【ハイカジ道】KLabとグローバルギアの開発者に聞く『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』で感じた「IP×カジュアルゲーム」の可能性とは

昨今のスマートフォンゲームでは多岐にわたるゲームがリリースされている。その中でもカジュアルゲームにおいては、ゲームの間口を広げるジャンルとして、スマホアプリ市場において注目されている。

老若男女だれもが楽しめる万国共通のルールや直感的な操作が特徴のハイパーカジュアルゲームなどがそうだろう。

gamebizでは、各社のハイパーカジュアルゲームにスポットを当てたレビューやインタビューを掲載するコーナー「ハイカジ道」を展開しているが、今回はカジュアルゲームにフォーカスを当てる。

今年の7月に、KLab<3656>の子会社グローバルギアより『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』がリリースされた。

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本作は、サンリオの人気キャラクター「ぐでたま」の新作ゲーム。かわいいぐでたまに癒されながら、楽しく遊べる、マージ&放置ゲームとなっている。

リリース後、ストアの無料DLランキングにて最高12位を達成し、IPカジュアルゲームとしては好評を得ているようだ。

カジュアルゲームといえば、その制作の自由度からオリジナル作品としてリリースされることが多い。IP作品自体のキャンペーンとしてリリースされることは多いが、IPを扱ったカジュアルゲームはあまりランキングなどでは目にすることは少ない。

「IP×カジュアルゲーム」の可能性はどこまであるのだろうか。

今回、gamebizでは、『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』の開発に携わったKLabとグローバルギアのキーマンにインタビューを実施。

同作の開発経緯やカジュアルゲームの魅力、IPを掛け合わせることでの可能性について話をきいてきた。

三社の役割が合致した「ぐでたま」のカジュアルゲーム

 

KLab株式会社
ビジネスデベロップメント部 
パートナーアライアンスグループ グループリーダー 
ビジネスプロデューサー
角田 敦

ゲームビジネスのアライアンスを担当。『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』では、版元であるサンリオを含めた3社の取りまとめやプロジェクト進行を担当。



株式会社グローバルギア
デザイナー
吉武 涼

『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』のゲーム制作を担当。

――:本日はよろしくお願いします。まず初めに、『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』リリース時を振り返っての率直な感想をお聞かせください。

吉武:まず初めにグローバルギアという会社について簡単に紹介しますと、2013年に設立されたスマートフォン向けのカジュアルゲームを開発する会社です。KLabグループには昨年合流することになりました。

 

今回の『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』では、グローバルギア社ではIPを扱うのが初めてで、手探りな部分が多かったです。そんな中でも、KLabさんのサポートがあり、実現できたのでリリースできて良かったというのが率直な感想です。

角田:グローバルギアさんがIPを取り扱うというKLabグループとしても新しい事業となってよかったと思っています。

グローバルギアさんとしてもIPを初めて扱うことになりましたし、KLabとしてもグループ間のそれぞれの強みを活かして実現できたと思っています。

プロダクトについても、グローバルギアさんのお陰もあり、良いものができたと思っています。

やはり、ファンの多いIP作品なので、リリースされるまではファンの方々に受け入れてもらえるかはずっと気になってはいました。

リリース後、いろんな反響をいただけたので、リリースできて良かったと考えています。

――:本作の開発経緯についてお聞かせいただけますか。

角田:昨年にグローバルギアさんがKLabグループに参画していただきました。

そこで、グループとしても何か一緒にやっていこうという話が挙がり、その中の事業の一つがグローバルギアさんの作品にIPを取り入れようというものでした。

そこから、どういったIPがグローバルギアさんの手がけるカジュアルゲームに合うかを話し合った中で、マージ&放置ゲームというシステムと、サンリオさんの「ぐでたま」が世界観とマッチしたものが作れそうだということで、サンリオさんにオファーさせていただきました。

――:その時の印象はグローバルギアからみてはいかがでしたか?

吉武:人気IPのゲームをグローバルギアで作れるとは!と驚きました(笑)。

ファンの多い作品なので、不安もありましたが、大変魅力的な話だったので嬉しかったです。

キャラクターや世界観がしっかりと確立されている作品なので、ゲーム開発としても色々出来ることがあるなと楽しみな部分も大きかったです。

――:版元であるサンリオさんの印象はどうでした?

角田:サンリオさんにオファーさせていただいた際も、好意的な印象を持っていただけましたね。

「ぐでたま」という作品自体の展開も色々と計画されていたそうなので、その盛り上がりの一助になればと前向きに考えていただきました。

――:制作において苦労した点や印象に残っていることはありますか。

吉武:特に開発当初は、ぐでたまの世界観とゲームデザインをマッチさせることに苦労しました。今まで作成してきたカジュアルゲームでは、世界観を含めゼロから考える部分が多かったので、これまでのやり方とは少し違って苦戦しました。

