【決算レポート】ファルコム、21年9月期は高採算のライセンス部門伸び過去2番目の利益水準を実現 低調な製品部門はSwitch向けにも注力で立て直しへ

中山淳雄 エンタメ社会学者&Re entertainment社長
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日本ファルコム<3723>の2021年9月通期の単独決算は、売上高24億7700万円(前の期比0.7%減)、営業利益14億0900万円(同4.4%増)、経常利益14億1800万円(同4.9%増)、最終利益10億円(同14.2%増)と減収増益で着地した。各利益は過去2番目の水準となったという。製品部門の売上が大きく落ち込んだものの、採算性の高いライセンス部門の収益が伸びたことで増益を達成した。

・売上高:24億7700万円(同0.7%減)
・営業利益:14億0900万円(同4.4%増)
・経常利益:14億1800万円(同4.9%増)
・最終利益:10億円(同14.2%増)

 ライセンス部門の売上が伸びる一方で、製品部門は2014年9月期をピークにして低下傾向にある。これはPlayStation中心に展開してくことの限界を示しているように見えるが、今期から新たにSwitch向けにも徐々に注力していく方針を示した。第1弾タイトルとして「那由多の軌跡」を発売するとしており、今後の同社の収益が大きく変わっていく可能性がある。

 

■製品部門
製品部門の売上高は、6億6700万円(同35.9%減)となった。

前事業年度に発売したPS4向け「イース セルセタの樹海:改」、「イースⅧ-Lacrimosa of DANA-(ラクリモサ・オブ・ダーナ)スーパープライス」、「イースⅨ-Monstrum NOX-(モンストルム・ノクス)」を引き続き販売した。

また、PS4向け「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ スーパープライス」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ スーパープライス」を2020年10月に、「那由多の軌跡:改」を2021年6月に発売した。

2021年9月には、壮大なスケールと徹底的にこだわり抜いたストーリーで、多くのユーザーから支持を集めている代表作の1つ「軌跡」シリーズ最新作、「英雄伝説 黎の軌跡」をPS4向けに発売した。

 

■ライセンス部門
ライセンス部門の売上高は、18億1000万円(同24.4%増)となった。

「イース オリジン スペシャルエディション」やPS4向けに「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ」英語版、「イースⅨ-Monstrum NOX-」英仏語版を発売した。

Switch向けには、「英雄伝説 零(ぜろ)の軌跡:改」「英雄伝説 碧(あお)の軌跡:改」の繁体字中国語版・韓国語版と「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ」日本語版・英語版、「英雄伝説 閃の軌跡Ⅰ:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ:改」「英雄伝説 創(はじまり)の軌跡」の日本語版・繁体字中国語版・韓国語版、「イースⅨ-MonstrumNOX-」日本語版・英仏語版を発売した。

PC・Steam向けには、「英雄伝説 閃の軌跡Ⅰ:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」のそれぞれ繁体字中国語版・韓国語版と「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ」日本語版・英語版、「英雄伝説 創の軌跡」の日本語版・繁体字中国語版・韓国語版、「イースⅨ-Monstrum NOX-」日本語版・英仏語版を発売した。

その他、旧タイトルのPCゲーム英語版デジタル販売やオンラインストーリーRPG「英雄伝説 暁の軌跡」、「イースⅧ-Lacrimosa of DANA-」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」の英仏語版、PS4及びPC向け「東亰ザナドゥeX+(エクスプラス)」英語版のほか、「イース6Online~ナピシュテムの匣(はこ)~」や「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ ONLINE」のスマホゲームの配信契約、「英雄伝説 閃の軌跡シリーズ」TVアニメ化プロジェクトに関する契約などを締結している。

 

■2022年9月期の見通し
2022年9月期の業績は、売上高24億円(前期比3.1%減)、営業利益12億円(同14.8%減)、経常利益12億円(同15.3%減)、最終利益8億円(同20.0%減)を見込む(収益認識に関する会計基準を適用するため、前期比はあくまで参考値にすぎないので注意して欲しい)。

・売上高:24億円(同3.1%減)
・営業利益:12億円(同14.8%減)
・経常利益:12億円(同15.3%減)
・最終利益:8億円(同20.0%減)

 引き続きPS4向け「英雄伝説 黎の軌跡」を販売していく。2022年で同社代表作「イース」シリーズが35周年を迎え、PS4向け「イースⅨ-MonstrumNOX- スーパープライス」のほか、企画商品を展開していく。

また、Switch向けについて、次期より自社での展開も進めていく。まずは「那由多の軌跡」をSwitch向けに発売する予定。

アジア地域には、PS4向けに「那由多の軌跡:改」「英雄伝説 黎の軌跡」のそれぞれ繁体字中国語版・韓国語版や、Switch向けに「英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ」「イースⅨ-Monstrum NOX-」の繁体字中国語版・韓国語版を、PC・Steam向けに「英雄伝説 零の軌跡:改」「英雄伝説 碧の軌跡:改」「英雄伝説 閃の軌跡Ⅳ」「イースⅨ -Monstrum NOX-」の繁体字中国語版・韓国語版を順次発売する。

北米・欧州地域には、PS4、Switch、PC・Steam向けに「英雄伝説 零の軌跡:改」「英雄伝説 碧の軌跡:改」「英雄伝説 創の軌跡」「那由多の軌跡:改」のそれぞれ英語版を発売する予定。

そして、次期は「軌跡」シリーズ最新作を発売する。「軌跡」シリーズは、「日本ゲーム大賞 優秀賞」「日本ゲーム大賞 フューチャー部門」「ファミ通アワード」「プレイステーションアワード ユーザーズチョイス賞」など、多くの受賞歴があり、シリーズ累計販売数が600万本を超える同社代表作の1つ。

同社ゲームコンテンツを、日本・北米欧州・アジア地域へワールドワイドに向けて、様々なゲーム機やスマートフォンアプリ等へと展開し、保有するIPコンテンツを積極的に活用するとともに、引き続き「軌跡」「イース」シリーズを含めた、新たなチャレンジとなる新規タイトルの制作も進めながら、今後も魅力的なゲームコンテンツを提供していく。

 

日本ファルコム株式会社
http://www.falcom.co.jp/

会社情報

会社名
日本ファルコム株式会社
設立
1981年3月
代表者
代表取締役社長 近藤 季洋
決算期
9月
直近業績
売上高25億3300万円、営業利益14億6000万円、経常利益15億7300万円、最終利益10億2700万円(2022年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3723
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