がっている全ての人に対して情報を発信することができる。また、問い合わせした人がフォロワーでなくとも、同じような状況を検索をすることで情報が引っかかるため自然に情報が拡散していく。



これにより、個別でカスタマーサポ―トに問い合わせる必要がなくなることから、メールサポートへの問い合わせ数抑制にも繋がっている。


▲メールサポート数は昨年と比較して26.7%の削減に成功している。

●解決のスピードUP
アクティブサポートでは、問い合わせを待つのではなく、カスタマーサポートからキャッチアップするのが基本となるため、ユーザーが問い合わせを悩んでいる時間がなくなることがメリットになる。

また、メールサポートではメール受信から内容の切り分け、回答案の作成など一連のオペレーションのステップを踏むのに対して、アクティブサポートではツイートへの回答文を考えてリプライする工程のみとなるため回答までのリードタイムが短くなる。



▲解決までのスピードを上げることで、上記のような副次効果も生まれている。障害規模を早期把握できるのは、能動的に情報をキャッチアップできるSNSならではの強みが活かされている。

●分析のしやすさ
さらに、メールサポートと併用しているからこそ気付けたポイントとして、分析のしやすさを挙げた。メールサポートでは、一般的にCRMツールから情報を抽出してレポーティングするのに対して、アクティブサポートではマーケティングで使用されている汎用的なツールが分析しようできるため、わざわざレポーティングせずともツール上で情報の可視化や共有ができるという。



▲使用しているツールの一例も紹介。上記のツールを用いて工数をかけずに分析を行っている。

さらに、上記3つのメリットとは別に最大のメリットとして、ユーザーとのコミュニケーション手段として活用できることを挙げた。困りごとにリプライするだけでなく、ユーザーからの意見やポジティブなツイートにもリプライを行っているとの話だった。



▲ユーザーからの反応の一部も紹介した。

そのほか、SNS上での情報の資産化の効果やサービス改善のヒントを得るなど多角的な視野で効果を検証している。



最後に、西村氏より今後の課題についても語られた。

より多くの人のために活用してもらうためにも、サポートアカウントの認知向上については、まだまだ課題になっているとのこと。フォロワー数が増加する取り組みを継続させたり、インプレッション数やエンゲージメント率の向上が必要であると述べた。



また、ユーザーから提供されるデータにも限りがあるため、解決率や不具合の検知率についても課題があると西村氏は話す。しかし、これらの課題を解決することで不具合をいち早くキャッチしたり、SNSという投稿の利便性や気軽さからさらなる改善のヒントを得る機会が増えることとなる。



そのために現在トライしていることが以下の3点となる。


▲個別に発生した事象について、リプライではアカウント情報が他の人にも伝わってしまうため、問い合わせ窓口への誘導を実施している。その際、DMで予め本人確認をすることでメールサポートと同等のサポートが可能となった。

講演の最後に、アクティブサポートに関して大切にしているポイントをまとめて講演の締めとした。以下3つのポイントを意識しながら、引き続き身近に繋がれるユーザーサポートを目指していきたいとのことだ。



 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
 

CEDEC 2020

 
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グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
企業データを見る
株式会社ポケラボ
http://pokelabo.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ポケラボ
設立
2007年11月
代表者
代表取締役社長 前田 悠太
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