そのため、「ぐでたま」の世界観を改めて調べてぐでたまへの理解を深めつつ、デザインをしていきました。

角田:私が印象に残っているのは、プロジェクトが立ち上がり、関係者でキックオフミーティングを行なった時です。

キックオフミーティングでは色々な取り決めを確認していくのですが、グローバルギアさんからはサンプルデザインも用意してもらっていました。

…そのサンプルが200点ほどあると聞いて驚きました(笑)。

――:キックオフのタイミングでその数は、すごいですね(笑)。

吉武:どのぐらいあれば良いか分からなかったので、最初からトップスピードで作ってしまいました(笑)。

角田:もしかしたら全部ボツになるかもしれないのですが、その数を用意したグローバルギアさんはすごいですね(笑)。

ただ、サンリオさんも喜んでおり、結果として3社の距離が一気に縮まったと思います。

関係構築がうまくいったという印象が残っていますね。

それぞれ役割が明確に分かれていたので、制作としては進めやすかった印象です。


▲グローバルギアのオフィス風景。今年2022年に移転し、オフィスも増床した福岡にあるオフィスだ。意外にもゲーム業界未経験者も多く、和やかで自由な雰囲気だという。

 

「IP×カジュアルゲーム」の可能性

――:制作にあたり、IPを取り扱う難しさはありましたか?

吉武:良かった点としては、世界観が定まっており、キャラクターの魅力も確固たるものなので、その点を考える必要がないのは大きかったです。

逆に、その世界観をブレさせないという点は難しいと感じました。ゲームとしての面白さも保ちつつ、ぐでたまらしさもアピールするというバランスをどうとっていくかが制作においての肝になりました。

例えば、弊社のゲームではゲーム内に広告動画が挟まれることがあるのですが、急に関係のない広告動画を見せて世界観を壊してしまわないように、ぐでたまに「CMなんだわ」と言ってもらう演出を加えるなどの工夫をしています。

また、今回は「ぐでたま」という作品で機会をいただき、その世界観にピッタリなゲームが作れたと思いましたが、ゲームジャンルとのマッチング適正の難しさもあると思います。

角田:IPを取り扱うメリットで言えば、ファンの方々が一定数いらっしゃるので、マーケティング面では非常に有利です。

プロジェクトの計画を立てる際も、オリジナル作品と比べると、事業的な算段も考えやすいです。

難しい面では、スケジュールのコントロールでしょうか。カジュアルゲームに限った話ではないですが、関係者が多い分、どうしてもスケジュールが長くなってしまいがちです。

また、監修方法なども版元様や作品によって異なります。ですから、過去の経験通りにいかないことも多く、どうしてもスケジュールを読みづらい部分は出てくるので常に試行錯誤しています。

カジュアルゲームの場合ですと、スピーディに開発してリリースするというのがセオリーと言えます。ですから、スケジュールが長引かないようにサンリオさん、グローバルギアさんとの調整には特に気を使っていました。

――:カジュアルゲームにおいてIPを取り扱うことの可能性はどのようにお考えでしょうか。

角田:可能性は多分にあると思います。IPを扱った大型ゲームは多くありますが、カジュアルゲームにおいては、まだそこまで多くはないと思います。

作品のプロモーションアプリとしてではなく、収益を生むゲームとしてもチャンスはあるのかなと考えています。

KLabグループとしては、カジュアルゲームを制作できるグローバルギアさんもいますので、今後もチャレンジしていきたいと思います。グローバルを見据えた挑戦もしていきたいですね。

吉武:カジュアルゲームの良いところは、ゲームが得意でない人も楽しんでもらえる、暇つぶしとして楽しんでもらえるところだと思います。

幅広いユーザーやファンに楽しんでもらえるゲームジャンルなので、今後もIPを扱ったカジュアルゲームを作れたら嬉しいですね。

――:今後の展望や目標についてもお聞かせください。

吉武:次のゲーム開発に着手していますので、ユーザーに楽しんでもらえるようなゲームに仕上げていきたいと思います。

また、私は今までマージゲームの制作にしか携わったことがありませんが、今後は他のジャンルも制作していきたいです。

角田:今回の『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』では一定の評価をいただけたと思いますが、今後も様々なスキームを構築していろんなIPを扱ったカジュアルゲーム制作に挑戦していきたいと思います。

KLabはグローバルで展開しているスマホゲームをリリースしているという会社とみていただいている人が多いかと思いますが、カジュアルゲームも出している会社なのだと知ってもらえるように頑張ります。

――:最後に、読者に向けて一言お願いします。

角田:KLabのカジュアルゲームは、ある種、新規事業に近いものと考えています。

まだまだ新参者ですので、皆様のお力をお借りしながら結果を出せるよう頑張ります。

『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』についても、この記事で興味を持った方は是非プレイしていただきたいなと思います。

そしてもちろん、既存のスマートフォンゲームも引き続き開発しています。

今後も様々なゲーム開発に挑戦していきますのでこれからもよろしくお願いします。

吉武:カジュアルゲームを制作している他会社とも切磋琢磨しながらゲーム業界を盛り上げられたらと思います。

今後もKLabさんと一緒に頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。

――:ありがとうございました。

■『ほかほか ぐでたまごはん ~伝説のしょうゆを探すんだわ~』

ⓒ 2022 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L635369
ⓒGLOBAL GEAR

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
企業データを見る
株式会社サンリオ
https://www.sanrio.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サンリオ
設立
1960年8月
代表者
代表取締役社長 辻 朋邦
決算期
3月
直近業績
売上高203億1500万円、営業利益59億6400万円、経常利益63億7400万円、最終利益49億1600万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
8136
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