【インタビュー】『モンスターハンターNow』リリース1周年を記念してNianticの菅野D&麥谷Pにインタビュー! 思い出の地“渋谷”で初のリアルイベント開催した経緯とは

9月14日にリリース1周年を迎えた、Nianticとカプコン<9697>の『モンスターハンターNow』。10月12・13日には、初の大型有料イベント「モンスターハンターNow カーニバル 2024:渋谷」を渋谷広域にて実施。多くのハンターが渋谷の街に集って『モンスターハンターNow』を楽しんだ。こちらのイベントについても、別途レポート記事を掲載しているので、そちらの関連記事を参考にしていただきたい(関連記事)。

その際、Nianticで『モンスターハンターNow』のディレクターを務める菅野千尋氏と、同じくNianticで『モンスターハンターNow』のプロデューサーを務める麥谷結衣氏にインタビューを実施。リリース1年を振り返っての感想や位置ゲーならではの魅力、「モンスターハンターNow カーニバル 2024:渋谷」を開催した経緯・反響について話を伺った。


■『モンスターハンターNow』ディレクター
菅野千尋氏(Niantic)※写真左
■『モンスターハンターNow』プロデューサー
麥谷結衣氏(Niantic)※写真右

■『モンスターハンターNow』リリース1周年を記念して菅野D&麥谷Pにインタビュー

――:まずはご自身が担当されている業務を含め、自己紹介をお願いします。

菅野千尋氏(以下、菅野)Nianticの東京スタジオで『モンスターハンターNow』のゲームディレクターを務めている菅野と申します。私は主にプロダクトのクリエイティブ全般を見ており、ゲーム体験や製品に関連するところは全てチェックしています。また、今回の「モンスターハンターNow カーニバル2024:渋谷」のようなイベントでも、どういった体験を作っていくかを考えています。

麥谷結衣氏(以下、麥谷):Nianticで『モンスターハンターNow』のプロデューサーを務めている麥谷と申します。本作にはシーズン制というものがあるのですが、私は主に各シーズンでどんなことをしていくかを決めたり、アップデートに関する進行管理を担っています。具体的には、毎月開催しているイベントや、直近では3月に実装された重ね着システムの進行管理を務めました。今回の「モンスターハンターNow カーニバル2024:渋谷」では、企画や実装の準備にも関わっています。

――:9月14日に『モンスターハンターNow』がリリース1周年を迎えましたが、改めてこの1年を振り返って感想はいかがですか?

菅野:「もう1周年経ったのか」という驚きが一番大きいです。渋谷の北谷公園でリリース記念イベントを行ったのですが、それが1年前というのも嘘のようです。また今回、渋谷で大きいイベントを開催できるということも含めて、この1年、一所懸命に走ってきましたし、付いてきてくださったハンターの皆様に対しての感謝しかありません。

――:自分も、今回の「モンスターハンターNow カーニバル2024:渋谷」で北谷公園を訪れた際にリリース記念イベントのことを思い出しました(関連記事)。

菅野:リリース記念イベントに来られていた方は、懐かしい気持ちで今回のイベントに参加してくださっているかもしれませんね。

麥谷:ハンターとして成長して同じ場所に戻ってきたという感慨はありそうです。

――:開発期間から含め、最も印象に残っているエピソードを教えてください。

菅野:一番はコロナ禍で位置ゲーのテストが大変だったことです。特に、『モンスターハンターNow』は集まって遊んでもらいたいゲームなのですが、社員同士ですら集まれない時期があったのは苦労しました。その中で少しずつ改善を重ね、まずは社内にファンを作ることができれば、世に出たときにも面白いものになるのではないかというところから始めました。その結果、社内で「このプロダクトは絶対に世に出した方が良い」、「皆に遊んでもらった方が良い」という声が挙がって注目を浴びるようになったのが印象的でした。あの時期があったからこそ、今こうして皆様に遊んでいただけているので、頑張って良かったなと思います。

麥谷:私はリリース1~2年前からチームにジョインしたのですが、その時に装備のUIをガラッと変更したことが印象に残っています。今後、モンスターが追加されることで装備も増えることが分かっていたので、その際に遊びやすいUIという考えで1からデザインを作り直したんです。構成やデザインを変更したことで操作感や視認性が上がり、ゲーム体験の向上にも繋がりました。

菅野:Nianticでは毎日ビルドをアップデートしていて、いろんなチャレンジも試みています。例えば、地図を完全になくしてみたこともありますし、モンスターの正体を隠したこともあります。最近では広域マップが実装されましたが、当たり前を疑っていろいろ試した結果、今の形に行き着いています。弊社は『モンスターハンターNow』以外にも位置ゲーを開発していますが、仕様を同じにするのではなく、それぞれのタイトルに寄せて試したことで分かることは多かったです。

――:本日、開催されている「モンスターハンターNow カーニバル2024:渋谷」について、開催に至った経緯をお教えいただいても良いでしょうか?

