ドリコム<3793>の内藤裕紀社長(写真)は、第1四半期の決算説明会(オンライン開催)で、ブロックチェーンゲームに関して、「できれば年内に1本リリースしたい」との考えを示した。Web3領域に関しては日々変化し続けており、内藤氏自身も個人的に行っているNFTの発行・運用などで得た体験や発見を自社ゲームに反映させている最中とのことだが、実際に体験しないとわからない部分も多いため、早期にリリースしてPDCAを回すことでノウハウを社内で蓄積し、今後の市場成長に備えていく。同社では、2017年から研究開発チームを組んで進めてきたそうだ。
当面、ゲームの開発期間は1年以内を想定している。ビジュアルやゲーム内容は、3Dやボイスの活用など現在のモバイルゲームほど凝ったものではないため、十億円規模の巨大プロジェクトにはならないとの見方を示した。また、ゲームに関しても、PtoE(遊んで稼ぐ)といった「金融寄り」ではなく、手持ちで使わなくなったり、余ったりしたゲーム内アイテムを他のプレイヤーに譲渡するといったゲームの延長線上の「エンタメ寄り」になるという。
同社では、ブロックチェーンゲームの収益としては、
・FTまたはNFTの販売(一次流通)
・ユーザー間の売買で発生する手数料(二次流通)
を想定している。多くのブロックチェーンゲームでは、リリース前の開発期間中にNFTやFTを販売して開発費の一部を回収することができるほか、開発費もモバイルゲームほど巨額にならないため、減損などのリスクも大きくはならないという。また、二次流通が存在することで、ユーザーの購入への敷居を下げる効果があり、一定のセールスが期待できるとした。大成功しているタイトルは存在しているが、収益規模は現状ではコメントしづらいようだ。
内藤氏は、「AWSと紐付けられたJPEGに人々は何十万、何百万と支払うのか、不思議に思う人が多いだろう。それを持つことがクローズドなコミュニティに参加するパスポートになっていることが大きいが、二次流通が存在することで、いつでも売却できる安心感があり、購入へのハードルを下げている。これまでデジタルコンテンツの二次流通は存在しなかったが、売買できるマーケットの存在はユーザー視点からも大きな意味がある」と述べた。
内藤氏自身もWeb3関連のイベントに参加し、講演もよく行うとのことだが、話している内容が毎回変わっていることに気づくという。それは話す内容がいい加減、あやふやであるということではなく、Web3に関しては日々刻々と変化しており、体感できる内容も日々変わるため、そのたびに認識や考えがアップデートされるからだ。
同社では、Web3領域に関しては、ブロックチェーンゲーム(FT+NFT)と、NFT×ゲーム、NFTに特に注力する方針。すでに『Wizardry BCG(仮)』を開発中であると明らかにしているが、どういったゲームが出てくるのか、大いに注目である。なお、当初はブロックチェーゲームに参入するとしていたが、現在、IP創出を目的とした複数のNFTプロジェクト、Web3スタートアップへの投資・支援なども行っており、当初の想定よりも活動が広がっているそうだ。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793