【セミナー】リアルイベント制作における5つの基本原則とは。『モンスト』大型イベント「XFLAG PARK」の人気の秘訣に迫る

 
10月13日、『モンスターストライク』(以下、モンスト)を運営するミクシィ主催のオンラインセミナー「THE METHOD#5 『〜モンスト好きが集う場所-XFLAG PARKの作り方-〜』が行われた。

本セミナーは、プロダクトにおいて実践されている「ものづくりの方法論」の発信・共有を目的としている。第6回目となる本セミナーでは、ミクシィのデジタルエンターテインメント事業の発展を支える「企画」部分にフォーカス。

2016年より毎年開催しているリアルイベント「XFLAG PARK」を例に挙げ、オフラインでの開催時には毎年約4万人の来場者を集めた同イベントを制作するにあたり、重視しているイベント制作の基本原則について紹介が行われた。本稿では、セミナーの内容についてレポートをお届けしていく。

【登壇者紹介】
〇比奈本 真(ひなもと しん)
2016年6月、ミクシィに中途入社。初年度XFLAG PARKやモンストグランプリ、モンスト物産展などのイベントに携わる。2019年よりオフラインイベントとともに、動画施策を担当。現在はマーケティング部でイベント、動画施策他、YouTubeチャンネル・キャラクタープロモーション映像の管理や、モンソニ!プロジェクトのライブ演出や映像などに携わる。




■『モンスト』好きが集まる場所「XFLAG PARK」の作り方に迫る

『モンスト』をはじめ様々なゲーム世界をテーマに繰り広げられるライブエンターテインメント「XFLAG PARK」。比奈本氏はまず、ゲームをテーマにしたオフラインイベントの中でも、XFLAG PARKが持つ2つの特徴を挙げていく。

 

比奈本氏がまず1つ目の特徴として挙げたのが、「コンテンツの開発と挑戦」。ゲームのオフラインイベントと、その模様についてYouTubeなどで配信をするイベントでは、ゲームに出演している声優によるトークショーや、ゲーム内のアセット(BGMやキャラクター)を利用したステージや、ゲームそのものをプレイするステージが充実しているケースが多いという。

XFLAG PARKでも、ゲーム実況者に出演いただくステージは勿論、ゲーム内で実装されているBGMを活用したオーケストラや、キャラクターが活躍するライブなど同様のケースが多い。その一方で、例えば16年、18年に実施したサーカスショーのようなパフォーマンスやダンスステージなど、動的で迫力あるステージに力を入れて取り組んでいることが特徴になっている。



2つ目の特徴が、「自社による様々なシステム開発」。XFLAG PARKは2016年から2019年までオフラインで開催され、会場参加にあたってはチケットの販売を実施していた。その際、外部のプレイガイドサービスを使用するのではなく、自社で券売システムを開発していたという。

2018年にはQRチケットを導入し、入場管理システム端末を開発。2019年にはリストバンド決済を採用し、自社で整理券を発行するシステムまで開発している。コロナ禍で無観客・オンライン開催となった2020年では、友達や家族とオンラインで一緒に配信を視聴できる「XFLAG CONNECT」というWebサービスを開発。毎年新しいシステムを開発しているというのも、XFLAG PARKを語るうえで外すことができない特徴となっているようだ。



XFLAG PARKのオフラインでの開催にあたっては、“イベントが終われば次のイベントが始まる”といった、年中フル稼働をしているようなタイムスケジュールが続いていたと比奈本氏は言う。

イベント終了後には来場者のアンケートからの意見を集計し、分析を進めて来年のイベントの内容を決定。コンセプト検討やコンペ準備は、8月頃からスタート。パートナー会社やスポンサーが決まり次第、会場やコンテンツの配置、来場者の導線、ステージの数など1つ1つ決定していく。

XFLAG PARKほどの大規模なイベントとなると、当日販売が行われる『モンスト』のグッズやノベルティの準備についても時間がかかる。そのため、発注・製作の準備を年内には済ませておく必要があるとのことだ。

イベントの開催に向けて、1月、2月頃にはあらゆるセクションがほぼ同時並行で準備が進行している形になる。この時期からコンテンツの企画・製作も決定していく。

3〜5月、ゴールデンウィーク前後には告知を実施。同時期には「モンストグランプリ」といったイベントとも重なっての進行となるため、1年で最も忙しい時期になる。5月、6月あたりから、いよいよ7月の本番に向けて最終調整に入っていく。同時に様々なトラブルが発生してしまうため、1つ1つ解決をしていく時期でもあると比奈本氏は続けた。




■イベント制作における5つの基本原則とは

続いて比奈本氏は、イベントのコンテンツ製作において気を付けるべき注意点について、5つのポイントをあげて説明する。

①期待を知り、期待に応えず、期待を超える。

同じタイトルでのリアルイベントを繰り返し行っていくうえで、来場者の期待に100%応え続けるのは難しい部分がある。そのため、XFLAG PARKでは“期待に応えるのではなく、どうやったら期待を超えられるのか”にフォーカス。

来場者から寄せられた期待値のハードルを超え、驚きや感動といった感情を揺り動かすことこそがゴールに到達できると考え、企画を組み立てていく。そのために、来場者からのアンケートや、普段からのTwitter、YouTubeのコメント欄を紐解き、広く”空気感”をくみ取ることも大切。