菅野:弊社は「ゲームを通じて外に出てもらう」、「誰かと出会ってもらう」、「街の中にある面白いものや興味を持てるものを見つけてもらう」というミッションを掲げています。なので、こういったリアルイベントを実施することはリリースした直後から決まっていました。

その時から、ハンターの皆様が協力して遊べるものにしたいと考えていましたが、当初の想定では場所は今より郊外での開催を想定していました。なので、ライブマーケティングマネージャーの長野が「渋谷でやりたいです」という話を持ってきた時は驚きました。日本を中心に、世界各地で毎日とても多くの方々に遊ばれているゲームのイベントを渋谷で開催した時にどういう体験になるのかが想像できなかったからです。ただ、今回良かったのは、渋谷をスタート地点にした方は都市としての渋谷をご覧になっていると思いますし、明治公園から始められた方は渋谷のすぐ近くに「こんなに緑があって落ち着いた場所があるんだ」という発見があったと思います。“渋谷”という街が都市としていろんな顔を持っていることを遊びながら知っていただくきっかけになったのではないでしょうか。街全体をテーマパークとして捉えて遊んでいただけるイベントになりました。

――:確かに、自分でも実際に歩いてみて「ここも渋谷なんだ」という驚きがありました。

麥谷:普段から駅の周辺は歩く機会がありますが、少し離れたところのお店を発見できたり、開発陣も楽しみながらリハーサルしていました。ユーザーの皆様にも渋谷の街を再発見していただく機会になったと思います。

――:会場をご覧になられたご感想はいかがですか?

菅野:イベントを開催する前は、渋谷という街の大きさと人口密度を考えた時に、ユーザーが埋もれてしまうかもしれないと心配していたのですが、全くの杞憂になりました。先ほど明治公園から渋谷までタクシーで移動したのですが、運転手さんから「今日、スマホを持って集まっている人が多いんですけど、何かイベントでもやってるんですかね?」と言われました(笑)。僕たちが知らないだけで、実は普段の休日朝8~9時の渋谷とは違う風景が広がっていたんだと思います。

麥谷:私も朝からSNSでユーザーさんの反応を見ていたのですが、「近くにいるハンターの数が1000人を超えた」、「こんな数字初めて見た!」と盛り上がっていました。我々も見たことない規模で、普段なら大きな街でも200人ほど、先日のTGS2024会場よりも多い数字が出ました。今日、私たちが把握している最大値は3000人を超えていました。改めて『モンスターハンターNow』のポテンシャルの高さを感じることができました。

――:本イベントを盛り上げるためにどのような工夫をされましたか?

麥谷:まずは卓上で企画してモンスターの間隔や頻度を決めていたのですが、実際に歩いてみると「少ない」、「楽しめない」という部分があったので、リハーサルの後に反省会を開いて出現率や痕跡の位置などの細かい調整を行いました。あとは、フォトスポットや造形物など、見た目にも楽しく、ここに来た意味があるイベントとして企画しました。もちろん、ゲーム内でモンスターの素材が手に入ることは嬉しいのですが、リアルでもお土産や記念写真を残せることで思い出として心に残るようにしています。

――:今回のイベントで新モンスターとして「ネルギガンテ」が選ばれた理由をお教えください。

菅野:元々1周年の時期に看板となるモンスターを登場させたいという企画は考えていました。そこで「マガイマガド」をゲーム内に登場させたこともあり、「ネルギガンテ」はリアルイベントに出すのが良いのではないかという話になりました。キービジュアルからも分かる通り、渋谷とネルギガンテで良い絵に仕上がりました。

――:今後予定されているゲーム内外の展開についてお教えください。

菅野:比較的、要望が多いところとして「マイセット」の改善があります。具体的には、そもそも数を増やして欲しいという意見や、漂移錬成で入手したスキルをマイセットごとに紐づけられるようにして欲しいという意見があります。我々としても段階的に改善を行うようにしていて、前々回のアップデートでは戦うモンスターごとにマイセットを自動で呼び出してくれる機能を実装しました。さらに、近々マイセットのコピー機能を実装する予定です。さらに、その先に漂移錬成との紐づけや枠を増やすことも次のシーズン開始に合わせて行いたいと考えています。

このようにユーザーの皆様が不便に感じておられる点をフィードバックにより改善していく一方で、新しい機能にもチャレンジしていきたいと考えています。今日のイベントにご参加いただいた方々はご体験いただけていると思いますが、『モンスターハンターNow』は、集まって遊ぶことや、そもそもインタラクションする機会が凄く多く、より楽しい体験ができるゲームなので、もっとソーシャルにいろんな人とコミュニケーションできる機能を中心にゲームを良くしていきたいと考えています。

――:最後に、『モンスターハンターNow』ファンの皆様に向けてメッセージをお願いします。

麥谷:いつも本当にたくさん遊んでいただき感謝しております。フォーラムやSNSなどにお寄せいただいているご意見・ご要望は、開発チームも目を通しており、今後も改善に反映していけたらと考えております。今回、『モンスターハンターNow』は1周年を迎えましたが、今後2~3周年と盛り上げていきたいと思っておりますので、今後もぜひたくさん『モンスターハンターNow』を遊んでください。

菅野:日頃から『モンスターハンターNow』をたくさんプレイしてフィードバックをお寄せいただき、ありがとうございます。モバイルで『モンスターハンター』をプレイできるということ以上に、こういったリアルイベントの開催に向いているゲームだと考えています。多くのモバイルゲームと違い、リアルイベントとゲーム体験が完全にシンクロしていて、街全体を使って遊ぶことができるのは特別なものだと思います。いろんなところに行って多くの人と知り合ったり、かつての『モンスターハンターポータブル』のように実際に近くにいる人と顔を突き合わせて遊ぶことができる『モンスターハンター』が戻ってきたと思っています。単にマップを使って遊ぶだけでなく、そういったフィジカルな部分も楽しんでいただきたいと思います。今後ともぜひご期待ください!

――:本日はありがとうございました。


(取材・文 編集部:山岡広樹)



© Niantic ©CAPCOM

株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
決算期
3月
直近業績
売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
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Niantic

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