経団連、エンタメコンテンツ産業への戦略的・一元的な政策対応を求める提言を発表 日本作品の海外市場規模を21年4.5兆円から33年に15~20兆円目指す

 

経団連のクリエイティブエコノミー委員会は、この日(4月7日)、提言「Entertainment Contents∞2023 -Last chance to change-」の記者説明会を開催した。クリエイティブエコノミー委員会の委員長で南場 智子氏と村松 俊亮氏、そして経団連の岩村 有広 常務理事が登壇し、日本のエンタメコンテンツについて、日本経済をけん引する産業とするため、若手クリエイターの育成体制の整備と挑戦の支援、観光拠点の整備、司令塔機能と官民連携の場の設置など「人」への投資から海外展開まで戦略的・一元的に取り組むことで、日本発のコンテンツの海外市場規模を2021年の4.5兆円から2033年には15~20兆円まで引き上げることを目指す提言だ。

 

世界的にエンタメ市場が拡大する中、日本発のコンテンツは人気を博しているが、国家的に取り組みプレゼンスを高める韓国や中国などに対し競争力の面で課題が出ており、優位性が失われつつある。エンタメコンテンツは、グッズやサービスの輸出、インバウンドにとどまらず、文化の発信という側面もあるため、産業としても波及効果が大きいと南場氏は指摘。「今ならまだ間に合う、最後のチャンスという思いから国として取り組むべきという提言をまとめた」。

 

続いて具体的な提言について村松氏が説明した。提言で重点を置いたのは「人材」だ。

 

まず、クリエイターがグローバルで活躍することを支援するため、起爆剤と位置づけるのがグローバルコンテンツ向けの制作コンペティションだ。音楽や映像、出版、ゲーム、スタートアップ、ベンチャーキャピタルなど分野横断型の民間コンソーシアムがコンペにコンテンツの提案を行い、選出された5チーム程度に制作費などの補助を行うことで、グローバルヒットを狙う人や作品を集中的に生み出すことを目指す。

 

人材育成に関しては、コンテンツに関連する学部や学科、社会人向けアカデミーの拡充をあげた。海外留学については、諸外国のコンテンツ、関連トップスクールへの留学費支援、留学から帰国したあとも能力を発揮できる環境の整備にも取り組む。民間でも教育現場への講師の派遣などにも積極的に行っていく。

 

また、制作スタジオと劇場、展示施設、教育機関が集まる、日本のエンタメを象徴する場所の整備にも取り組む。拠点も含めてコンテンツと観光の連携の加速で国内外から人材を引き付けるほか、海外の制作会社のロケ誘致にも取り組む。

 

戦略的な取り組みを行うためには司令塔も必要と指摘した。各省庁が取り組んでいるエンタメ振興・支援策を一元的に推進する存在として、コンテンツ庁の新設もあげた。コンテンツを政府の成長戦略に明確に位置づけ、海外拠点も整備し、コンテンツ産業政策に本気で取り組む体制を整える必要がある(村松氏)。海外拠点に関してはJETROの海外事務所があるが、エンタメ領域に関しては専門的な知識を持つスタッフが少ないなどの課題があるという。

 

海外展開に向けた取り組みとして、官民でコンソーシアムを組成して海外での出店に向けた連携体制の構築も行う。具体的には、海外で行われる展示会やイベントなどで大規模なブースを確保してプレゼンスを高めていく。海賊版への対策や、翻訳人材とのマッチング、翻訳者プラットフォームの構築などを行っていく。

 

政府のエンタメコンテンツの政策としては、「クールジャパン戦略」や「クールジャパン機構」がすでに存在している。両氏は、それらの取り組みには一定の成果はあったと評価しつつも、戦略性や一元性に欠けたこと、そして、プロデュースまたはクリエイトする「人」へのフォーカスが不足していたことに課題があったと指摘した。中国や韓国、サウジアラビアなど世界各国がコンテンツ産業を成長産業と位置づけ、戦略的な施策でグローバル競争に挑むなか、日本も海外展開を意識した上で人や作品への支援に注力していく必要があるとまとめた。