【イベント】コミュニケーション円滑化に役立つボードゲーム『ソロッタさん』先行体験会をレポート…リモートプレイ可能でステイホーム時代に即した作品に
ディライトワークスは4月20日、オンラインにて、4月21日に発売予定の新作オリジナルカードゲーム『ソロッタさん』のメディア向け先行体験会を実施した。本作は、21年度の新卒社員が制作を、ボードゲームデザイナーのカナイセイジ氏が監修を担当。
テーマは「気の合う人がわかるゲーム」と、プレイヤー同士のコミュニケーションを重視した作品となっている。本稿では、先行体験会の模様と、本作の制作に関わるディライトワークスの山中楓氏と小川卓也氏への質疑応答もあわせて、レポートをお届けする。
■オンラインでのプレイも可能な『ソロッタさん』はイベントのアイスブレイクにピッタリな作品に
『Fate/Grand Order』や『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』といった話題のスマホゲームを世に送り出す一方で、『The Last Brave』や『この天才科学者が首席になれないとでもいうんですか?』といった、数多くのボードゲームの制作にも積極的に取り組んでいるディライトワークス。
新卒社員の研修題材としてボードゲーム制作を扱うというユニークな社風で、2018年には協力型脱出ゲーム『CHAINsomnia~アクマの城と子どもたち~』、2019年にはギャングバトルゲーム『シブヤ ストラグル』をリリース。いずれもボードゲームファンからの高評価を得ている作品だ。
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そんなディライトワークスが制作するボードゲームの最新作『ソロッタさん』が、4月21日発売となる。21年度の新卒社員11名が制作に関わった本作のテーマは「気の合う人がわかるゲーム」と、プレイヤー同士のコミュニケーションを重視した内容。
プレイヤーの1人が本作を持っていれば、他のプレイヤーが必要な物は基本的には紙とペンのみと、プレイまでの敷居はかなり低い。さらには「ZOOM」や「Google Meet」を利用したリモートでのプレイも行いややすいなど、ステイホームの時代に即した作品となっている。
本作のルールは、ランダムに選定されたお題カードをゲームマスターが読み上げ、参加者が2~4つの選択肢の中から1つを選択していくという、シンプルなもの。お題のテーマは恋愛や友情、生活、仕事、お金など全部で7種あり、自分と同じ回答をしたプレイヤーを用紙にチェック。回答を繰り返す中で、自分の考え方と似ている相手を見つけられるというわけだ。
全部で10のお題が出題される中で、5問目と10問目には「クリティカルカード」と呼ばれる、個人の人生観が深く問われるような内容が用意されているのも面白いアクセントになっている。
●気の合う人がわかるゲーム『ソロッタさん』プロモーションムービー
体験会は、ディライトワークスのスタッフ、メディア関係者合わせて8名が参加。生活・仕事・ノンテーマ・クリティカルの4種類が出題された。生活では「疲れた心を癒すためにどれをする?」というテーマで、「かわいい動物(ペット)とたわむれる」「キャンプなどのアウトドアを楽しむ」「極上のコーヒー・紅茶を楽しむ」「適度な運動をしてシャワーを浴びる」という4つの選択肢の中から1つを選ぶことに。
▲お題の出題はカメラにカードを近づけるだけで済むため、手間がかからない。選択肢が決まったら、人差し指を立ててゲームマスターに合図を行うとスムーズだ。
一番多かったのが「極上のコーヒー・紅茶を楽しむ」という回答で、コーヒーに対する熱い思いや、コーヒーが美味しい喫茶店など、自然と会話が盛り上がっていく。中には社会人になって初めてコーヒーを口にしたという話も飛び出し、テーマは思わぬ方向へと転がり始めていき……。
このように、共通の考え方や趣味を持つプレイヤーを見つけたときの嬉しさは凄まじく、ついつい会話が弾んでしまう。筆者も思わぬ所で筋トレ仲間を発見することができ、1問目からテンションが爆上がりしてしまった。会話の起爆剤として、かなり有用な作品だろう。
選択肢を選んだプレイヤーが1人きりというパターンも多々あったが、それぞれの選択肢が飛びぬけて常識から外れている内容ではないため、気まずい思いをしてしまうこともない。選択理由を聞いている中でそのプレイヤーが持つ個性が際立ち、「もっとこの人の話を聞いてみたい」と興味を抱くキッカケにも繋がっていた。
▲どの選択肢を選んだのか、挙手して発表していく。お題について様々な意見が交わされ、非常に盛り上がる場面だ。
現場がほどよく盛り上がってきたところで、「クリティカルカード」によるお題が出題される。内容は「死ぬ日時と死ぬ理由、どちらを知りたい?」というもの。先ほどまでのテーマと打って変わってプレイヤー自身の死生観が問われる内容に、思わず考え込んでしまう一同。
