【ゲームアプリ調査隊】海外企業が9割を占めるストラテジーゲーム市場。なかでも人気急上昇中の『Age of Z Origins』を分析(提供:スパイスマート)


スマートフォンゲームの日々の運用とその効果をリサーチし、ゲーム関連企業へマーケティングデータを提供するSp!cemart(スパイスマート)。同社のサービス「LIVEOPSIS(ライブオプシス)」では、ゲームアプリの運用情報をいつでもウォッチできる「カレンダー」や、毎月発行しているレポートを提供している。

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本連載記事ではスパイスマート協力のもと、カレンダー機能を用いた、ランキング上位タイトルの直近のゲーム内施策を分析。今回は、レポートにも掲載された「ストラテジーゲーム調査」の中から、Age of Z Origins』のコアコンテンツやマネタイズなどを紹介。

   
(以下、Sp!cemartゲームアプリ調査隊より) 
 

【調査箇所】市場を賑わすストラテジーゲーム


 
■『Age of Z Origins』
提供:Camel Games Inc
リリース日:2018年10月25日

 
Social Game Info読者のみなさんは、国内ゲームアプリ市場のセールスランキングにて、ストラテジーゲームが常に上位にランクインしているのはご存知かと思います。以前、スパイスマートではセールスランキングトップ200にランクインしているストラテジーゲームを調査したところ、全部で17本該当しました(2020年10月調べ)。
 
さらに17本のうち9割以上が海外ディベロッパーのタイトルであり、ゲームの世界観は歴史(なかでも三国志)を題材にしている傾向がありました。現在は、積極的なデジタルマーケティングをはじめ、他ユーザーとの共闘・競争、やめ時を見失う豊富なコンテンツなど、国内のゲームユーザーからも広く支持されていることがうかがえます。
 
人気タイトルでは『マフィア・シティ-極道風雲』(提供:YOTTA GAMES PTE LTD)や『Rise of Kingdoms ―万国覚醒―』(提供:LILITH TECHNOLOGY HONG KONG LIMITED)、そして数少ない国内ディベロッパーから配信されている『三國志 覇道』(提供:コーエーテクモゲームス)などが挙げられます。
 
次いで、安定してセールスランキングの上位を維持しているのが今回紹介する『Age of Z Origins』です。本作は、ゾンビによって人類が滅亡寸前に追い込まれた世界を舞台とした、ゾンビストラテジーMMO。
 
ユーザーは部隊を編成してゾンビと戦いつつ、都市を再建して人類文明の再生を目指していきます。資源確保のためにゾンビの集まる場所に攻め入ったり、逆に侵攻するゾンビから都市を防衛したりすることもあります。他のユーザーと同盟を結ぶことで、協力しての施設拡張、都市の攻撃や防衛などが可能。
 
▲グラフィックは、3Dと2Dイラストの両方が用いられています。特に、重要キャラクターなどにはLive2Dのイラストや3Dモデルが存在。デザインは全体的に実写寄り。
 
▲編成できる部隊ユニットにも、3Dモデルによるアニメーションが用意されているのも大きな特徴。いわゆるモブキャラも育てたくなるような工夫がされています。
 
本作は2018年10月24日にAndroid版、その翌日にiOS版がリリースされました。リリース当初はそこまで目立った順位ではなかったですが、1年以上をかけて徐々にセールスランキングを上げ、現在は上位の常連に至ります。また、全世界ダウンロード数は2000万突破。
 
本稿では、『Age of Z Origins』のゲームコンテンツを中心に、なにが面白いのか、ほかのストラテジーゲームとはどういう箇所が異なるのかなど、施策よりもクリエイティブに関する内容を紹介していきます。
 
なお、今回紹介する内容の一部は、スパイスマートがゲーム企業向けに提供している「日本マーケットトレンドレポート(2020年11月号)」のストラテジーゲーム特集から抜粋しました。
 
▲レポートで紹介しているストラテジーゲームは、『Age of Z Origins』『マフィア・シティ-極道風雲』『Rise of Kingdoms ―万国覚醒―』『三國志 覇道』の4本。それぞれ基本情報からマーケティング、画面UI、育成・強化要素、課金・ショップ、ゲームサイクル、ユーザー評価などを取りまとめています。
 

【基本情報】タワーディフェンスなど独自の機能も

 
まずは基本情報について。リリース前のマーケティングでは、日本向けに行われたものはほとんど確認できませんでした。
 
Twitterの日本公式アカウント開設は2020年3月。確認できた一番古いプレスリリースがTwitter開設と同じタイミングだったことから、日本で本格的な売り込みを始めたのは、2020年2~3月あたりからだと思われます。
 
