CRESTは、2月28日、同社のチューニング・検証事業を担う猿楽庁より、 課金にまつわるユーザー調査を2022年1月に実施、その結果を公開した。
本調査では「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」かつ「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」全国の10代~60代の男女800人をモニターとして抽出。 今回から3つのテーマに分けて、 本調査の結果に基づいた分析・考察を発表している。 第1回は「課金の目的/課金をしない理由」となる。
<以下、プレスリリースより>
■本リリースのポイント
・コア層の月収に占める課金額の割合で最多は「10%以上~20%未満」。 前回調査との比較で、 コア層の中においても課金額を抑える動きが拡大・コア層の月収に占める課金額の割合で最多は「10%以上~20%未満」。 前回調査との比較で、 コア層の中においても課金額を抑える動きが拡大
・課金をする目的はコア層、 ミドル層、 ライト層いずれも「欲しいキャラ・装備品がある」が最多・コア層におけるプレイしているゲームの中で課金しない理由として「課金をしなくても運営のボーナスなどで遊べてしまう」が31.6%を占めた
調査概要
調査目的:モバイルゲーム市場における課金にまつわるユーザー調査
調査対象:「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」かつ「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」全国の10代~60代の男女800人
調査方法:インターネット調査調査時期:2022年1月11日~1月13日
有効回答者数:800人
■回答者属性について
「2021年にモバイルゲームで課金した実績がある」
「AndroidもしくはiOSでゲームをプレイしている」
上記2つの条件に該当する10代から60代の全国800人の男女をモニターとして抽出し、 アンケートを実施しました。
1ヶ月あたりの課金額は、 「120~1,000円」と回答するユーザーが370人と最多。 一方で、 3人が「1,000,001円以上」と答えています。 本調査ではこの1ヶ月あたりの課金額から、 回答者を「コア層(50,001円以上)、 「ミドル層(10,001~50,000円)」、 「ライト層(10,000円以下)」と3つの層に分類しています。
■1日の平均プレイ時間
「1日の平均プレイ時間」の中で特に目立つポイントは、 「5時間」と回答するコア層が35%を超えている点です。 2020年に実施した同様の調査と比較して、 20ポイント以上増加しています。 2020年の「1時間」と「2時間」の合計値が約27%、 「3時間」「4時間」「5時間」の合計値が約38%であったのに対し、 2021年の「2時間」と「5時間」のスコアとそれぞれ同等の数値となっています。
モバイルゲーム自体は、 オンラインにつながる端末があれば、 どこでも自由にプレイすることができる、 非常に手軽なものです。 元々通勤や通学などの移動中にも手軽で遊びやすいジャンルが遊ばれる傾向にありましたが、 昨今では遊び応えのある作品も多数リリースされており、 ユーザーに対するプレイ時間の区切り方、 またプレイするロケーションも多様化しています。
リモートワークなどでゲームをプレイする時間が作りやすくなった点、 中々対面しずらい環境でもオンラインによって繋がりを求めやすくなった点など、 コロナ渦におけるユーザーのライフスタイルに沿う形で、 少しずつプレイ時間が底上げされる結果につながっているものと考えられます。
■常にプレイしているゲームタイトル数
1日の平均プレイ時間が「1~3時間」に集約するライト層やミドル層は、 同じく「1~3タイトル」に回答が集約していますが、 1日の平均プレイ時間が「2~5時間」のコア層は、 「3~5タイトル」のスコアが高く、 「5タイトル以上」と回答するユーザーが全体の約4割を占めています。 中には「20タイトルを掛け持ちしている」という回答も見られました。
プレイするタイトルが多くなるほど、 1タイトルにかけるプレイ時間は必然的に短くなる傾向にあります。 漫然とプレイするのであれば特段気にかかることもない中、 積極的にプレイ管理を行おうと考えた場合、 ユーザーが課金を視野に含めていく流れが生まれていると推察できます。
■月収に占める課金額の割合
ライト層とミドル層においては、 いずれも「10%未満」に課金額を抑える回答者が最多となり、 これは2020年と同等の結果となりました。
