プリティーシリーズ最新作『ひみつのアイプリ』試遊レポート…筐体の"複線化"はゲームの進化とファンの多様化、新規ファンに対応した画期的な取り組み

タカラトミー<7867>グループのタカラトミーアーツは、「プリティ―シリーズ」最新作『ひみつのアイプリ』のアニメ放送にあわせて、アミューズメント筐体として、『ひみつのアイプリ』と『アイプリバース』の稼働を2024年4月4日より同時スタートする。稼働開始に先立ち、両筐体を試遊することができたので、レポートしていく。子供をターゲットにしたアーケード筐体で2種類を同時展開するケースは珍しいが、どういった位置づけになっているのか。

『アイプリバース』は、『プリパラ』以来の人気要素である「マイキャラ」の育成にフォーカスした作品だ。マイキャラを作成したら、「コーデ」を集めておしゃれをして、ゲーム内の「アイプリひろば」で、アニメキャラクターや他のユーザーの「マイキャラ」と出会い、様々な遊びが一緒に楽しめる。

『ひみつのアイプリ』に比べて、楽しむ要素が多く、奥深いゲーム性になっていることに加え、歴代のプリティーシリーズ作品に登場するキャラクターが出てくるなど、シリーズ作品のファンがメインターゲットとなっているようだ。

それに対し、『ひみつのアイプリ』は、キャラクターカードを集めてアニメ連動のライブ体験が楽しめるリズムゲーム。ゲーム中の演出やライブシーンなどアニメの世界に入って楽しむことを意識した作りとなっている。『アイプリバース』に比べてゲームの要素やUIがシンプルで、『ひみつのアイプリ』からファンになった人をターゲットにしていることが伺える。「プリティーシリーズ」で初めて遊ぶ人はこちらから入ると良いようだ。

また、両筐体は全く独立しているわけではなく、連動性も用意されている。例えば、『アイプリバース』で育成した「マイキャラ」を『ひみつのアイプリ』に「アイプリデビュー」させることができる。他方、『ひみつのアイプリ』で手に入れたキャラクターカードを『アイプリバース』に読み込ませることでフレンドとして登場させることもできる。

それぞれゲーム単体で楽しむことができるようになっているが、両作品を意識して利用することでより深く『ひみつのアイプリ』の世界に入ることができる。今回始めてプリティーシリーズに触れる人は、『ひみつのアイプリ』から楽しんでもらい、慣れてきたところで『アイプリバース』も遊んでもらいたいと考えているようだ。そしてシリーズ作品で遊んできた人にも『ひみつのアイプリ』で楽しんでもらいたいという。

 

▲筐体には『ひみつのアイプリ』と『アイプリバース』をわかりやすくまとめた冊子も用意しているそうだ。

 

2つに分けた背景にあるのは、ゲームの行動化・複雑化とファン層の多様化だろう。「プリティーシリーズ」は、2010年の『プリティーリズム』から始まり『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』『ワッチャプリマジ』を経て、着実に進化の歩みを進めてきた。その半面、筐体ゲームとしてやや複雑なゲーム性になってきたことは否めない。そしてアニメを視聴した女児を含めて初心者が入ってくる一方で、シリーズ作品を熱心に楽しむファンも増えている。1つの筐体で多様化するファンのニーズに応えるよりも、あえて分けることを決断したようだ。

 

■シリーズファンを意識した『アイプリバース』

『アイプリバース』は、自分だけの「マイキャラ」で「アイプリデビュー」ができる、「プリティーシリーズ」の“楽しい"が詰まったアミューズメントゲーム。詳細なキャラメイクや豊富なコーデ、そして歴代シリーズのキャラクターや他のプレイヤーのキャラクターとの交流など、昨今流行している「メタバース」を意識した開発したようだ。

まず、プレイヤーデータを保存するセーブコードをスキャンしたら、キャラ設定やキャラメイク、シンガー・ダンサー・モデルなどマイキャラの夢を設定していく。アイプリブレス(別売り)やセーブカード(施設で配布)に加えて、シリーズ初の取り組みとして、スマホにセーブコードを表示させて使うこともできる。スマホのセーブコードは、筐体に貼り付けられている二次元コードを読み込ませれば簡単に作ることができるそうだ。

 

▲ここで『ひみつのアイプリ』で手に入れたカードを読み込ませると当該コーデを着たキャラを登場させることができる。

 

▲シリーズ初の試みとしてスマホでQRコード(今回一部消している)を読み込ませると、セーブコードを発行することができる。セーブカードを持ち歩く必要がなくなる。これは『ひみつのアイプリ』でも利用できる。

 

メインコンテンツは「アイプリひろば」だ。ここに移動して、出会ったキャラクターと一緒にリズムゲームを楽しむ「ライブ」、またはバズるシーンの写真撮影を行う「パシャリング」をプレイすることができる。出会ったキャラクターごとに手に入れやすいコーデが表示されており、レアリティやデザインなど好みの衣装が出やすいキャラクターと遊ぶといいだろう。

 

 

撮影した写真またはライブ中のシーンとコーデをカード「プリフォト」として手に入れることができる(ここで追加で100円投入する必要がある)。自分だけの、唯一無二のオリジナルカードができあがる。これまでは縦印刷したカードがメインだったが、今回、ライブ中のシーンに限っては横で印刷される。よりキャラクターの顔に寄った絵が描かれている。終了後にコーデが1つ手に入る。ガチャのようなものだが、回数が多くなるほどレアなコーデが手に入りやすくなる。

