スクエニHD、27年3月期を最終年度とする中期計画 営業利益率15%、ROE10%以上目指す 「量から質への転換」と「マルチプラットフォームの推進」

 

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、この日(5月13日)、2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表した。苦戦したゲーム業を立て直して安定的な利益創出を行い、会社全体として営業利益率15%、ROE(自己資本利益率)10%以上を目指す。2024年3月期の営業利益率は9.1%、ROEは4.7%だった。また3カ年の戦略投資枠は最大1000億円を設ける。

 

24年3月期を最終年度とする中期経営計画は、売上高4000~5000億円に対し実績は3563億円、営業利益は600~750億円に対して実績は325億円にとどまり、いずれも未達成に終わった。

 

同社では、HDゲームを多数リリースしたものの、一部AAAタイトルや外部開発を中心に期待したほどの成果は得られず、営業損失を発生する事態となった。さらにスマホゲームについても新作が既存タイトルの経年劣化を補うことができなかった。

 

ゲーム事業では、「量から質」への転換を図る。IPをコアコンピタンスに据え、ポテンシャルの高いタイトルに人材と開発投資を重点的に配分する。HDタイトルは、安定した「面白さ」をベースにファン層の維持・拡大を目指す。開発にあたっては、マーケットインとプロダクトアウトをバランスよく組み合わせていく。

 

スマホゲームについては、安心して長く遊べる「面白さ」をベースにしていく。新規IPタイトルは、新たなファン層開拓に向け、新規性・独創性のある「面白さ」を重要視する。
プラットフォーム戦略も転換する。HDゲームについては、任天堂プラットフォームに加えて、プレイステーション、Xbox、PCなどマルチプラットフォームを推進する。またスマホゲームに関しては、iOSとAndroidだけでなく、PCなどへのローンチも選択肢として検討したい、としている。

 

また、デジタル販売の強化や、コンタクトポイント(顧客接点)強化による収益獲得機会の多様化も行う。

 

なお、その他のMMOや出版、アミューズメントゲームに関しては現状のモメンタムを維持、発展させていく。ライツ・プロパティは、ライセンスビジネスの拡大やサービスラインナップ拡充によりビジネスの面を拡大していく。

 

事業を支える経営基盤の強化として、ヨーロッパ、アメリカ両拠点の機能および組織構造の見直しと、それに伴うコスト最適化と、国内外グループリソースとの協業促進によるロンドン開発拠点の機能強化を行う。ハイブリッド勤務体制下で社員の生産性を最大化する各種インフラ投資やオフィス環境の整備、管理会計の精緻化も行う。

 

このほか、戦略投資については、最大1000億円としたが、今後1年間は200億円の自社株買いを行うという。自社株買いは一般的には株主還元とされるが、これが投資なのかと少々違和感を覚えた。それ以外には他社との提携や買収で業容拡大と安定化を狙ったインオーガニック投資も行う。

 

株式会社スクウェア・エニックス
https://www.jp.square-enix.com/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る