KADOKAWA、第3四半期決算は営業益18%増の158億円と増益達成 アニメ『【推しの子】』『リゼロ』や『ELDEN RING』大型DLC貢献 サイバー攻撃の補償計上も最終増益

KADOKAWA<9468>は、2月6日、2025年3月期 第3四半期累計の連結決算を発表し、売上高2065億8700万円(前年同期比10.5%増)、営業利益158億3800万円(同18.8%増)、経常利益172億2600万円(同28.5%増)、最終利益73億6600万円(同16.7%増)だった。

・売上高:2065億8700万円(同10.5%増)
・営業利益:158億3800万円(同18.8%増)
・経常利益:172億2600万円(同28.5%増)
・最終利益:73億6600万円(同16.7%増)

 

サイバー攻撃の影響を受けたニコニコなどWebサービスが赤字となったものの、主力の出版・IP創出、アニメ・実写映像、ゲーム、教育・EdTechの各事業が増収増益を達成し、た。

本年6月に発覚した同社グループデータセンター内サーバへのサイバー攻撃に係るニコニコサービスのクリエイター補償及び調査・復旧作業等を特別損失として23億3800万円計上したが、最終増益で着地した。

なお、サイバー攻撃の影響については、出版・IP創出事業では、影響を受けていた既刊の出荷量が8月には平常時の水準に回復した。また、Webサービスでも8月より複数の主要サービスを段階的に再稼働しており、9月以降は概ね全面的に復旧しているという。

 

第3四半期累計における各セグメントの業績は、以下のとおり。

 

■出版・IP創出事業

売上高は1117億2300万円(同9.5%増)、セグメント利益(営業利益)は63億6200万円(同12.4%増)となった。

書籍・雑誌は、アジアで好調が継続したことを主因として海外事業が増収となった。国内では新規IP数が増加し『パンどろぼうとりんごかめん』(児童書)や『山田くんとLv999の恋をする(9)』、『光が死んだ夏(5)』(コミック)等の新刊販売が貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少等により、減収となった。

一方で、電子書籍・電子雑誌がメディアミックス作品の他社ストア向け販売を中心に好調に推移したことに加え、ライセンス収入は遊技機向け等の貢献により増収となった。

利益面では、サイバー攻撃影響を含めた国内紙書籍事業の減益や、当事業の中長期的な成長を見据えた継続的な投資の中、電子書籍・電子雑誌や海外事業、ライセンス収入の伸長がセグメント全体の増益をけん引した。

 

■アニメ・実写映像事業

売上高は379億2100万円(同15.5%増)、セグメント利益(営業利益)は47億500万円(同30.1%増)となった。アニメでは、『【推しの子】』2期や『Re:ゼロから始める異世界生活』3期をはじめとした人気シリーズの国内・海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前年同期をさらに上回る成長を実現している。実写映像では、前期の劇場作品『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等の配信向けライセンス収入が貢献したことが増収をけん引した。利益面では、上記増収影響等により、セグメント全体で増益となった。

 

■ゲーム事業

売上高は264億5200万円(同38.6%増)、セグメント利益(営業利益)は86億5900万円(同44.5%増)となった。フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内外の販売が好調に推移したことにより、同作本編のリピート販売も増加し、セグメント全体の業績を力強くけん引した。

 

■Webサービス事業

売上高は133億6900万円(同16.9%減)、セグメント損失(営業損失)は7億1200万円(前年同期 営業利益10億6700万円)となった。第3四半期累計においては、動画コミュニティサービスでサイバー攻撃によりニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となった。利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組み等が奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく、減益となった。

 

■教育・EdTech事業

売上高は113億1900万円(同15.6%増)、セグメント利益(営業利益)は22億6400万円(同45.3%増)となった。クリエイティブ分野の専門校を運営するバンタンでは、4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となった。また、ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移している。利益面では、上記増収影響等により、セグメント全体で増益となった。

 

■その他事業

売上高は125億7000万円(同13.9%減)、セグメント損失(営業損失)は32億1200万円(前年同期 営業損失30億3300万円)となった。MD事業では売上高が微減となったものの、海外でのグッズ売上は順調に伸長した。また施設運営事業はIPイベントの好調等により増収となった。一方で、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退やグループ内のDXを担う機能子会社におけるセグメント間の内部取引の減少等の要因により、セグメント全体では減収となった。

利益面では、MD事業が増益となったことに加え、施設運営事業では前期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより赤字幅が縮小したが、サイバー攻撃の影響を含めたセグメント間の内部取引減少等により、セグメント全体として減益となった。

 

■2025年3月期の業績見通し

2025年3月期の業績は、売上高2717億円(前期比5.3%増)、営業利益163億円(同11.7%減)、経常利益162億円(同19.9%減)、最終利益90億円(同20.9%減)、EPS61.43円を見込む。株価収益率は54.0倍となる。従来予想からは変更はない。

・売上高:2717億円(同5.3%増)
・営業利益:163億円(同11.7%減)
・経常利益:162億円(同19.9%減)
・最終利益:90億円(同20.9%減)
・EPS:61.43円

【通期計画に対する進捗率】
・売上高:76.0%
・営業利益:97.2%
・経常利益:106.3%
・最終利益:81.8%

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2581億900万円、営業利益184億5400万円、経常利益202億3600万円、最終利益113億8400万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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