また、スタッフは自身が担当するコンテンツだけでなく、ステージイベントや物販、飲食のコーナーなど、様々なセクションに精通しておくことも重要なポイントとなる。



②緊張と緩和、弛緩

魅力的なコンテンツを順番に並べて詰め込めばいいという話ではなく、来場者に“どこで休んでもらうか”を意識したようなタイムスケジュールや、ステージを分散させるなど気を配る必要がある。集中とリラックスの緩急を付けるようなバランスを崩さないために、会場内のコンテンツの配置などが重要に。

オンラインのイベントについて、2021年度版のXFLAG CONNECTでは、ユーザーが気軽に遊べるミニゲームを用意。好きなタイミングでユーザーそれぞれがリラックスできるような工夫が盛り込まれていた。

一方、リアルイベントでは、舞台と観客席とを額縁のように区別する「プロセニアム・アーチ」をどのように捉え、どのように取り払っていくかに苦慮。演出がステージの外で起こったり、演者が観客席にまで降りてきたりといった、”なにが起こるかわからないドキドキ感”により集中力(緊張感)が高まるような仕組みが考えられていた。





③非日常の空間作り

オフラインイベントは、ステージ上で行われていることだけがイベントを構成するのではなく、来場者に非日常的の空間をどれだけ楽しませてあげられるかがポイントになっている。

そのためには、会場の最寄り駅からXFLAG PARKのポスターを掲出するなどし、徐々に雰囲気を温めていくことが大切。さらに会場の入り口部分ではガラッと世界観が変わるような印象を与えるためにモニュメントやパフォーマーを配置し、来場者を一気に引き込むことが重要となっている。



④場の持つ力

会場選びにおいてはインフラ面だけでなく、主催者自身が“ユーザーにどのように楽しんでもらうか”というビジョンを描けているかが大切。そのビジョンを実現させるために、どのような会場や設備が必要なのかを考えていく。

面白い会場、設備があれば、その特徴を活かすようなチャレンジ精神を優先。どういったビジョンを描けるかは、イベント主催者、プロデューサー、ディレクターの力量が問われる部分となる。



⑤非日常の驚きを忘れずに

来場者の感情を掻き立てるためには、非日常感の演出が必要不可欠。非日常感は予算をかければ良いというわけではなく、来場者の視線の誘導や、スティックバルーンの応援・拍手など、手の動き・体の動きを意識することが重要なポイントとなっている。






■「ルシファー獣神化」演出での原則の活用例

前述したイベント制作における基本原則を適用した例として、比奈本氏は「ルシファー獣神化」についての演出を挙げる。



会場の天井から羽根が降る特殊効果によりプロセニアム・アーチを取り払う演出や、ステージと観客席の境目が曖昧になるような座席の構成。獣神化キャラクターを発表したその日の夜にゲーム内で解禁する、といった試みも非日常感の演出に寄与する。号外という形で記事新聞のノベルティ、記念品として手元に残るようなものをプレゼントし、イベント終了後の余韻も大切に扱うようにしているという。



XFLAG PARKのような大型イベントにおける「モンストニュース」は60分~90分に及ぶ長尺ステージになりがちであるため、来場者の集中力が続くよう、緊張と緩和の切り替えができるパートを意図的に設定。アップデート情報やグッズ・イベント情報、キャラクター情報をタイミングよく織り交ぜることによって、来場者の興味・関心が90分持続できるようにしている。

最後に比奈本氏は「(イベントは)原則をいくつも組み合わせて完成させていきますが、必ずしもユーザーの皆さんに満足できる内容になるわけではありません。どうやったらユーザーの皆様の期待を超えられるのだろうかを考え、様々な可能性を模索しています。失敗はありますが、1つ1つまたそれを反映してルールを整えカスタマイズし、次のイベントに繋げていくという地道な作業が大事だと思っています」と話し、セミナーのまとめとした。


■質疑応答

セミナー後半では、比奈本氏が視聴者からの質疑応答に対応する時間が設けられており、視聴者からはステージ制作に関する数多くの質問が寄せられた。以下では、質疑応答の模様についてお伝えする。

――:魅力を感じるオフラインイベントの事例としてどのようなものがありますか?

比奈本氏:eスポーツの大会など、日本を代表する選手が戦っているシーンというのは、すごく魅力的に感じます。思わず応援したくなる場面があるなど、「こんなに熱狂できる要因は何だろう?」と、考えてしまいます。

――:運営に興味を持っている方が学生や、製作に携わりたいという方に向け、メッセージをお願いします。??運営に興味を持っている方が学生や、製作に携わりたいという方に向け、メッセージをお願いします。

比奈本氏:エンターテインメントに関わる仕事をやりたいと思うのであれば、たとえ遠くの場所でイベントが開催されていたとしても、必ず自腹を切って経験しにいくといった姿勢が大切です。

そういった経験から取り込んだ内容というのは、コンテンツをただ消費するだけではなく、自身のインプットへと自然と繋がっていきます。意識を持って一歩を踏み出すだけで周りの人とは全然違う視点を持つことができると思いますので、その部分を意識していただければと思います。

私が知らないエンタメコンテンツを知っている、知識や経験豊富な方と、ぜひ一緒に仕事がしたいと思います。イベントのノウハウは会社に入れば一からいくらでも勉強ができますので、幅広い経験をされていることの方が大切だと思っています。



 
次回の「TheMethod」は、『モンスト』エンジニアからみたクリエイターのキャリアに焦点を当てた内容を予定している。興味のある人は参加してみてはいかがだろうか。
 

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設立
1997年11月
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売上高1180億9900万円、営業利益160億6900万円、経常利益170億2600万円、最終利益102億6200万円(2022年3月期)
上場区分
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