▲アニメ調にデフォルメしたキャラクターをTwitterのアイコンや投稿画像に使用したり、カタカナのタイトルロゴが存在したりと、日本向けのアプローチを積極的に行っています。
 
このころから、YouTubeなどで動画広告も見られるようになりました。内容は近頃の海外産ゲームでよく見られる、実際のゲーム画面などを使わない、あるいは実際にはできないことを見せるものが多かったですが、実際の内容に沿ったクリエイティブもいくつかは存在しました。
 
2020年11月時点でのマーケティング施策としては、YouTuberやVTuberとのタイアップがよく見られました。確認できた主なチャンネルでは、「犬山たまき / 佃煮のりおチャンネル」「Shizuka Rin Official」「クロネコの部屋」「しろくろちゃんねる」など。
 
▲YouTuberへ依頼したコラボ動画の内容としては、新規ユーザーを対象としたゲームの紹介からチャンネルの特色を生かしたものなど、ジャンルは幅広い。
 
続いてホーム画面のUIについてもまとめてみました。
 
▲自身の都市内で挑戦できる「市街地開放戦」に勝利すると、アイテムや経験値を得られるだけでなく、区画が解放されて建設できる施設の数が増加します。また、都市内にある統計ステーションから、星ランキングやサーバー内のさまざまなランキングが確認可能。
 
ゲーム内コンテンツでは、定番のショップやチャットをはじめ、ストラテジーゲームならではの採集、攻撃(他ユーザー含む)、都市探索などさまざまな要素があります。なかでも採集、攻撃、都市探索は、マップから対象を選択して、自身の都市で強化・編成した部隊を派遣する、本作のメインコンテンツのひとつでもあります。
 
選択した対象が無人かつ手つかずの施設ならばリスクなく物資を確保できますが、NPCや他ユーザーが陣取っている場合は戦闘に突入。勝利できればアイテムや経験値を得られる、PVP的要素を持つコンテンツです。
 
また対象を都市廃墟に設定すると、都市探索が可能。同盟メンバーと協力して、ウェーブごとに強化されるゾンビの群れを攻略することになります。なお、1日に探索できる回数は決まっていますが希少な強化素材なども手に入ります。
 
▲部隊は、施設で募集可能なユニットで編成します。施設を強化するごとに強力なユニットを募集可能となります。
 
そして、動画広告でも度々ピックアップされているソロ用のタワーディフェンスモード、こちらも本作のメインコンテンツのひとつといえるでしょう。内容は、ウェーブ制で押し寄せるゾンビやモンスターを、タレットや装置などの「防御塔」を設置して撃退するというもの。既定の数の敵が拠点に到達してしまうとゲームオーバーとなります。
 
アイテム消費はなく何度でも挑戦可能で、クリアするとアイテムや経験値を獲得できます。ステージは複数用意されており、都市の発展を進めると挑戦できるステージや装置の強化段階などが増えます。
 
▲難易度はさほど高くはないですが、レベルが上がるごとにクリアに工夫が必要となります。また、都市レベルを一定まで上げると高難度のハードモードが解放されます。
 
そのほか「治療室」というコンテンツでは、感染者である「Lucy(名前の変更可)」を定期的に実行可能な「レギュラー治療」や、特定のアイテムなどを使用して治療していきます。
 
治療のレベルが進むと1日に数回アイテムを入手できる「探索」が行えるようになるほか、戦力増加に利用できるゾンビ兵の生成、負傷兵を回復できる生化学病院などが解除されていきます。なお、Lucyには3Dモデルが用意されており、治療を進めると傷や感染部分が治っていくほか、一定の段階まで治療すると、 Lucyの信頼度を上げられるミニゲームが解除されます。

▲Lucyに関わるストーリーも用意されているなど、彼女の魅力を感じさせるコンテンツとなっています。
 

【ゲームの根幹】育成・強化要素とマネタイズ

 
ここからは、ゲームの根幹を担う「育成・強化要素」と「マネタイズ」に触れていきます。
 
まず育成・強化要素について、キャラクターに関しては「レベルアップ」と「指揮官スキル」のふたつがあります。レベルアップは、敵撃破後の経験値やアイテムを用いて行うもので、指揮官スキルはレベルアップなどで手に入るスキルポイントを消費して、スキルを習得できるものです。
 
