東映、2022年3月期決算は営業利益37%増の178億円 映画やアニメなど映像関連事業が好調

東映<9605>は、5月16日、2022年3月通期の連結決算を発表し、売上高1175億3900万円(前の期比9.2%増)、営業利益178億1000万円(同37.0%増)、経常利益233億0300万円(同24.5%増)、最終利益89億7700万円(同23.2%増)と増収増益を達成した。映画を中心とした映像関連事業が好調に推移した。

・売上高:1175億3900万円(同9.2%増)
・営業利益:178億1000万円(同37.0%増)
・経常利益:233億0300万円(同24.5%増)
・最終利益:89億7700万円(同23.2%増)

セグメント別の状況は以下のとおり。


①映像関連事業
売上高は892億5700万円(同10.0%増)、営業利益は194億1100万円(同21.6%増)となった。

映画事業は、提携製作作品等31本を配給し、このうち、「いのちの停車場」「孤狼の血 LEVEL2」「科捜研の女 -劇場版-」「映画トロピカル~ジュ!プリキュア雪のプリンセスと奇跡の指輪!」「老後の資金がありません!」「牛首村」等がヒットした。

テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にあったが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、前期は60分もの「相棒」「科捜研の女」など66本、30分もの「仮面ライダーセイバー」「トロピカル~ジュ!プリキュア」など342本、ワイド・スペシャルもの「管理官キング」など23本の計431本を製作してシェアを維持し、また「機界戦隊ゼンカイジャー」「仮面ライダーセイバー」「仮面ライダーリバイス」などキャラクターの商品化権営業も堅調だった。

コンテンツ事業は、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇の放映権販売、テレビ映画「相棒」シリーズ等やAmazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD事業者向けのコンテンツ販売が好調だった。

また、「東映特撮ファンクラブ」における会員数の増加が売上に寄与した。ビデオソフト販売においては、同社グループの連携を密にして、DVD・ブルーレイディスクあわせて409作品を発売し、「仮面ライダー」シリーズのDVD、ブルーレイディスク販売が好調だった。

アニメ関連では、海外で「ドラゴンボール」シリーズや「ワンピース」のゲーム化権販売に加え、「ドラゴンボール」シリーズや「ワンピース」、「デジモンアドベンチャー」シリーズの商品化権販売が好調に稼働した。

そのほか、国際営業は、劇場用映画・テレビ映画等の海外販売、「魔進戦隊キラメイジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権販売とともに、「ボヘミアン・ラプソディ」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移した。

教育映像事業は、教育映像の製作配給等を行い、教育映像祭において「シェアしてみたらわかったこと」が最優秀作品賞を受賞したほか、劇場用映画「破戒」の受注製作を行った。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行った。


②興行関連事業
売上高は141億5000万円(同21.7%増)、営業損失は2億6200万円(前の期は12億7100万円の営業損失)となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で興行収入は低調に推移し、前期末において、214スクリーン体制(東映直営館4スクリーン含む)で展開している。


③催事関連事業
48億2300万円(同36.8%増)、営業損失は4億9200万円(前年同期は7億7200万円の営業損失)となった。新型コロナウイルス感染症拡大のなか、各種イベントで人数制限を行いながらの実施となり、大変厳しい状況にあった。このような状況のなか「古代エジプト展」「ムーミンコミックス展」をはじめ、様々なジャンルの展示型イベント、ライブイベントや舞台演劇、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品やオンラインサイトによるイベント商品の通信販売を行うなど積極的な営業活動を展開した。東映太秦映画村においても、感染拡大防止策を徹底し、営業活動を行った。


④観光不動産事業
売上高は50億5300万円(同1.4%増)、営業利益は14億4000万円(同2.4%増)となった。賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、一部テナントの家賃減免、賃料改定等の対応もあり、全体的に厳しい状況が続いた。同、引き続き「渋谷東映プラザ」「オズスタジオシティ」「新宿三丁目イーストビル」等の賃貸施設が稼働した。ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の影響で、業界環境は非常に厳しい状況に陥っている。同、客室をテレワーク、貸オフィス等として多様な利用目的にあわせて販売し、飲食展開においてはテイクアウトやデリバリーを行うなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開した。


⑤建築内装事業
売上高は42億5400万円(同32.9%減)、営業利益は1億8300万円(同36.1%減)となった。景気見通しが不透明ななか、公共投資は底堅く推移した。民間設備投資は投資計画の先送りなどが懸念され、建設技術労働者の不足による人件費の高騰もあり、厳しい事業環境が続いている。このような状況であるが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネコン関係の工事等を手掛けた。


■2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績は、売上高1434億円(前期比22.0%増)、営業利益229億円(同28.6%増)、経常利益271億円(同16.3%増)、最終利益110億円(同22.5%増)、EPS886.29円を見込む。

・売上高:1434億円(同22.0%増)
・営業利益:229億円(同28.6%増)
・経常利益:271億円(同16.3%増)
・最終利益:110億円(同22.5%増)
・EPS:886.29円

東映株式会社
https://www.toei.co.jp/

会社情報

会社名
東映株式会社
設立
1949年10月
代表者
代表取締役会長 多田 憲之/代表取締役社長 吉村 文雄
決算期
3月
上場区分
東証プライム
証券コード
9605
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