ソニーG、2022年度の経営方針説明会を開催 メタバースとモビリティを成長領域と位置づけ ゲームはPS5拡大に注力 PSNとゲームスタジオのM&A強化

ソニーグループ<6758>は、2022年度経営方針説明会を開催した。説明会では、会長兼 社長 CEOの吉田憲一郎氏が「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」という Purpose(存在意義)と「人に近づく」という経営向性のもと、長期視点での経営に取り組んでいること、そして、人・社会・地球への「責任」と「貢献」を重視していることに触れた上で、人を軸とした3つの事業領域で進めている投資と成長について説明した。

また、クリエイティビティとテクノロジーの力でエンタテインメントの進化を支える取り組みとして、「人の心を動かす」エンタテインメント3事業におけるコンテンツ IP、DTC(Direct-to-Consumer)サービスのさらなる強化と、「メタバース」「モビリティ」を中心とした感動空間での新しいエンタテインメント体験の創出、そして、現実空間を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶ AI を中心としたテクノロジーについても説明した。

概要は以下のとおり。


1. Purpose と、人・社会・地球への「責任」と「貢献」
ソニーは Purpose のもと、「感動」と、クリエイター、ユーザー、社員を含む「人」を軸とした経営に、長期視点で一貫して取り組んでいる。また、社会や地球環境に対する企業としての「責任」を果たし、技術や事業によって「貢献」するための取り組みも推進しており、「環境負荷ゼロ」に向けた取り組みにおいては、グループ全体でのカーボンニュートラル、及び100%再エネ電力化の達成目標をそれぞれ10年前倒しする旨を発表した。


2.人を軸とした3つの事業領域での投資と成長
・「人の心を動かす」事業:ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)事業、音楽事業、映画事業・過去4年で、コンテンツIP、DTCサービスの強化を目的として1兆円を超える戦略投資を実施。
・ DTC サービスにおいては、パートナーとの関係を重視するとともに、エンタテインメントを動機としてソニーグループと直接つながる人を10億人に広げるという長期ビジョンを掲げている。
・「人と人を繋ぐ」事業:エンタテインメント・テクノロジー&サービス事業、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)事業・クリエイターが感動コンテンツを創り、ユーザーがそれを体験するためのテクノロジー、製品・サービスを提供。
・ I&SS 事業では、イメージセンサー向けに過去4年で約1兆円の投資を実施し、トップシェアを維持。
また、成長領域として車載や IoT 向けのセンシングにも取り組む。
・「人を支える」事業:メディカル事業、金融事業・メディカル事業は、ソニーの光ディスク技術を応用した機器が、がんやウイルスなどの研究、細胞薬製造に貢献。
・金融事業では、生命保険、損害保険、銀行などの領域で800万人を超えるユーザーに生活の利便性と安心を提供。
・企業価値向上に向けて EPS(一株あたり利益)の成長を経営の規範とし、今後もコンテンツ IP、DTC、テクノロジーへの投資を実行するとともに、自己株式の取得も引き続き戦略投資の一部と位置づけ、機動的に実施していく予定。


3.「人の心を動かす」エンタテインメント3事業の取り組み - コンテンツ IP、DTC サービス
「人の心を動かす」G&NS、音楽、映画の各事業は、2012年度以降継続的に成長しており、2021年度には売上高の合計が初めて連結売上高の50%を超え、営業利益も連結全体の約3分の2となった。