指揮官スキルには、パッシブスキルとアクティブスキルの2種類があり、前者は常時効果が発動、後者は任意のタイミングで使用できますが、再使用にはクールタイムの経過が必要となります。指揮官スキルの取得画面はツリー方式になっており、戦争・発展のカテゴリに分かれています。手前のスキルを取得すると、奥にあるスキルが獲得可能になります。
 
都市に建設できる施設のひとつ「テクノロジーセンター」では、各種テクノロジーを物資と時間をかけて研究していくことで、都市や部隊の能力を底上げができます。
 
▲「指揮官スキル」と「テクノロジーセンター」の画面
 
開発はカテゴリが資源・発展・都市防衛・軍事の4つに分かれています。それぞれ別のツリーが用意されており、手前の研究が完了すると、奥にある研究に着手できるようになります。上記で解説した指揮官スキルに形式が似ていますが、こちらは物資と時間をかけてツリーを進めることになります。
 
本作のマネタイズは、有償アイテムのゴールドの販売です。ゴールドは主にガチャやショップなどで使用します。ゴールドのラインナップは以下の通り。
 
【ゴールドのラインナップ】
・ゴールド 有償150個(120円)
・ゴールド 有償750個(610円)
・ゴールド 有償1500個(1,220円)
・ゴールド 有償3000個(2,440円)
・ゴールド 有償7500個(6,100円)
・ゴールド 有償15000個(12,000円)

 
なお、サブスクリプション商品は週額と月額の2種類を販売。週額のものを購入するとポイントを取得でき、一定の段階までたまると得られる特典が増加。月額のものは、値段と内容が異なる2種類が販売されています。
 
そしてガチャでは、「通常募集」と「上級募集」の2種類存在し、どちらも「~募集令」というアイテムを消費して回せます。またどちらも10連募集をする際は、募集令9枚で可能。なお、募集令はクエストの報酬やパック商品の購入で手に入りますが、ゴールドで直接交換することはできません。以下は2種類のガチャの特徴です。
 
●通常募集…
・1回につきアイテム「通常募集令」を消費
・レアな欠片の排出率は低め
・1日3回まで無料(5分のクールタイムあり)
 
●上級募集…
・1回につきアイテム「上級募集令」を消費
レアな欠片の排出率は高め

 
 
基本的には副官の入手が当たりで、欠片は主にランクアップ時に使用します。通常募集でも最高レア度のパープル副官は排出されますが、1.6%と確率は低いです。
 

【今後】ストラテジー×タワーディフェンスの妙

 

今回は、スパイスマートがゲーム企業向けに提供している「日本マーケットトレンドレポート(2020年11月号)」のストラテジーゲーム特集から、『Age of Z Origins』の一部を抜粋しました。レポート内では、ゲームサイクルやユーザー評価なども掲載しています。ぜひ、ご興味がある方は下記の問い合わせページからご連絡ください。
 
さて、今回の記事を通して『Age of Z Origins』の魅力・強みの一端を伝えることができました。
 
ゾンビというテーマをベースに、タワーディフェンス要素とストラテジーゲームを合わせたことが特徴的な本作。なかでもタワーディフェンスモードは、「たまにプレイすると楽しい」という絶妙な立ち位置にいると感じました。都市の開発具合によって難易度が変わるため、毎回新鮮な気持ちで遊べることも魅力のひとつでしょう。
 
 
一方、ほかのストラテジーゲームにもあるような、古参・課金ユーザーによる新規ユーザー狩り問題は本作でも見受けられます。やはり長く遊ぶためには、ある程度の課金要素は求められるのかもしれません。とはいえ「同盟を組んだら解決した」「盟友ユーザーとのプレイが楽しい」などの意見もあるため、他ユーザーとのコミュニケーションがより重要となるゲームであることも確かです。
 
「日本マーケットトレンドレポート」では、売上・ダウンロードランキングや主要タイトルの運用データの総括・分析、注目のプロモーション事例や新規タイトル情報など、 定番情報に加え旬のテーマをピックアップしています。ぜひ、ご興味がある方はお問い合わせページからご連絡ください。
 

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■執筆 <株式会社スパイスマート>
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株式会社スパイスマート
http://corp.spicemart.jp/

会社情報

会社名
株式会社スパイスマート
設立
2015年7月
代表者
代表取締役 久保 真澄
企業データを見る
Camel Games

会社情報

会社名
Camel Games
上場区分
shibata
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