【決算レポート】サイバーエージェント、4~6月営業益は438%増の445億円と大幅増益 『ウマ娘』フル寄与、「極AI」武器に広告も伸長
サイバーエージェント<4751>の第3四半期(21年4月~6月)の連結決算は、売上高1922億3400万円(前年同期比70.3%増)、営業利益445億8100万円(同438.5%増)、経常利益447億7000万円(同444.0%増)、最終利益193億4900万円(同1629.5%増)と大幅な増収増益となった。売上高と営業利益は四半期ベースとして過去最高を更新した。
・売上高:1922億3400万円(同70.3%増)
・営業利益:445億8100万円(同438.5%増)
・経常利益:447億7000万円(同444.0%増)
・最終利益:193億4900万円(同1629.5%増)
同時に今期2度目の21年9月通期の業績予想の上方修正も行った。売上高6500億円(前回予想6000億円)、営業利益1000億円(同575億円~625億円)、最終利益400億円(同240億円~260億円)とした。売上高で8.3%、営業利益と経常利益で60.0%から73.9%、最終利益で53.8%~66.7%と大幅な利益の引き上げとなる。
・売上高:6500億円(同6000億円)
・営業利益:1000億円(同575億円~625億円)
・経常利益:1000億円(同575億円~625億円)
・最終利益:400億円(同240億円~260億円)
藤田晋社長は、「ゲームとネット広告が想定を上回った」とコメント。Cygamesの大ヒットタイトル『ウマ娘 プリティーダービー』が四半期ベースでフル寄与したことが主な要因だ。ネット広告も健闘した。第3四半期は例年、前四半期比(QonQ)で落ち込むことが多いが、今年は前四半期比でプラスとなり、過去最高を更新した。会社全体として中長期的に増収増益基調を続けているが、「ここにきて勢いがついている」。
セグメント別の状況を見ていこう。
■ゲーム事業
売上高923億9700万円(同151.7%増)、営業利益442億4100万円(同483.5%増)と大幅な増収増益を達成した。過去最高業績を達成である。今年2月より配信を開始した『ウマ娘 プリティーダービー』がフル寄与したため、としている。
今後の新作タイトルとして、珍しくコンシューマゲームにもコメントした。『Project GAMM』や『GRANBLUE FANTASY Relink』『Project Awakening』の開発を進めていることを紹介した。
藤田社長は、個々のタイトルにコメントこそしなかったが、「現在、Cygamesに超一流のゲームクリエイターが集まっている。非常に高いレベルのゲームを出すために鋭意開発を進めている」と述べ、スマホゲームだけでなく、家庭用ゲームの新作にも期待を寄せた。
なお、今後の期待の新作スマホゲームとして、『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』とともに、『呪術廻戦 ファントムパレード』をあげた。
『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』は、『ファイナルファンタジーVII』コンピレーションシリーズを章立て配信で紡ぐ新作RPG。世界的に人気を集めているタイトルということもあり、期待できるとした。
『呪術廻戦 ファントムパレード』については、サムザップが開発・運営するが、『鬼滅の刃』に続く巨大IPのゲーム化であるとし、こちらも期待がかかると述べた。
藤田社長は、「『ウマ娘』が大きなヒットとなったが、当社は、年に1~2本ペースで主力級に育つタイトルを出している。グループ全体でノウハウと人材、そして開発費を投下できる資金力をもって今後も良いタイトルを提供していきたい」。
■ネット広告事業
売上高がQonQで1.5%増の818億5400万円と過去最高を更新したことを明らかにした。QonQで増収となるのは非常に珍しい。第3四半期は、3月期末の広告予算の消化の後の四半期となるため、QonQで落ちことが通例だった。
藤田社長は、「4~6月はQonQで落ち込むのが通例だ。その意味で勢いが感じられる決算だった」と振り返った。そして、新型コロナで広告を控えていた時期から回復基調にあるという。
好調の要因として、AI技術を活用したプロダクト「極予測AI」の存在をあげた。広告主の80%以上が導入しているそうで、広告主はAIで予測しながら広告効果を上げているとのこと。
「極予測AI」と「極予測TD」を皮切りに「極予測AI人間」や「極予測LED」など新しいサービスを続々と出している状況で、「いまや他社が追いつけないレベルになっているのではないか」と自信を示した。
■メディア事業
「ABEMA」を中心とするメディア事業の売上高は、前年同期比で48.7%増の199億1300万円と大幅増収を達成し。営業赤字についても38億3000万円と徐々に減少している。
藤田晋社長は、「一見すると、ここ最近は伸び悩んでいるように見えるかもしれないが、昨年、ブーム的に伸びたオンラインライブのPPV(ペイパービュー)が落ち着きを見せる中、広告や課金、周辺事業で伸ばすことでカバーした」。
特に競輪のネット投票サービス「WINTICKET」の取扱高は、同445.8%増の393億円と高い成長が続いた。ABEMAでのレース映像の中継や、独自予想データの提供などを行ったことが奏功した。
「当社は最後発に近い形で参入した。自分たちで権利を取りサービスを開発したが、2年ほどで業界トップクラスに追いついた。このままいけばトップになれるだろう。広告と課金、さらに周辺ビジネスで稼いでいくという目標が現実化しつつある」と述べた。
高水準の週次アクティブユーザー数を支えるのはコンテンツの充実だ。メジャーリーグの生中継が大谷選手の活躍で注目を集めているほか、コパ・アメリカの生中継、全英オープンの中継、そして社会性の強いオリジナルドラマの制作などコンテンツの充実にも努めた。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751