Wright Flyer Studios、『アナザーエデン 時空を超える猫』が初のオーケストラコンサート「All to the Melody of Time」を開催! 当日の様子を公式レポートでお届け!
Wright Flyer Studiosは、『アナザーエデン 時空を超える猫』において、7月1日に初のオーケストラコンサート「All to the Melody of Time」を調布市グリーンホールにて開催した。本稿では、調布国際音楽祭2023の8日目に開催された本コンサートの様子を、公式レポートでお届けする。
■『アナザーエデン 時空を超える猫』初のオーケストラコンサート
11年目を迎える「調布国際音楽祭2023」の1つの演目として、『アナザーエデン 時空を超える猫』初のオーケストラコンサートが開催された。当日は雨天の中、会場では開演前から熱気を感じる人々の姿があった。その熱気によってか、天気予報では1日雨天だったにも関わらず開演時には雨が上がるという奇跡も。
そんなオーケストラコンサートの1曲目を飾るのは、アナザーエデンの代表曲である「殺されし時よ、人よ」と「Another Eden ~時空を超える猫~」だ。ハープの音色から始まり、次第にオーケストラが合流していくことで、馴染み深い曲が徐々にいつもと違う表情になっていき、期待感を高めつつ、中盤では、今回のオーケストラアレンジならではの要素として、鈴木優人氏によるチェンバロソロがあり、その優美な音色とともに、タイトル曲「Another Eden ~時空を超える猫~」が始まった。宮野幸子氏の巧みなオーケストラアレンジやホールの響きによって、原曲の雰囲気や疾走感を感じさせつつも、より壮大な演奏となった。
1曲目のメドレーが終了すると、アナザーエデンのサウンドディレクター兼コンポーザーの山上毅が登場し、曲紹介などを行った。今回のオーケストラコンサートを主催するバッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者でもある指揮者・鈴木優人氏との掛け合いでは、鈴木氏のアナザーエデンのプレイエピソードを語った。
続いての曲は、「王都ユニガン」「Paradoxical Dreamers」「Complex Dreamers」。「Paradoxical Dreamers」はバトル曲ならではの躍動感と緊張感があり、バンドライブでもお馴染みの曲だが、今回はオーケストラということで、この楽曲の持つ、いつもとはまた違った側面を垣間見れた演奏となった。疾走感と躍動感があるパーカッションの中にも流れるような弦楽器のフレーズが印象的で、より感情を揺さぶるようなアレンジとなっていた。
続いては、森下唯氏による「ラウラ・ドーム」のピアノソロだ。森下氏はさまざまなゲーム楽曲のオーケストラコンサートにも参加されるピアニストだが、その森下氏によって、原曲のピアノの美しいメロディラインがより彩られ、心が洗われるような演奏だった。そして、「時の空へ」「ジオ・アンギラス」「星を継ぐもの」が演奏された。
演奏が終了し、山上と森下氏のトークでは今回の演奏に対する感想などが語られた。オーケストラコンサートではピアノソロはよくあることだが、1曲まるまるピアノソロというのは珍しいとのこと。
ここからオーケストラコンサート第1部終了まで、「フィーネ愛のテーマ」「闇に仇なす傍に立つ者」「宿星の王」「エピローグ1.5」と4曲続けての演奏。
『アナザーエデン 時空を超える猫』リリース当初から深い関係のあるプロキオン・スタジオの土屋俊輔氏が「フィーネ愛のテーマ」を、マリアム・アボンナサー氏が「宿星の王」のセルフオーケストラアレンジを担当した。
「闇に仇なす傍に立つ者」はアナザーエデンファンの中でも人気の曲で、いままでバンドコンサートなどでも演奏してきたが、オーケストラで演奏することで冒頭の印象的な弦楽器のフレーズや、力強い金管楽器の響きがホール全体に広がり、原曲が持つ張り詰めた緊張感がより一層感じられる演奏となった。
■オーケストラコンサート第2部へ
オーケストラコンサート第2部最初の曲はメインストーリー第2部の代表曲「時の女神の帰還」が演奏された。野口明生氏のティンホイッスルの音色が綺麗に響き、まるで本当に歌っているかのような演奏だった。演奏明けのMCでは作曲者の山上が曲に対する想いを語った。
そして「ビッグ・ゴンジュロ~終わりなき陥穽〜」「冥王神〜終焉の凱歌〜」「混沌〜虚無に咲く花〜」、そして「手折られし祈り」「エルの唄」「Duress of luna」と、メインストーリー第2部を象徴した楽曲が次々続く。
美しくも儚いピアノの音色で幕を開けた「エルの唄」にオーケストラが重なり、そのまま「Duress of luna」へ繋がる流れは、ゲーム内での物語を想起させるようなアレンジとなった。
