【株式】ゲーム・エンタメ関連企業の株価、アニメやVtuber中心に活況 モバイルゲームはサービス終了が相次ぐ中で新しい挑戦もみられた1年という総括も少々

木村英彦 編集長
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2023年の株式市場が12月29日に終わったが、ゲーム及びエンタメ関連企業の1年間の株価上昇率をみていこう。年間の値上がり率上位を見ていくと、IGポート<3791>が113%の上昇率で1位だった。同社は、プロダクション・アイジーやウィットスタジオといったアニメスタジオのほか、コミック出版社のマッグガーデンを子会社として有している。業績の改善に加えて、『SPY×FAMILY』や『The ONE PIECE』など人気作品の制作を担当するなど注目を集めた。東映アニメーション<4816>が7位に入った。海外の動画配信サービスを中心にアニメ人気が伸びていることに加え、劇場作品でもヒットが相次ぐなど良好な事業環境が続いている。

新型コロナによる自粛からの正常化が進み、外出機会が増加したことを背景にコロナ禍で苦しんでいた企業の復調ぶりも鮮明となった。まんだらけ<2652>やフリュー<6238>、サンリオ<8136>、タカラトミー<7867>などがその例といえるだろう。そして旧セガのアミューズメント事業を引き継いだGENDA<9166>も華々しく上場し、上場後もアミューズメント関連企業の買収を進めるなど積極的に業容拡大を進めている。

Vtuber企業としてカバー<5253>も3月に上場し、注目を集めたが、同業のANYCOLOR<5032>は10%の上昇にとどまった。12月に行った決算発表で第2四半期の決算で売上高が8%増、営業利益が11%増にとどまるなど成長性に関する懸念が出たという。「にじさんじフェス」の開催時期のズレや、プロデューサーやエンジニアなど人材採用の強化などが要因とのことで、次の四半期決算でこうした懸念を払拭してほしいところ。

さて、ゲーム関連については、任天堂<7974>が上昇率34%でトップだった。好調な業績を背景にマーケットでの評価が上がっており、大納会には16年ぶりに上場来高値を更新した。その一方、モバイルゲーム会社を中心に下落している企業が多いことも目につく。モバイルゲーム市場は中国企業の台頭と市場の成長鈍化、開発費の高騰といった問題があり、そして相対的に順調とみられた家庭用ゲームも特に欧州と北米がインフレの影響を受けていることに加え、コロナ禍での巣ごもり需要も後退し、やや難しい事業環境になっているという。

ゲーム会社、特にモバイルメインの会社は、いま難しい選択を迫られている。一定の収益を上げている会社は、開発人員の増加や技術投資を行って開発力を高めつつ、モバイルに限らずにSteamや家庭用ゲーム向けの開発も行っていくようだ。同時に、漫画やライトノベルの出版やアニメなどIPの"上流"に進出したり、人材サービスなどゲーム関連の周辺事業に注力したりする会社も出ている。受託ビジネスは、家庭用ゲームは堅調だが、モバイルは全体的に本数を絞り込む動きがあり、新規での受注が取りづらい環境にあるそうだ。

メタバースやブロックチェーンゲームなどWeb3領域に進出する会社もあり、クルーズ<2138>のように一定の成果を出している会社も出ている。ブロックチェーンゲームも当初こそ家庭用ゲームやモバイルゲームに比べて内容の劣るゲームが多かったが、品質の高いゲームも徐々にリリースされるようになってきた。ブロックチェーンゲームで遊ぶための敷居がさらに下がり、そして「稼ぐ」よりもゲームとしての面白さがアピールできれば、市場として飛躍することは十分可能ではないか。

個人的には、2023年のモバイルゲームについては、『Pokémon Sleep』のように「新しいエンタメ」を提供したタイトルが生まれてきたことに加えて、外出機会の増加に関連して位置情報ゲームの復調が大きなトピックスだったと感じている。『モンスターハンターNow』のヒットはもちろん、運営開始10年目に突入したモバイルファクトリー<3912>の『駅メモ!』がいまだに成長を続けているなど一般的なモバイルゲームでは起こり得ない、驚くべき事象がみられた。

また、モバイルゲームのIP(アニメや漫画など知的財産権)タイトルについては、従来のような「(アニメ放送後などに)版元よりIPをお借りしてゲームを作らせていただく」という形から、アニメ製作委員会に参加してIPの展開に積極的に関与しつつ、IPの価値を高めるためのゲーム作りに取り組む会社が増えてきた。アニメの展開にあわせて3Dをフル活用したハイエンドなゲームを連動して運用していくというのは、かなり難易度の高い仕事だろうと思われるが、Aiming<3911>やサムザップが見事にやり遂げた。

