「ブロックチェーンゲーム領域でエポックメイクするのは、自分たちでありたい」 KLab真田会長が指揮する子会社BLOCKSMITH&Co.のWeb3事業説明会をレポート



KLab<3656>は、11月8日、2022年12月期 第3四半期決算説明会及びWeb3事業説明会を開催した。

事業説明会では、KLabの取締役会長兼BLOCKSMITH&Co.のCEOの真田 哲弥氏がWeb3事業について説明し、「黎明期の中、ブロックチェーンゲーム領域でエポックメイクするのは自分たちでありたい」とKLab真田会長が指揮するWeb3事業の今後について、強い決意表明を行った。

本稿では、Web3事業説明会の様子をお届けする。まずはモバイルゲームとブロックチェーンゲームの市場について。

同社が主軸としているモバイルゲーム市場は、2010年頃は全世界で5.5億ドル(800億円)程度だった。そこから2022年の10年ほどで188倍の1500億円ほどまで成長を遂げている。

一方でブロックチェーン市場だ。非常に多くの資金がWeb3に流れ込んでいる状況だという。その背景には、株式市場が不安定であり投資先が暗号資産に集まっていることがあるようだ。

ゲームだけではないとしながらも、 2021年の第3四半期でブロックチェーン市場は3400億円ぐらいと言われており、この10年でどれくらい大きくなるのか、界隈では大きな注目を集めている。(※1)

真田氏は「ブロックチェーンゲームは後5年でモバイルゲームの市場を抜くのではないか」と見立てているという。「モバイルゲームが成長する過程で『パズル&ドラゴンズ』『モンスターストライク』といったエポックメイキングなタイトルが出て、市場が拡大していった。ブロックチェーンゲームにおいては、自分たちがそうありたい」と真田氏は、Web3領域に関する決意を述べていた。

では実際にブロックチェーンでヒットしたタイトルはどのようなものがあるのか。まず挙がったのは、歩くことで稼げるで話題になった『STEPN』というタイトルだ。

『STEPN』では2022年6月の時点でダウンロード数が60万人ほど。モバイルゲーム市場で見れば、非常に小さな数字となる。ただし売上は四半期で168億円相当、ARPUにすると一人1万円弱と非常に大きな値となっている。

この高いARPUがブロックチェーンゲームの特徴で、市場が大きくなると、売上と利益率も大きく高まる可能性を示しているという。

*編集部補足。『Axie Infinity』はゲームを開始する際に、10万円ほどする高価なNFTを複数購入する。ゲーム内のバトルに勝利すると、SLPという暗号資産を稼げる。その原資は購入したNFTなど。スカラーというNFTのレンタル制度も用意している。

その一方で問題点も浮き彫りになった。2021年に爆発的ヒットとなった『Axie Infinity』に、インスパイアされたゲームが多く出てくるものの、多くは失敗するだろうと真田氏は予想しているようだ。『Axie Infinity』のようなエコノミクス(ゲーム内経済)をベースにしたGameFiという分野が破綻し、厳しい状況になっている。

KLabのWeb3事業子会社BLOCKSMITH&Co.で運営するサービスにおいては、そのエコノミクスと一線を画す内容になるとしている。

BLOCKSMITH&Co.では、3本の柱をもって事業を行っていく。

1つ目は日本の人気IPを用いた新型のGameFiシリーズ、2つ目はソーシャルクイズプラットフォーム、3つ目はWeb3の知見経験を生かした enablerビジネス、プラットフォーム。

これらのサービスを運営するにあたって重要視しているのは、

・グローバル
日本国内専用のタイトルを作ることはない

・マスアダプション
『STEPN』は60万人ほどだったものの、0を2、3つ増やしていくことが目標

・サステイナブルなトークンエコノミー
これまでのGameFiは、サステイナブルなものではなかった

としている。



その人気IPを用いたタイトル第一弾として、現在開発中のブロックチェーンゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』を挙げていた。

『キャプテン翼 -RIVALS-』は、 原作『キャプテン翼』に実際に登場する選手たちを育成し、 他のプレイヤーと対戦(PvP)する新感覚ブロックチェーンゲームとなる。

