KADOKAWA、システム障害に関する第2報を発表　経理機能と出版の製造・物流機能は6月末を目処に復旧目指す　「ニコニコ」は1ヶ月以上かかる見込み

KADOKAWA<9468>は、この日(6月14日)、現在発生している同社グループのシステム障害に関する第2報を発表し、システム障害によって影響を受けた経理機能の立て直しと出版事業の製造・物流機能の正常化については6月末を目処に復旧を目指していると明かした。また「ニコニコ」について復旧まで1ヶ月以上かかる見込みだという。

同社は、現在、システムの復旧・正常化に向けて、全社を挙げて解決策の検討と対応を迅速に進めているが、システム障害に至った経緯と調査の進捗、および主な事業や業務への影響範囲、今後の対応も明かした。

■システム障害発生の経緯と調査の進捗

6月8日午前3時30分頃、同社グループの複数のサーバーにアクセスできない障害が発生した。この事実を受け、早急に社内で分析調査を実施したところ、ニコニコを中心としたサービス群を標的として、同社グループデータセンター内のサーバーがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受けたものと確認した。以降、同日中に対策本部を立ち上げ、被害状況の全容把握と復旧に向け、調査と対応を進めている。

被害の拡大を防ぎ、データを保全するために直ちに同データセンター内のサーバーをシャットダウンするなど緊急措置を講じており、同データセンターを共有している同社グループ内の他サービス、すなわち同社グループの複数のウェブサイトだけでなく、事業活動や経理機能を管理する基幹システムの一部にも機能停止が発生している。

■事業および業務への主な影響

【出版事業】
・国内における紙書籍の受注システム、デジタル製造工場・物流システムの機能を停止している。これによる受注停止、生産量の減少と物流の遅延に伴い、出荷数量が減少している。
・国内の紙書籍や電子書籍の編集・制作支援システムの一部機能が停止しており、一部新刊(紙書籍・電子書籍)の刊行や重版制作が遅延することが見込まれる。

【Webサービス事業】
・「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」「ニコニコチャンネル」などのニコニコファミリーのサービス全般が停止するとともに、ニコニコアカウントによる外部サービスへのログインが不可能となっている。

【MD事業】
・同社が運営する複数のオンラインショップにおいて、商品の受注不能や出荷の一部遅延が発生している。

【経理業務】
・経理システムにもその影響が及び、一時的に決済システムが機能停止状態となっており、その影響で一部の取引先への支払いに遅延が生じる可能性がある。

情報漏洩に関しては調査中。なお、個人情報・クレジットカード情報などの漏洩は現時点では確認されていないが、引き続き調査を進めていく。また、個人情報保護委員会に本件を報告済み。

■今後の対応と復旧の見込み

現在、同社はより精緻な影響範囲の特定とシステム復旧に全力を注ぎ、影響を受けている全ての事業および業務の機能回復を速やかに図っている。その中でも、事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の製造・物流機能の正常化については、最優先の取り組み事項として、来週以降段階的に実現させ、6月末を目処として、安全なネットワーク、サーバ環境の構築と基幹システムの復旧を目指す。

「ニコニコ」の復旧に向けては、安全な環境下でシステムを再構築する必要があり、正確な復旧時期は被害状況の調査結果次第だが、1か月以上かかる見込みであり、再開できるサービスから順次再開していく予定。

また、事業面への影響を最小限にとどめるべく、代替手段の構築など、あらゆる手段を尽くして同社製品・サービスの継続的な提供に向けて対応していく。

■業績への影響

本事案による同社の当期業績への影響は現時点では不明。影響を精査のうえ、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表する。より正確な調査結果、復旧状況や対応策について、お知らせすべき新たな事実が判明したら、改めて報告する。引き続き一日も早い復旧を目指して、同社グループ一丸となり、全力を尽くしてシステムおよび事業活動の正常化に向けて取り組む、としている。

【ビデオメッセージ】
▼KADOKAWAグループにおけるシステム障害についてのお詫びとお知らせ

▼ニコニコのサービス停止に関するお詫びと今後について