2023年のモバイルゲーム業界は、海外企業の攻勢に押され、サービス終了を余儀なくされるタイトルが目立ち、事業撤退や転換に踏み切る会社が出るなど、停滞した1年だったように感じられたかもしれないが、新しいエンタメの提供やチャレンジングな取り組みも見られた1年だったように感じている。新しいIPタイトルへのアプローチ方法やWeb3領域もちろん、「健康」や「外出機会の増加」などをフックとして、新しいエンタメの創出余地はまだ十分に残されている。

(※)これは余談だが、大手ゲーム会社の中にはスマホゲームの終了が相次ぎ、社内のプロデューサーが過剰になっているという話も噂レベルで聞くようになってきた。

  

■ゲーム・エンタメ関連企業の株価上昇率(大発会終値と大納会終値の比較) 

順位 銘柄名 コード 年初 年末 増減率
1 IGポート 3791 2,190 4,680 113.7%
2 まんだらけ 2652 1,052 2,232 112.2%
3 カバー 5253 1,400 2,738 95.6%
4 HEROZ 4382 949 1,690 78.1%
5 タカラトミー 7867 1,258 2,233 77.5%
6 SHIFT 3697 22,510 35,820 59.1%
7 東映アニメーション 4816 12,580 18,930 50.5%
8 GENDA 9166 2,037 2,857 40.3%
9 ハピネット 7552 2,009 2,767 37.7%
10 アクセル 6730 1,609 2,158 34.1%
11 任天堂 7974 5,487 7,359 34.1%
12 ソニーグループ 6758 10,165 13,410 31.9%
13 フリュー 6238 1,060 1,394 31.5%
14 東京通信 7359 590 738 25.2%
15 サンリオ 8136 4,700 5,879 25.1%
16 コナミグループ 9766 5,950 7,383 24.1%
17 KADOKAWA 9468 2,335 2,871 23.0%
18 SEH&I 9478 228 279 22.4%
19 イオレ 2334 937 1,100 17.4%
20 東映 9605 17,350 20,330 17.2%
21 アカツキ 3932 2,204 2,532 14.9%
22 ANYCOLOR 5032 2,810 3,110 10.7%
23 ガンホー・オンライン・エンターテイメント 3765 2,127 2,352 10.6%
24 イマジニア 4644 910 1,002 10.1%
25 セルシス 3663 659 719 9.1%
26 ビーグリー 3981 1,142 1,225 7.3%
27 カプコン 9697 4,250 4,556 7.2%
28 ドリコム 3793 799 851 6.5%
29 マーベラス 7844 675 713 5.6%
30 エクストリーム 6033 1,193 1,235 3.5%
31 CRI・ミドルウェア 3698 873 901 3.2%
32 バンダイナムコホールディングス 7832 2,766 2,827 2.2%
33 アルファポリス 9467 2,271 2,302 1.4%
34 セガサミーホールディングス 6460 2,000 1,972 -1.4%
35 円谷フィールズホールディングス 2767 1,299 1,272 -2.0%
36 日本ファルコム 3723 1,233 1,184 -4.0%
37 買取王国 3181 813 780 -4.0%
38 トーセ 4728 728 698 -4.1%
39 東宝 9602 4,990 4,769 -4.4%
40 MIXI 2121 2,475 2,361 -4.6%
41 コロプラ 3668 622 591 -5.0%
42 フェイス 4295 513 477 -7.0%
43 アピリッツ 4174 1,142 1,040 -8.9%
44 日本一ソフトウェア 3851 1,120 1,016 -9.3%
45 ワンダープラネット 4199 1,281 1,116 -12.9%
46 テイツー 7610 160 138 -13.8%
47 ネクソン 3659 2,999 2,570 -14.3%
48 アクセルマーク 3624 290 248 -14.5%
49 エヌジェイホールディングス 9421 501 425 -15.2%
50 エイベックス 7860 1,644 1,368 -16.8%
51 ケイブ 3760 1,678 1,390 -17.2%
52 スクウェア・エニックス・ホールディングス 9684 6,150 5,063 -17.7%
53 カヤック 3904 837 687 -17.9%
54 coly 4175 1,075 882 -18.0%
55 グリー 3632 697 570 -18.2%
56 シリコンスタジオ 3907 1,202 982 -18.3%
57 エイチーム 3662 705 574 -18.6%
58 アエリア 3758 375 299 -20.3%
59 ディー・エヌ・エー 2432 1,777 1,377 -22.5%
60 クルーズ 2138 1,005 777 -22.7%
61 ボルテージ 3639 316 244 -22.8%
62 マイネット 3928 369 284 -23.0%
63 Link-U 4446 971 744 -23.4%
64 サイバーエージェント 4751 1,161 885 -23.8%
65 バンク・オブ・イノベーション 4393 6,050 4,610 -23.8%
66 オルトプラス 3672 195 146 -25.1%
67 ブシロード 7803 658 490 -25.5%
68 モバイルファクトリー 3912 876 637 -27.3%
69 ディー・エル・イー 3686 274 197 -28.1%
70 メディア工房 3815 316 227 -28.2%
71 モイ 5031 358 249 -30.4%
72 コーエーテクモホールディングス 3635 2,342 1,609 -31.3%
73 KLab 3656 432 287 -33.6%
74 エディア 3935 507 333 -34.3%
75 モブキャストホールディングス 3664 86 55 -36.0%
76 Aiming 3911 394 250 -36.5%
77 イー・ガーディアン 6050 2,631 1,613 -38.7%
78 ギークス 7060 849 503 -40.8%
79 サイバーステップ 3810 478 283 -40.8%
80 ガーラ 4777 504 286 -43.3%
81 UUUM 3990 820 434 -47.1%
82 enish 3667 345 170 -50.7%
83 壽屋 7809 3,460 1,614 -53.4%
84 gumi 3903 1,002 443 -55.8%
85 ユークス 4334 1,289 541 -58.0%
86 ウェルプレイド・ライゼスト 9565 3,925 1,463 -62.7%
87 GFA 8783 116 42 -63.8%
88 monoAI technology 5240 1,320 421 -68.1%

