サイバーステップ<3810>は、この日(6月30日)、Web3領域への本格参入を決定し、その中核を担う戦略部門「クリプテック・キャピタル(CRYPTECH Capital)」を新設することを発表した。
■新たな収益基盤の構築と事業多角化への挑戦
同社グループはこれまで、既存事業の発展に加え、新たな収益基盤の模索と事業の多角化を推進してきた。今回、特に成長が著しいWeb3領域に経営資源を集中させることで、企業グループ価値のさらなる向上を目指す。
「クリプテック・キャピタル」は、暗号資産の戦略的な備蓄と運用を担う部門として機能する。キャピタルゲイン(価格上昇益)とインカムゲイン(利回り収益)の両立を図りながら、Web3コンテンツ収益やトークンを再投資・備蓄・活用する「資産循環モデル」の構築を推進する。
■「自己循環型トークンエコノミー」の実現へ
特に注目すべきは、ゲームやミームなどの同社Web3サービスから創出したトークンを、ビットコインやイーサリアムといった主要暗号資産へ換価・集約し、備蓄資産へと転換するモデルを推進する点。これにより、ユーザー参加型コンテンツで生まれた価値が企業資産に還元される「自己循環型トークンエコノミー」の実現を目指す。
■成長市場としての暗号資産とRWA、ミームコインの可能性
暗号資産市場は、規制整備の進展と機関投資家の参入に伴い、今後も拡大が見込まれており、長期的に見れば株式や債券、不動産といった従来の金融商品を超える成長率を示すと同社は分析している。
特に、コミュニティ主導で価値が形成されるミームコインは、新しいマーケティング手法としても注目されており、不動産や株式などの実世界資産をトークン化したRWA(リアルワールドアセット)やゲームIPとの親和性が高いことから、同社が展開するWeb3プロダクトとの連動性が高い領域とされている。
■「所有と体験が融合するメタバース経済」を見据えた統合戦略
同社は、この潮流を「所有と体験が融合するメタバース経済」の序章と捉え、「クリプテック・キャピタル」を中核とした暗号資産戦略によって、資産管理とユーザー体験の垂直統合を図る。さらに、自社関連コインの発行・運用や、決済・特典・投票権などの使用目的を持つユーティリティトークン展開も視野に入れた統合戦略を進めていく方針。
■今後の見通し
「クリプテック・キャピタル」は、市場環境の変化に応じて、キャピタルゲインを目的とした備蓄と、インカムゲインを目的とした運用の比率を柔軟に調整し、資産全体の安定性と成長性のバランスを図る。
2026年5月期には、初期投資額として2億円を想定し、最大で10億円までの備蓄を段階的に検討しており、市場の流動性やボラティリティ等の指標を考慮しつつ、機動的な資産運用を進める方針。
また、同社が展開するWeb3サービス群において創出した各種トークンが、主要暗号資産(BTC・ETH等)に換価・蓄積される資産循環モデルを本格稼働させ、ユーザー参加型コンテンツから企業収益基盤への資産流入経路を整備していくことで、Web3領域における新たな事業の柱を確立していくとしている。
会社情報
- 会社名
- サイバーステップ株式会社
- 設立
- 2000年4月
- 代表者
- 代表取締役社長 佐藤 類
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高25億400万円、営業損益17億8700万円の赤字、経常損益19億1600万円の赤字、最終損益16億9500万円の赤字(2025年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3810