 

▲一番左はライブ中のカットだが、横に撮影したフォトが含まれていることがわかるだろう。

 

■アニメの世界観のライブが楽しめる『ひみつのアイプリ』

続いて『ひみつのアイプリ』をみていくと、アニメ世界のライブが楽しめるリズムゲームとなっている。全体的にシンプルな内容・UIとなっており、初めて遊ぶ人もすんなりと入れるはずだ。ゲームを始めるために筐体に100円を入れると、『ひみつのアイプリ』の登場キャラの描かれたアイプリカードが出てくる。ここで自分のセーブコードをスキャンすると、『アイプリバース』で育てたキャラクターを登場させることも可能だ。

 

 

ゲーム開始時に手に入れたキャラクターカードを筐体のフラットパネルに置くと、そのキャラクターにちなんだ楽曲でライブが楽しめる。ライブは、オーディションとなっており、審査員によって判定が厳しい、優しいなどの特徴があるという。ライブまでの各種の演出もアニメにあわせて作っているという。アニメ未放送のため、記者はわからなかったが、プレイする人はこのあたりも確認してみるといいだろう)。

 

 

面白いのは、リズムゲームの遊び方だ。リズムアイコンの動きに合わせてボタンを押すのではなく、リズムに合わせてカードを動かしていくことになる。リズムに合わせてカードを動かしていくとゲージ画が待っていき、「バズリウムチェンジ」がはじまる。従来作に比べてクオリティがアップしているが、実際のアーティストのライブ演出を研究していったそうだ。遊び方もシンプルだが、これまでと違った新しい楽しさを生み出した。

 

▲フラットパネルにカードをおいて動かして遊ぶ。1枚のモードと、2枚使うモードが用意されている。『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 クロスブレイド』からの再利用とみられる。環境負荷が少なく、店舗にとっても負担が少ない。『秘密のアイプリ』も『ワッチャプリマジ!』の筐体を使っているようだ。

 

ライブに成功し、オーディションに成功すると、喜んでいるキャラクターが少しスローモーションになるなどエモさを追求した演出も盛り込まれている。このあたりは静止画では分かりづらいので、ぜひ筐体で体験してもらいたいところだ。

 

 

フラットパネルについては、筐体を見た当初は何のために利用するのか不思議に思っていたが、こういう遊び方もあるのかと感じた次第。小さな子供が遊ぶと、踊っているようにも見えるそうだ。またプリントもきれいに仕上がっているため、コレクションアイテムとして集めるのもいいだろう。遊んでいて傷つかないか心配な人は、スリーブに入れても遊べるという(カード自体は子供が扱っても傷つきづらいように作られている)。

 

■まとめ

全体としてみると、前作の『ワッチャプリマジ』は筐体ゲームとしてかなりの進化を遂げたものの、ゲームとしての進化・複雑化は、初めて遊ぶ人には難しい部分も出てくるのではと感じていた。『ひみつのアイプリ』は、思い切って2つの筐体に分けてしまうことで、新しいファンを開拓しつつ、シリーズ作品のファンのニーズに応えようとしたものといえよう。『ひみつのアイプリ』でプリティーシリーズは新しいステージに入ったように見える。

日本アミューズメント産業協会の調査によると、コロナ禍による外出自粛などの影響で、2021年度のキッズカードゲームの年間売上高は前年比19.8%減の166億5100万円と大きく落ち込んだ。その後、外出自粛からの外出機会の増加と人流回復に加えて、「ポケモンメザスタ」などヒットタイトルが生まれたことで売上は回復基調にあるという。終了したキッズカードゲームがあるなかでも、コロナ禍を乗り切ったプリティーシリーズは新作で飛躍を狙う。

 

■ゲーム『アイプリバース』

・タイトル:『アイプリバース』
・プラットフォーム:アミューズメントゲーム機
・ジャンル:キャラクター育成カードゲーム
・プレイ料金:100円(税込)でゲームスタート・追加100円(税込)ごとにカード1枚配出
・稼動時期:2024年4月4日より順次稼動予定

▼ゲーム公式HP(アイプリバース)
http://aipri.jp/verse/

▼ゲーム公式X(ひみつのアイプリ・アイプリバース)
https://twitter.com/T_ARTS_PRETTY

 

■ゲーム『ひみつのアイプリ』

・タイトル:『ひみつのアイプリ』
・プラットフォーム:アミューズメントゲーム機
・ジャンル:新感覚ライブ体験ゲーム
・プレイ料金:1プレイ100円(税込)~(カード1枚~配出)
・稼動時期:2024年4月4日より順次稼動予定

 ▼ゲーム公式HP(ひみつのアイプリ)
http://aipri.jp/

▼ゲーム公式X(ひみつのアイプリ・アイプリバース)
https://twitter.com/T_ARTS_PRETTY

 

© T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / AP製作委員会
※掲載中のゲーム画面は開発中のもの。

株式会社タカラトミーアーツ
http://www.takaratomy-arts.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社タカラトミーアーツ
設立
1988年2月
代表者
代表取締役社長 近藤 歳久
決算期
3月
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