最大の特長は、 他プレイヤーとの対戦を通して得られるライバルピースを、選手やサポートキャラクターなどのNFTを含む報酬と交換することができる点だという。従来のスマートフォンゲームとは異なり、 本作においてプレイヤーが扱う選手に関しては、 たとえ同一選手であっても全て異なる絵柄・パラメータから構成されるようプログラムで生成された、 自分だけの「ジェネラティブNFT」となる。<関連記事>

『キャプテン翼 -RIVALS-』においては、トークンを暗号資産取引所に上場させる計画もあるようだ。ただしサステイナブルという点を重視しているため、トークンの価格を維持するためのプライスバランサー機能を実装する予定。

またKLabグループの強みとして、これまでのモバイルオンラインゲームやソーシャルゲームにおけるIPを用いたゲーム開発の実績・ノウハウについても挙げていた。まずは『キャプテン翼 -RIVALS-』をヒットさせ、新しいIPを預けてもらえるようになるというのを目標としているそうだ。

なおリリースのスケジュールについては、個人的にはワールドカップに間に合えば良いとしているものの、当局の関係なども含めて、法律にきっちり準拠して運営を行っていくため、外部要因に左右される要素が多いとの発言にとどまっていた。

続いてはLearn and Earnサービス『Quizo.ooo』についてだ。Quizを解くことにより知識を得ながら報酬を獲得できる、学んで稼げるLearn and Earnサービスとなる。連続正解で報酬の倍率が上がっていくというようなエキサイティングな内容になっているとか。

従来の多くのGameFiがプレイ開始時にNFTの購入を必要としていたものの、Free to Playというモバイルゲームに多くあるタッチポイントを継承した。またゲームアプリという範疇だけにとどまらず、クイズゲームプラットフォームとして打ち出している。

真田氏によれば「とにかく無料で稼げるという不思議な構造でユーザーを集め、そこから 課金転換率という kpi を管理、ユーザーさんが課金するというモデル」だという。

運営側は「チャンネルパスポート」というクイズカテゴリーのNFTを発行、ユーザーはそのNFTを購入するというモデルだ。「チャンネルパスポート」を購入することでプレイヤーは、購入したジャンルが多く出題されるという特典が付く。

またチャンネルごとにコミュニティが設立され、チャットでコミュニケーションを取ることができるほか、コミュニティ内でのランキングも実施し称号を付与する。

この称号も一つの肝になっており、ランキングなどと連動させ特定の順位以上のプレイヤーしか購入できないアイテムの販売を行う予定。「承認欲求と競争意識はゲームにおいて非常に重要である」と強調していた。

チャンネルごとのGvGのようなイベントも定期的に開催を行っていくようだ。興味深いところは、クイズの出題者側は必ずしもBLOCKSMITH&Co.側だけではないという。

クイズ問題を制作するのはYouTuber、Instagramer、TikTokerといったインフルエンサーなどで、稼ぐ場所を提供するといった意味合いがあるようだ。出題者についてはあくまでも一例で、企業はもちろんのこと、博士や専門家といったいわゆるお固い方面へのアプローチも検討しているとか。

出題する側は「チャンネルパスポート」NFTの発行やクイズの再生数に応じた収益分配などで売上を得られる。

真田氏は「SNS、オンラインゲーム、メディアのビジネスモデルを合体させたようなビジネスになる」とし、「またクイズの回答率から見たターゲティング広告の構想もあり、無課金ユーザーが多くいたとしても、収益構造が破綻しないモデルができるのではないか」と同ビジネスについて語っていた。サービスの開始時期は2023年としている。

なおさらなる詳細に関しては、今後徐々に明らかにしていくという。

(※1)各データの出典は以下の通り

モバイルゲーム市場2010年
https://www.statista.com/statistics/248658/worldwide-mobile-social-gaming-revenue/

モバイルゲーム市場2022年
https://www.statista.com/statistics/511639/global-mobile-game-app-revenue/

The BGA 2021 Member Survery & Report 内
https://www.blockchaingamealliance.org/



KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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BLOCKSMITH&Co.

会社情報

会社名
BLOCKSMITH&Co.
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