演奏はさらにメインストーリー第3部へと続き「時間帝国の逆襲 序曲 The Impractical Waltz」、「蒸気都市 オメガポリス」、そして「眠れる真珠」「The Irrational Impetus」「ニズヘルグ ~虚時の胎動~」が演奏された。
冒頭は原曲に忠実な複雑で緊張感のある弦楽器のフレーズから始まり、終盤の太田光宏氏によるギターソロは、オーケストラの重厚なサウンドの中で響くことで、物語の激しさや壮大さを感じさせる演奏だった。メインストーリー第3部のテーマ曲や「眠れる真珠」「The Irrational Impetus」「ニズヘルグ ~虚時の胎動~」のメドレーの編曲を手掛けたのは、テレビや映画、ゲームなど幅広いジャンルで活躍されている編曲家の山下康介氏であり、今回のコンサートにはメインアレンジャーとして参加している。
MCでは、ボス戦の曲が続いたということで、「ここで回復を」とゲーム内の回復音を流すと、場内からは大きな拍手が上がった。
続いては山上が作曲した「時は愛しき者をのせて」だ。山下氏と同じくメインアレンジャーとして参加している亀岡夏海氏にアレンジいただき、作曲者である山上がピアノ演奏で参加した。馴染みやすいピアノのフレーズと弦楽器と木管楽器を中心としたオーケストラのサウンドが印象的な、優しさを感じる演奏だった。
そしていよいよオーケストラコンサート最後の曲となる「Tragic Horizon」。この楽曲は、原曲収録の際に本コンサートの指揮者でもありチェンバリストでもある鈴木氏にチェンバロで、ピアノは森下氏に参加いただいた曲だ。今回のコンサートでももちろん鈴木氏と森下氏に演奏いただいた。
この曲は外伝「彷徨える少女と白夜の綴糸」の重要なシーンで流れる曲であり、物語で感じる感情を描いた曲となっており心を鷲掴みされたような感覚になる。オーケストラだからこそできる原曲の昇華。フィナーレに相応しい1曲となった。
演奏終了後は冷めきらぬ感動と興奮で、しばらくの間拍手が鳴りやまぬ状態が続いた。
カーテンコールの後、指揮者の鈴木氏が登場し「まだ帰れない気分なので」と最後にアンコールとして「Another Eden ~時空を超える猫~」を再演。やはりアナザーエデンを締めくくるのはこの楽曲だ。会場からもふたたび喜びの拍手が上がった。
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オーケストラならではのアレンジに、原曲とはまた違った良さを感じられた本コンサートは、終始感動と熱気に満ちており、約2時間の演奏があっという間に終了した。今回のオーケストラコンサートは「調布国際音楽祭2023」の1つの演目として開催されたが、今後この音楽祭がゲーム音楽との懸け橋になればと願うばかりである。
■□■セットリスト■□■
【第1部】
・殺されし時よ、人よ
・Another Eden ~時空を超える猫~
・王都ユニガン
・Paradoxical Dreamers
・Complex Dreamers 〜歪の夢幻を織る者たち〜
・ラウラ・ドーム
・時の空へ
・ジオ・アンギラス
・星を継ぐもの
・フィーネ愛のテーマ
・闇に仇なす傍に立つ者
・宿星の王
・エピローグ1.5
【第2部】
・時の女神の帰還
・冥王神〜終焉の凱歌〜
・混沌〜虚無に咲く花〜
・手折られし祈り
・エルの唄
・Duress of luna
・時間帝国の逆襲 序曲 The Impractical Waltz
・蒸気都市 オメガポリス
・眠れる真珠
・The Irrational Impetus
・ニズヘルグ ~虚時の胎動~
・時はいとしき者をのせて
・Tragic Horizon
写真:C)K.Miura
■□■ 調布国際音楽祭2023 ■□■
「調布国際音楽祭」 "Chofu International Music Festival"は、調布のまちを舞台に毎年初夏に行われているクラシックを中心とした音楽のお祭り。2013年に「調布音楽祭」の名でスタートして以来、音楽家・鈴木優人を中心に、手作りの感覚とクオリティを両立させたラインナップで親しまれ、年々注目度も増しています。11回目を迎えた今年のテーマは、「One Melody for All」。
■調布国際音楽祭2023公式サイト
https://www.chofumusicfestival.com/
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会社情報
- 会社名
- 株式会社WFS
- 設立
- 2014年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 柳原 陽太