大手ゲームのアミューズメント事業、回復鮮明 IP活用や新たな切り口で差別化 外出機会やインバウンド増加が追い風に
コロナ禍が収束に向かいつつある昨今、家庭用ゲーム大手のアミューズメント事業の回復が鮮明になってきた。外出機会やインバウンドの増加を契機にクレーンゲームやカプセル玩具、業務用ゲーム機の稼働が好調だったようだ。コロナ禍の打撃で店舗閉鎖やリストラ、事業撤退などを行った会社が多いが、事業を継続したことで、市場回復の恩恵を享受した格好だ。ある種の"残存者利益"ともいえる。
先に発表された2023年3月期の決算発表でアミューズメント関連事業の業績を見ると、バンダイナムコHD<7832>やスクエニHD<9684>、カプコン<9697>など大手ゲーム6社中5社はコロナ前の売上を上回った。営業利益についても6社中4社がコロナ前を上回る水準を達成した。
※セガサミーHDの2019年3月期のアミューズメント機器にはゲーミングマシン事業も含まれている。アミューズメント施設から撤退したため数字には含まれていない。
※コナミグループには、パチンコやパチスロなどの遊技機も含まれる。また営業利益ではなく、事業利益を記載している。
※コーエーテクモホールディングスにはパチンコやパチスロなども含まれる。
※バンダイナムコホールディングスは、2021年3月期以前はリアルエンターテインメント / アミ ューズメ ントの数字。
このなかでも目立ったのはバンダイナムコHDだ。「バンダイナムコCross Store」「ガシャポンのデパート」「ガンダムパーク」などグループや保有するIPを連携した店舗を展開し、2023年3月期は売上高1046億円、営業利益60億円と過去最高業績を達成。歌舞伎町や秋葉原での新たな切り口の店舗展開など"次"を見据えた展開に抜かりがない。
同社は、アミューズメント施設について、単なる業務用ゲーム機やクレーンゲーム、カプセル玩具を提供する場としてだけでなく、IPなどのファンと直接接し、嗜好の変化を捉えることのできるリアルな場として活用しようという考えがある。今後も引き続き重視していくという。
カプコンも売上高156億円、営業利益12億円といずれもコロナ前を上回った。既存店の効率的な運営や新業態での出店効果などの施策が奏功した。クレイジーバネット(フィジカルアクティビティ)や、体験型アミューズメント施設「MIRAINO」、グッズ店舗とカフェを併設した「カプコンストア&カフェ ウメダ」などを展開した。
スクエニHDも売上高563億円、営業利益52億円と好調だった。アミューズメント施設の既存店売上高が前年を大幅に上回ったとのこと。コーエーテクモHDも売上高33億円、営業利益6億円とコロナ前の水準には及ばなかったものの、回復の動きを鮮明にした。こちらも既存店売上が好調だったという。
足元では、高騰する光熱費や人件費の収益への影響が懸念されるほか、カプセル玩具やクレーンゲームについては円安や原材料高も収益を圧迫する要因となりそうだ。市場回復を取り込みつつ、どうやって費用増を吸収していくかも問われる。
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684
会社情報
- 会社名
- コナミグループ株式会社
- 設立
- 1973年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 上月 景正/代表取締役社長 東尾 公彦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3603億1400万円、営業利益802億6200万円、最終利益591億7100万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム(ロンドン証券取引所にも上場)
- 証券コード
- 9766
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコホールディングス
- 設立
- 2005年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 川口 勝
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1兆502億1000万円、営業利益906億8200万円、経常利益1041億6400万円、最終利益1014億9300万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7832
会社情報
- 会社名
- セガサミーホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 里見 治/代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高4678億9600万円、営業利益568億3600万円、経常利益597億7800万円、最終利益330億5500万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 6460