   

■ゲーム・エンタメ関連企業の時価総額ランキング(12月29日引け後ベース)

順位 銘柄名 コード 時価総額
1 ソニーグループ 6758 16,911,107
2 任天堂 7974 9,557,060
3 ネクソン 3659 2,200,145
4 バンダイナムコホールディングス 7832 1,882,449
5 カプコン 9697 1,214,200
6 コナミグループ 9766 1,059,461
7 東宝 9602 889,374
8 東映アニメーション 4816 795,060
9 SHIFT 3697 638,549
10 スクウェア・エニックス・ホールディングス 9684 620,377
11 コーエーテクモホールディングス 3635 540,612
12 サンリオ 8136 523,758
13 セガサミーホールディングス 6460 475,705
14 サイバーエージェント 4751 448,039
15 KADOKAWA 9468 407,062
16 東映 9605 300,252
17 タカラトミー 7867 208,999
18 ガンホー・オンライン・エンターテイメント 3765 205,182
19 ANYCOLOR 5032 195,749
20 MIXI 2121 174,079
21 ディー・エヌ・エー 2432 168,194
22 カバー 5253 167,358
23 グリー 3632 102,457
24 GENDA 9166 97,985
25 円谷フィールズホールディングス 2767 88,277
26 コロプラ 3668 76,863
27 ハピネット 7552 66,546
28 エイベックス 7860 62,468
29 マーベラス 7844 44,360
30 フリュー 6238 39,445
31 アカツキ 3932 35,907
32 ブシロード 7803 34,941
33 セルシス 3663 26,079
34 HEROZ 4382 25,419
35 ドリコム 3793 24,870
36 アクセル 6730 24,195
37 IGポート 3791 23,659
38 アルファポリス 9467 22,300
39 イー・ガーディアン 6050 19,249
40 バンク・オブ・イノベーション 4393 18,454
41 gumi 3903 17,528
42 まんだらけ 2652 16,151
43 壽屋 7809 13,622
44 日本ファルコム 3723 12,172
45 KLab 3656 11,793
46 エイチーム 3662 11,359
47 カヤック 3904 11,001
48 イマジニア 4644 10,670
49 Link-U 4446 10,544
50 クルーズ 2138 10,068
51 Aiming 3911 10,041
52 テイツー 7610 9,476
53 ケイブ 3760 9,300
54 UUUM 3990 8,671
55 ディー・エル・イー 3686 8,375
56 ビーグリー 3981 7,649
57 東京通信 7359 7,432
58 ガーラ 4777 7,160
59 アエリア 3758 7,071
60 エクストリーム 6033 6,795
61 フェイス 4295 6,597
62 ユークス 4334 6,003
63 モバイルファクトリー 3912 5,686
64 SEH&I 9478 5,576
65 トーセ 4728 5,419
66 日本一ソフトウェア 3851 5,214
67 ギークス 7060 5,192
68 CRI・ミドルウェア 3698 5,026
69 coly 4175 4,854
70 monoAI technology 5240 4,360
71 アピリッツ 4174 4,335
72 ウェルプレイド・ライゼスト 9565 3,987
73 モイ 5031 3,478
74 enish 3667 3,331
75 サイバーステップ 3810 3,306
76 シリコンスタジオ 3907 2,920
77 イオレ 2334 2,914
78 ワンダープラネット 4199 2,893
79 オルトプラス 3672 2,867
80 買取王国 3181 2,839
81 アクセルマーク 3624 2,640
82 メディア工房 3815 2,565
83 マイネット 3928 2,474
84 モブキャストホールディングス 3664 2,455
85 GFA 8783 2,348
86 エヌジェイホールディングス 9421 2,274
87 エディア 3935 2,041
88 ボルテージ 3639 1,589