・ G&NS 事業・コンテンツ IP の創造でクリエイターに近づき、DTC サービスでユーザーに近づく取り組みを推進。
・コンソール:今年度1800万台の販売を予定している PlayStation5を中心にさらに拡げていく。
・ネットワークサービス:PlayStationNetwork(PSN)のネットワーク経由の売上高は累計で1兆8000億円を超え、現在1億以上※のアカウントがサービスを利用。PSN 強化のため、サブスクリプションサービス、PlayStationPlus を大幅にリニューアルし、2022年6月中に展開予定。
・自社スタジオ:サードパーティスタジオとの関係を重視すると同時に、自社スタジオであるPlayStation Studios において、この1年間で多くの買収・出資を実行。
・ライブサービス強化とマルチプラットフォーム展開に向けた大きな一歩として、Sony InteractiveEntertainment が Bungie, Inc.の買収に関する確定契約を締結。※2022年3月末時点。
・音楽事業・アーティストとソングライターにとって最も近い存在の企業であることを目指し、クリエイティブ側から彼らを支えることに注力。ストリーミングサービスの伸長により2014年から拡大を続ける音楽市場において、業界のリーダーとして継続的にヒットを生み出している。
・インディーズレーベル:The Orchard を通じてインディーズレーベル所属アーティストをサポート。また、ブラジルの音楽レーベルである Som Livre の買収、インドでの新レーベルの立ち上げなどにより、成長する新興市場でより多くのアーティストを世に送り出す取り組みを推進。
・インディーズアーティスト:音楽制作及び配給サービスを提供する AWAL を通じ、レーベルに属さず活動する個々のアーティストを支えるサービスを強化。
・配信パートナーの拡大:ストリーミングサービスを営む配信パートナーに加え、多様なサービスパートナーと連携し、アーティストの活躍の場を拡大。
・国内では、「ソーシャル」でアーティストを発掘・拡散する取り組みを実施。
・映画事業・音楽事業と同様に、クリエイターを支え、コンテンツ IP を創出し、展開。
・ IP 創出力の強化:テレビ番組制作に関して、ドラマ制作スタジオなど複数の買収を実行。
・ Sony Pictures Universe of Marvel Characters の拡大:映画製作においては劇場公開を重視する方針を維持。『Spider-Man:No Way Home』は全米累計興行収入で歴代3位を記録。今年4月にはMarvel のキャラクターである『Morbius』の映画を公開し、今後も Sony Pictures Universe of MarvelCharacters の世界を拡げていく。
・グループの多様性を活かした IP 展開:ゲームタイトルの IP を活用した映画やテレビ番組作品を制作。今年2月に公開した映画『Uncharted』に加え、今後も作品を展開予定。
・ Community of Interest に基づく DTC:劇場や配信パートナーとの連携を大切にする一方で、アニメファン向けの Crunchyroll や、インドの地域文化に根差した Sony LIV など、Community of Interest(感動体験や関心を共有する人のコミュニティ)に基づく DTC サービスを展開。また昨年末、Sony Pictures Entertainment Inc.の子会社である Sony Pictures Networks India と Zee Entertainment の合併に関する確定契約を締結。急成長するインド市場において、デジタルサービスのさらなる加速を目指す。


4.感動空間での新たなエンタテインメント体験の創出 - 二つの成長領域であるメタバースとモビリティ
テクノロジーを通じてネットワーク空間が「ライブ」的に進化する中、成長が期待される「メタバース」領域において、多様な事業と、核になるゲーム技術を有するという独自の強みを活かし、新しいエンタテインメント体験を創出していく。また、もう一つの成長領域である「モビリティ」においては、移動空間を新しいエンタテインメント空間に変え、モビリティの進化に貢献する取り組みを進めていく。

・メタバース/「ライブ」ネットワーク空間での取り組み・ゲーム領域におけるライブサービス、スポーツ領域におけるマンチェスター・シティ・フットボール・クラブとの協業、音楽領域におけるソニーミュージックのアーティストによる仮想空間でのライブなど、新しいライブエンタテインメント体験の創出のための取り組みを強化。
・モビリティ空間での貢献・「セーフティ」、「エンタテインメント」、「アダプタビリティ」の3つの領域でモビリティの進化に貢献。その一環として、本田技研工業との戦略的提携の協議を進め、2025年の EV の販売開始を目指す。


5.エンタテインメントの進化を支えるテクノロジー- センシングと AI 技術
センシングと AI 技術は、モビリティの安全を支える ADAS で重要な役割を果たしており、また、ソニーが長年取り組んできた音と映像の領域では撮影における画像認識、ゲームや映画製作、3D モデルの製作などにおいても活用されている。さらに、バーチャルプロダクション、スポーツ、VR などの領域でも、現実世界を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶ AI の技術で、エンタテインメントの進化を支える。

・クリエイターに近づくテクノロジー・ Crystal LED を用いたバーチャルプロダクションや、最先端 AI を活用してアスリートの動きをバーチャルに再現する Hawk-Eye Innovations(ホークアイ)のトラッキングシステムなど。
・ユーザーに近づくテクノロジー・次世代 VR システムである PlayStationVR2、ゲームの世界での体験価値向上につながる AI エージェント、好奇心をもち人と寄り添いながらともに成長していく aibo など。

ソニーグループ株式会社
https://www.sony.com/ja/

会社情報

会社名
ソニーグループ株式会社
設立
1946年5月
代表者
代表執行役会長CEO 吉田 憲一郎/代表執行役社長COO兼CFO 十時 裕樹
決算期
3月
直近業績
売上高及び金融ビジネス収入11兆5398億3700万円、営業利益1兆2082億600万円、税引前利益1兆1803億1300万円、最終利益9371億2600万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
6758
企業データを見る
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)
https://www.sie.com/jp/index.html

会社情報

会社名
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)
設立
1993年11月
代表者
暫定CEO 十時 裕樹
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