レッドハットは、この日(3月7日)、スクウェア・エニックスより『ドラゴンクエスト X オンライン』サーバーシステムの標準 OS として Red Hat Enterprise Linux(RHEL)が採用されと発表した。オープンソースのフル活用を行うことで、稼働工数の削減やセキュリティ強化、顧客体験の向上、人材育成にリソースを振り分けたい、としている。
<以下、プレスリリースより>
スクウェア・エニックス・グループは、世界のエンタテインメント・コンテンツ/サービスの集積地である日本、アメリカ、ヨーロッパ等に事業拠点を置き、デジタルエンタテインメント、アミューズメント、出版、ライツ・プロパティ等の 4 つの領域で事業を展開しています。スクウェア・エニックス、タイトーなどの国際的ブランドの下、グループの強みである自社 IP(IntellectualProperty:知的財産)を活かし、多様な嗜好をとらえた高品質のエンタテインメント・コンテンツ/サービスを提供しています。
ゲームプラットフォームは、顧客体験や自社の収益に直結する極めてクリティカルなシステムです。スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエスト X オンライン』インフラチームは、大規模なインフラの管理運用保守の効率化に日々尽力しており、かねてよりコミュニティサポートの Linuxをはじめとしたオープンソースソフトウェアを活用してきました。しかし、MMO(Massively Multiplayer Online)ゲームはお客様の遊びの幅を広げるため度重なるアップデートが必須であり、それに伴うインフラの複雑化や運用負荷の増大が大きな課題となっていました。
オープンソースソフトウェアに関するより深い知識をもって、ユーザー体験を損なう様々な問題により迅速に対応することが求められたインフラチームは、こうした課題に対応するため 2016 年よりレッドハットのコンサルティングサービスの活用を開始しました。オープンソースソフトウェアのスペシャリストであるレッドハットコンサルタントから、新たな活用方法や運用改善に向けたアドバイスとスキルトランスファーを受けた結果、オープンソースソフトウェアの価値を再認識しチームのスキル向上を実現することができました。
レッドハットコンサルティングを通じてオープンソースソフトウェアの世界観と文化を実感した『ドラゴンクエスト X オンライン』インフラチームは、レッドハットとともにこれまで以上にオープンソーステクノロジーをフル活用する方針へと舵を切りました。『ドラゴンクエスト X オンライン』のサーバー更改を契機に、コミュニティ版 Linux からレッドハットの数十年にわたる Linuxの専門知識に裏打ちされた RHEL への移行を決定、採用に至りました。本採用によりレッドハットのエンタープライズグレードのプロダクトサポートを受けられるようになったことで、レッドハットのサブスクリプションの価値をフルに活用できるようになり、問題発生時の調査が大幅に迅速化、効率化しました。稼動工数が削減され、人材育成や顧客体験向上に向けた取り組みに一層リソースを振り分けることができるようになりました。
今後、『ドラゴンクエスト X オンライン』インフラチームは、RHEL をベースとした新たな取り組みの開始を予定しています。レッドハットのコンサルタントと同社の開発チームが協業し、コンテナを活用したよりモダンで柔軟なアプリケーションビルドやテストフローの確立を図る意向です。同社は、拡大する Linux 製品をより適切に管理するため、インフラ管理製品 Red Hat Satellite を採用し、セキュリティ脆弱性問題に対する迅速な対応を実現することを目指しています。Red Hat Satellite は、インフラストラクチャ全体をひとつのコンソールから管理できるので、大規模なシステムの管理とパッチをよりタイムリーに行うのに役立ちます。『ドラゴンクエスト X オンライン』インフラチームは、今後も継続的にオープンソースソフトウェアスキルの向上に努めるとともに、RHEL の利用領域を拡大してより効率的な運用に取り組んでいきます。
サポートコメント
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 執行役員/CIO 佐藤 英昭様
「大規模オンラインゲーム基盤構築においては、OSS を自力で活用し尽くすスタンスで取り組んできており、これまで無償で利用してきた LinuxOS への投資価値は実感しにくい側面がありました。一方で、OSS をより深く利用するにつれ、当社エンジニアだけでは解決が難しい壁に直面する機会が増えてきました。
その打開策として「Red Hat Enterprise Linux の採用」「Linux 開発コミュニティへ大きな影響力を持つ Red Hat のコンサルタントとの協業」に至った経緯があります。
膨大なナレッジと Linux カーネル開発者を多数有する Red Hat の OSS 課題解決力は非常に価値が高いと感じており、継続的にメンバーのスキルアップを図っていきたいと思います。」
株式会社スクウェア・エニックス 『ドラゴンクエスト X オンライン』 テクニカルディレクター 西岡信賢様
「OS バージョンアップが必要となる中サービスを運営しつつ移行を進めるにあたり旧 OS と新 OSで同時に同じバイナリで動作をさせるためにコンテナの技術を活用するのが良さそうということになりました。しかし開発チームでは知見がほぼない状況でこまっておりましたが、Red Hat のコンサルタントが我々に基礎から理解できるようなトレーニングを提供してくれました。インフラチームと開発チームが共に共通の技術を理解しながら、よりよいアプリケーションの開発に集中できるように支援してくれています。」
Red Hat, Viju Chakarapany, VP and Head of Commercial Sales - Asia-Pacific and Japan
「日本を代表する MMO の一つ『ドラゴンクエスト X オンライン』のサーバーシステムの標準 OSに Red Hat Enterprise Linux が採用されたことを大変光栄に思います。また、世界有数のエンタープライズ Linux プラットフォームとレッドハットのコンサルティング・サービス、パートナーとの組み合わせによって、未来を見据え安定した OS 基盤を維持しながら、『ドラゴンクエスト X オンライン』のイノベーションのさらなる加速を実現しました。」
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