サンリオ<8136>は、本日(12月15日)、東京地方裁判所に対し、東京国税局が行った更正処分の取消請求訴訟を提起したことを明らかにした。
同社は、2022年7月29日、東京国税局より同社に対する2017年3月期から2021年3月期の5事業年度についての更正通知を受領した。更正所得額は、約42億円で、追徴税額は地方税等を含めて約13億円だった。これについては、2023年3月期において、「過年度法人税等」として費用処理した。
同社が受領した更正通知によれば、当局は、同社の香港子会社及び台湾子会社がタックスヘイブン対策税制の適用除外基準(2017年度税制改正前)ないし経済活動基準(2017年度税制改正後)を満たしておらず、合算課税されるべきとの判断により課税処分を行ったという。
タックスへイブン対策税制は、タックスへイブン(軽課税国)を利用して租税回避を図る行為を排除する制度。経済実態がない、いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で、実態のある事業からの所得であれば、子会社の税負担率に関わらず合算対象外となる。
簡単に言えば、東京国税局は、サンリオの香港子会社と台湾子会社は税負担を軽くするための、事業実態のないペーパーカンパニーのような存在であると判断した、ということになる。
しかし、同社では、香港と台湾子会社は、現地の消費者の嗜好を反映するローカライズ(現地化)業務やキャラクタービジネスを展開するという積極的な経済合理性を有し、個々の現地顧客のニーズを反映させるためのカスタマイズ、企画提案及びサポートを行う独立した事業実態を備えている、とした。
そのため、同社は、各子会社が適用除外基準ないし経済活動基準を充足し、タックスヘイブン対策税制の適用を受けないものと判断した上で、適正に申告してきたという。
同社は、この更正処分等(タックスヘイブン対策税制に係る部分)を不服として、2022年10月28日に、東京国税不服審判所に対し審査請求を行ったが、同社の審査請求を棄却する旨の2023年10月3日付け裁決を受領した。この棄却裁決の理由は承服できるものではないため、今後、裁判において、同社の正当性を主張する、としている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サンリオ
- 設立
- 1960年8月
- 代表者
- 代表取締役社長 辻 朋邦
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高203億1500万円、営業利益59億6400万円、経常利益63億7400万円、最終利益49億1600万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 8136