対してコア層は2020年では「10%以上~20%未満」「20%以上~30%未満」「30%以上~40%未満」がそれぞれ20%台のスコアを記録していたものの、 2021年は「10%以上~20%未満」が36.8%と突出。 コア層の中において、 課金額を抑制する動きが拡大しているといえます。
その背景には、 長引くコロナ禍の影響による収入減少や現在の自分の貯蓄状況について不安を感じている若年層が増加するなど、 従来の消費行動の選択肢から「課金」自体が減ってきていると考えられます。
一方で、 ミドル層では2021年の「20%以上~30%未満」の割合が2020年からほぼ倍増。 これは、 コロナ禍における度重なる自粛や自宅待機によって、 これまで消費行動の選択肢の幅が内外に向けて広くあった旅行や外食などで消費していた分が、 手軽にできる内的な消費行動であるゲームの「課金」に回っている可能性が考えられます。
■課金の目的
課金の目的として「欲しいキャラ・装備品がある」が全体の半数を占めており、 特にミドル層においては2020年から14ポイント以上スコアが伸びています。 いわゆるガチャのほか、 昨今ではキャラクターやアバターを商品とする傾向も顕著であり、 課金対象となる商品の幅が広がったことが大きな要因と考えられます。
コア層は「自慢するため」の課金動機が増加
コア層の動向においては、 「得たレアキャラを自慢したい」が2020年から約4倍、 50%近くまでスコアを伸ばしており、 「欲しい」ではなく「見せたい」という、 古くから存在する「周囲に対して自尊心の高める動機付け」が、 改めてコア層の課金を促す要因として上がってきました。
その一方、 「対戦ゲームで勝つため」の割合が約20%減少しており、 「自尊心を高める」ためのアプローチに変化がうかがえます。
効率的な育成&勝利を求めるミドル層
ミドル層では突出したスコアの「欲しいキャラ・装備品がある」に続き、 「時短」が2020年から約20ポイント、 「対戦ゲームで勝つため」が10ポイント以上スコアを増加させています。 様々なゲームジャンルの流行の波はありますが、 ミドル層に課金を促すポイントは「勝利に向けた効率性の向上」が挙げられます。
「強化用素材や育成用素材の購入権」や「クエストの周回を時短出来るスキップチケット」「本来時間経過で入手できるリソースを一括で入手できるシステム」など、 ミドル層は効率的にゲームを進められる商品に魅力を感じている可能性が高いと考えられます。
ユーザーの「欲しい」に直結する商品ラインナップの多彩さ
最後にライト層の動向ですが、 2020年と比べても大きな変化はみられていません。
割合から伺える点としては、 「欲しいキャラ・装備品がある」を筆頭に、 その他の回答は万遍なく分布している状態です。 本項の序盤でも記した通り、 商品ラインナップの多彩さが、 ユーザーの「欲しい」に直結し、 購買欲を高めていると考えられます。
■課金しない理由
「課金をしない理由」の中で特筆すべきは、 「課金をしなくても運営からのボーナスなどで遊べてしまう」と回答するコア層が30%を超えている点です。 2020年と比較すると、 25ポイント以上スコアを伸ばしており、 「様子見(魅力があれば課金)」と同レベルになっています。 昨今、 無償アイテムを多く配布するタイトルが増加しており、 これは総じてユーザー評価も高くなる傾向にありますが、 一部からは「課金する必要が無いので運営が続くのか心配」といった意見も少なくありません。
「運営からのボーナスで遊べてしまう」要因は様々で、 例えば「余った無償アイテムでガチャが回しやすい」や「手元のアイテム消費が追いつかない」など挙げられます。 「本来必要な場面を見越した運営からのボーナスでちょうど収まる」というよりも、 「本来収まる以上のボーナスを与えてしまう」という問題と「仕組上、 そもそも課金せずともやりくりできてしまう」といった問題が掛け合わさった状況が見られることもあります。
ユーザーにとってあまりに理不尽な足枷は大きな問題となりますが、 多少の足止めを受けるレベルのストッパーは、 課金だけでなく、 ゲームのバランスを整える意味でも重要です。 ゲーム内経済のバランスコントロールは、 プレイサイクルを円滑に回すため、 またタイトルを飽きさせないためにも、 しっかりと検討をしたのちに導入する必要があります。
■本調査のレポート全容について
第2回テーマ「好きなIP/2021年に最も課金したゲームタイトル」は近日中に公開予定です。
第3回テーマの分析・考察公開後、 本調査のレポート全容のダウンロード資料をご案内予定です。
詳細は第3回テーマのリリース内をご覧ください。
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