参加者が思い思いの内容を口にしていく中、優柔不断な筆者は最後まで理由について回答ができなかった。あくまでもゲームであるため深く考え込む必要はないのだが、人によっては答えづらい内容もあるかもしれない。ゲームマスターは予め問題を選定しておくか、お題がハマらなければサラっと流す程度のスタンスでいるのが良いだろう。
とはいえ、回答しやすい問題が続く中、深く考えさせられる「クリティカルカード」を挟むことで、ゲームプレイに良いメリハリが生じていることは確かだ。体験会では残念ながら途中で時間切れとなってしまったが、10問目に再び登場するクリティカルカードを扱う時には参加者もすっかり打ち解けているはずで、お互いをより深く理解できるゲームプレイになっているであろうことを、容易に想像させてくれた。
初対面の際のアイスブレイクはもちろん、気の知れた友達と、家族での団らんなど、あらゆるシチュエーションに適した作品に仕上がっている『ソロッタさん』。持ち運びやすいコンパクトサイズになっているので、ボドゲ会などのイベントのお供として、ぜひコレクションに加えてみてほしい。
■質疑応答
オンライン体験会の後半では、本作の制作に関わるディライトワークスの山中楓氏と小川卓也氏が、質疑応答に対応する時間が設けられていた。以下では、その模様についてお伝えする。
――まずは『ソロッタさん』を制作したキッカケについて教えてください。
山中楓氏(以下、山中氏):例年であればテーマを新卒社員のメンバーが自由に決めていくのですが、今年は弊社から「離れた人達ともリモートで遊べるゲーム」と、課題が決まっていました。始めは勝敗のある作品を考えていたのですが、友達とコミュニケーションが促進するゲームという内容に焦点を絞った結果、本作のようなコミュニケーションを重視する作品に落ち着いて行きました。
――リモートで遊びやすいゲームを作る上で、気をつけたポイントについてお聞かせください。
山中氏:会話は音声のみで、カメラが無くても遊べる部分に主軸に置いたゲームを作ろうとしました。例えばババ抜きなど、常にカードが入れ替わっていくようなゲームは、オンラインでのプレイは難しいですよね。
そのため、誰かが1枚カードを持ってさえいれば、撮影したデータを送信するなどで対応できるよう、ゲーム制作を進めていきました。ボードゲームなので対面で遊べるというのは前提としてあるのですが、リモートでも変わらないゲーム体験が得られるよう、工夫しました。
――恋愛や友情、生活といったテーマは、どのように決めたのでしょう。
山中氏:実は最初の段階では、テーマという括りはありませんでした。お題を400~500ほど考えていたのですが、ジャンル分けを行ってそれぞれのテーマ数を均等にする方が分かりやすさに繋がること考え、今の形になりました。ジャンル分けがどうしてもできない内容を、ノンテーマと記載しております。
――中でも「クリティカルカード」の存在が印象的でした。
山中氏:同じような質問内容が続くだけでは徐々に場が盛り下がってしまうため、ゲームの波を作るにはどうすれば良いのか、監修のカナイセイジさんにご意見を頂きました。色々アドバイスを頂いた中で、もっと人の究極な部分に迫るような内容である「クリティカルカード」を取り入れるようになりました。
――今回の作品は対象年齢が13歳以上ということで、お題の内容がセンシティブ過ぎてもいけないし、幼稚すぎてもいけないという、舵取りが難しかった部分があったかと思います。
小川卓也氏(以下、小川氏):誰でも遊べるコミュニケーションゲームにしたいという思いがありましたので、専門性が高くて答えにくいお題や、あまりにも地域性が濃ゆすぎる内容、ネガティブな内容などは除外しました。初対面の人とプレイした時に、雰囲気が暗いものにならないように意識しながら制作しています。一方で、「あなたの懐かしいものはどれ?」のようなジェネレーションギャップが楽しめるようなお題も用意しています。
――制作過程で印象的だった出来事があれば教えて下さい。
山中氏:チーム11人で制作していたのですが、お正月のお雑煮の食べ方を問うようなお題がありまして……。チーム内に中国人の方がいらっしゃり、「中国ではお雑煮は食べないという」という話が聴けるなど、チーム内でかなり盛り上がってしまいました。他にも様々な会話をすることができるなど、テーマを作りの過程で11人の仲が深まったと言っても過言ではないくらい、思い出深いです(笑)。
小川氏:お題を精査して行く過程で、カナイさんと150問ほどのテーマを3時間かけてチェックを行いました。前半は大変盛り上がっていたのですが、後半はみんな疲れきったような顔でいたことを、今でも鮮明に覚えています(笑)。
新作オリジナルカードゲーム『ソロッタさん』は、4月21日に発売予定。「DELiGHTWORKS STORE」や「Amazon」、ボードゲーム通販「JELLY」他ボードゲーム取扱店にて販売予定だ。
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