漫画特化の深層学習モデル開発のOrange、グロービスや千葉道場より2.5億円を調達 「白猫」や「黒猫」責任者の「うがぴよ」こと宇垣承宏氏がCEO

漫画特化の深層学習モデル開発を手掛ける Orangeは、この日(7月27日)、Globis Capital Partners、千葉道場ファンド、その他個人投資家を引き受け先とした約2億5000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。OrangeのCEOは、宇垣承宏氏。「うがぴよ」として『⽩猫プロジェクト』と『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』の事業責任者を務めていた人物だ。

 

■Orange が開発する“Manga AI Localization" について

同社では2021年の創業より「Creating a world where everyone enjoys manga」をミッションとして掲げ、世界最高峰のMLエンジニアチームと共に、コンピュータビジョン、自然言語処理を中心に漫画特化の様々な深層学習モデルの開発を進めてきたという。

 

その内の1つ “Manga AI Localization" では、様々な自社モデルをパイプライン化することにより、従来の漫画のローカライズ(外国語版制作)プロセスの大半を自動化した。

翻訳品質を保証した上で「圧倒的に早く安価に多くのローカライズ」を実現している。今回、大人気Twitter漫画「ねこに転生したおじさん(ねこおじ)」とコラボレーションし、イメージビデオを制作した。

 

 

■今後の展望

“Manga AI Localization"を活用し、翻訳家と協力することで、これまで日本全体で月に100冊程(*1)行われている日英翻訳出版を、数年以内に10倍の月1,000冊以上をOrange経由で目指す。

縦スクロール漫画やTwitter漫画なども、積極的にローカライズ、海外出版をしていく。出版社および個人漫画家は、是非公式ホームページより問い合わせてほしいと呼びかけた。

今後も、システムの拡張(対応言語数の増加や機能追加等)やモデルの改善、AIによるwatermark、漫画のネーム生成モデル、3Dのセルルック表現モデルなど、漫画に関わる様々な深層学習モデルを開発していく。
(*1)Orange独自のAmazon.comの調査結果
(*2)“Manga AI Localization"は外部提供はしておらず、Orange社内専用のローカライズツールになる。

 

■調達した資金用途は、主に採用費 / 開発費 / 計算資源(GPU)に

Orangeでは様々な職種で募集をしているが、特に「MLエンジニア」、「翻訳家」、「翻訳編集長」を募集している。詳しくはこちらを確認してほしい。

 

CEOのコメント

■宇垣承宏氏(Product Manager 兼 CEO)
2017年のTransformer の発表以来、⽶国では深層学習モデルに対し更に⼤きな注⽬と資本が集まりました。⼀⽅⽇本では ChatGPT がリリースされてようやく、注⽬が集まり始めた状況です。
そんな中で、漫画のグローバル展開 / 多⾔語展開において、昨今の深層学習技術を活⽤すれば、従来よりもずっと多くの作品を世界に届けられると思い、Orange を創業しました。
10年後には世界中の⼈々が⾃分達の⺟語で「⽇本の名作漫画 "すべて" を読める世界」を実現したいと思っています。
Orangeはまだ社員が10⼈にも満たない⼩さなスタートアップですが、ML TeamにはChief AIの曽佐がKaggleのGrandMaster3名と共に、世界最⾼峰のMLエンジニアの少数精鋭で開発しています。
創業初期メンバーとしてジョインしていただける⽅がいらしたら、是⾮応募いただけると幸いです。
また、Orangeはまだまだ計算資源(GPUマシン)が圧倒的に不⾜している状況です。もし計算資源で何かしらのサポートをいただける⽅がいましたら是⾮ご連絡を頂けると幸いです。

 

投資家からのコメント

■千葉道場ファンド 代表取締役 千葉功太郎氏
10年以上前、宇垣さんが若⼿の当時からコロプラで活躍しているのを傍で⾒てきました。コロプラ時代に当時、取締役副社⻑として採⽤を担当しており、宇垣さんの⼊社も嬉しく感じていたことを思い出します。
その後数年後にはコロプラ社を⽀えていた2⼤プロジェクトである「⽩猫」と「⿊猫」の2つの事業責任者を"兼任"していたのを鮮明に覚えています。
そんな彼が独⽴し「全ての名作漫画を全ての⾔語に翻訳し世界に届けたい」という想いをお伺いし、迷わず、千葉道場ファンドとして出資させて頂きました。
Orangeには⽇本有数のMLエンジニアと実現可能なメンバーが集まっており、そのミッションの実現のために千葉道場ファンドでも応援させて頂きます。

■グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 磯⽥ 将太⽒
漫画家の⽅々が⽣み出す作品は、間違いなく⽇本が世界に誇るカルチャーの代表だと思っています。
昨今の海外でのアニメブームに端を発して、全世界で漫画やアニメのファンが急速拡⼤する⼀⽅で、海賊版の横⾏や、⽇本と⽐較しモバイル漫画アプリが充実していないこと、未翻訳の名作漫画が多い等、まだまだ⾮常に⼤きいポテンシャルがあると感じていたときに、宇垣さんにお会いしました。
そんな中、Orangeが⽔⾯下で開発している様々なAIプロダクトを⾒せていただいたときに、そのポテンシャルが最⼤限に活きるのではと感じ、投資させていただきました。
⽇本屈指のMLエンジニアチームが、スマートフォンゲームの⼀時代を席巻したコロプラ2⼤タイトルの事業責任者と共に、漫画の海外展開を⼤きく加速しうるプロダクトを開発する。
Day1グローバルのとても魅⼒的な事業・チーム・フェーズなので、ぜひ⼀緒に挑戦させてください。