サイバーエージェント、第1四半期決算はメディア&IP事業が利益貢献開始で営業32%増益を達成…ABEMAを活用したIP事業戦略を推進する新フェーズへ

サイバーエージェント<4751>は、1月29日、2025年9月期 第1四半期(2024年10月〜12月)の決算説明会をオンラインで開催した。代表取締役の藤田晋氏が決算の概要を説明し、2025年9月期も順調な立ち上がりとなったことを強調した。
第1四半期の業績は、売上高が前年同期比5.6%増、営業利益が32.1%増と好調な結果だった。投資先行だったメディア&IP事業は営業利益14億円を計上し大幅増益し、広告事業も6.1%の営業増益だった。ゲーム事業は減収となったが、今年出す新作に期待を寄せた。
またゲームとネット広告で稼ぐうちに新しい柱を育てるという事業戦略が大きな成果を収めつつあることもあり、膨大なユーザー基盤を持つABEMAとグループシナジーを活用したIP戦略を強化していくことも明かした。
※一部読みやすくするため、表現などを変更しております。

第1四半期の決算の概要についてご説明させていただきます。当社は9月決算ですので、今回は10〜12月の第1四半期となります。全体的に順調な滑り出しだったといえると思います。売上高で5.6%増、営業利益で32%増となっております。今回からメディア事業をメディア&IP事業にセグメント名の変更を行っており、こちらは営業利益で22億円増と大幅に増益しております。広告事業に関しましては、昨年比11%増と2桁の増収、営業利益で6.1%増となりました。ゲーム事業に関しましては好調なタイトルがありつつも、前年同期比に対して落ち込んだタイトルがあるなど入り繰りで微減収となりました。

全体の売上高としましては5.6%増ということで、今期の業績の見通しに対して4分の1の進捗となっておりますから好調だと言っていいと思います。

営業利益に関しましては、先ほど申し上げた通り32%増と大幅増益となっております。

販売管理費につきましては大きなトピックスはございません。順調に推移しております。

従業員数に関しても、いつもどおりの推移となっております(※編集部注:新卒社員が入社する第3四半期に大きく増えてその後は横ばいで推移する傾向)。

貸借対照表につきましては、特に大きな変動はございません。

続いて2025年度の業績見通しについてですが、8200億の売上高と420億の営業利益と設定をしております。毎年増収増益基調を目指している期間に入っておりますが、前期(2024年9月期)はパッケージゲームで想定以上のヒットタイトルが生まれたことで上方修正をしたため、少し階段が高くなってしまったのですが、今期もしっかりと増収増益を達成していきたいと考えております。

進捗率については、売上高が24.9%、営業利益が19.8%になっております。当社は例年、第1四半期は弱含む期間です。営業利益で20%の進捗率であれば、順調と言って良いかと思います。
■メディア&IP事業

それではそれぞれのセグメントについて説明してまいります。まずメディア&IP事業でございます。こちらは売上を順調に積み上げておりまして、前年同期比で10.5%増となっております。

営業利益については、14億円の利益計上となりました。いよいよ営業利益に寄与するフェーズに入ってきました。ABEMAについては単体での黒字化はまだですが、順調にマイナスを減らしてきております。

ABEMAのWAU(週次アクティブユーザー数)の推移となります。かつてと比べてABEMAは年末の番組編成にそこまで力を入れてなくなってるんですけれども、おおむね順調に推移していると言えます。

ABEMAのユーザーの見ている作品のジャンルとなります。視聴時間で見ると、実はアニメがオンデマンドで全体の4割を占める状況となっております。

そういった特徴もあり、ABEMAではアニメの自社制作と出資に非常に注力してきましたが、ここにきてさらに積極化しております。現在劇場公開中の『プロセカ」の映画など、今後楽しみなタイトルも控えております。

こちらのスライドは、メディア&IP事業のうち、IP事業にフォーカスしたものですが、ABEMAの開局後、2016年から徐々に拡大しておりまして様々な分野を手掛けております。アニメ制作で言うと、CygamesPicturesが2016年に設立されて業界ではすでに高い評価を得ているんですけれども、この2025年1月にCA Soaという新しいアニメ制作会社を設立しております。

多くのユーザーを抱えるABEMAを中心として、オリジナルIPを制作、創出しゲームを中心とした多岐に渡るマネタイズで収益化させていくというグループシナジーをしっかり効かせられる体制が整ってきました。ここを中長期的には大きくしていきたいと考えております。
■インターネット広告事業

続いてインターネット広告事業でございます。インターネット広告事業は非常に順調に拡大を続けておりまして、この四半期も前年同期比で11.8%増となりました。この規模になって2桁の増収はなかなかの伸びだと思います。

営業利益ベースでは6.1%増となりました。営業利益率がなかなか伸ばせずに横ばいで推移しておりますが、こちらについても中長期的には営業利益率が上がるような施策をたくさん打ってますので、これから芽が出てくると思っております。

その中心となるのがAIと運用となります。AIについてはかなり先行投資を広告事業内でやってきた分野ですので、こちらの芽が出てくれれば、広告事業においても収益改善が見込めるのではないかと考えております。
■ゲーム事業


ゲーム事業です。ゲーム事業に関しましては、この四半期だけを切り取ると減収、営業利益でマイナス4.1%と微減となっております。

その理由としては、先程申し上げましたが、タイトルの中に好調なものがあれば、逆に少し落ち込んだものがあるなど、中身が少し変わってきたということになります。2025年に関しては少しリリースが延期になっていましたけれども『ちいかわ』のゲームと、さらにアニメで非常に大きなヒットとなっている『SAKAMOTO DAYS』のゲームを2025年春にリリースする予定です。今期中にはグローバル版を含め6本以上の提供を目指しております。
■中長期の戦略

最後に中長期の戦略です。2024年まではインターネット広告事業とゲーム事業で得た利益をABEMAを中心としたメディア事業に投資し新たな柱を育てる戦略でやってきました。
2025年になっていよいよ利益を挙げるフェーズに入ってきて、メディア事業で多くのユーザーを抱えたことで、ここから世界に通じるIPを創出しグループシナジーを効かせながらそれを世界に販売していくというビジョンを持って取り組んでおります。
第1四半期の説明について私からは以上です。どうもありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高8740億3000万円、営業利益717億0200万円、経常利益717億4300万円、最終利益316億6700万円(2025年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751