コーエーテクモHD、プライム市場上場維持へ正念場…流通株式比率不適合で「計画」を検討中

コーエーテクモホールディングス<3635>は、6月30日、2025年3月末時点において、東京証券取引所プライム市場の上場維持基準である流通株式比率を満たしていない状況であることを明らかにし、同基準適合に向けた「計画」を発表した。このまま改善が見られなければ、2026年10月1日には上場廃止となる可能性も示唆されており、今後の動向が注目される。

 

■現状と猶予期間

同社は、2025年3月末時点の適合状況について、流通株式比率が基準を満たしていないことを公表。これを受け、2026年3月末までの改善期間を設けた。この期間内に適合が確認できない場合、同社株式は監理銘柄(確認中)に指定される。さらに、2026年3月末時点の分布状況表に基づく東証の審査の結果、適合が確認されなかった場合は整理銘柄に指定され、2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある。

 

■上場維持への強いコミットメント

同社は、日本を代表するグローバル企業として、より高度なガバナンス体制と厳しい上場基準の達成が求められるプライム市場への上場維持が、さらなる成長性と収益性の実現に不可欠であると強調した。上場維持を通じて、投資家への市場取引機会の確保、ステークホルダーとの信頼関係構築、ブランド力・商品力の強化など、企業価値向上に繋がるとの見解を示している。

 

■過去の取り組みとその課題

同社は、流通株式比率に関する上場維持基準への適合に向け、流通株式数の増加を課題と認識。過去に以下のスキームを実施していた。

1.2021年12月2日:2024年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(総額460億円)を発行。
2.同日:990万0100株を上限とする自己株式の取得、および990万株を上限とする自己株式の公開買付け(TOB)を実施。筆頭株主である光優ホールディングスおよび第2位株主である環境科学が、それぞれ773万6772株および126万3228株を応募する契約を締結し、2022年1月6日にTOBは終了。900万0151株の自己株式を取得した。
3.資金使途: 転換社債型新株予約権付社債の発行で調達した資金を、TOBの買付資金に充当。
4.流通株式数増加策: 転換社債型新株予約権付社債を所有する投資家が転換権を行使した場合、TOBで取得した自己株式を交付することで、流通株式数の増加を図る計画だった。

しかし、同社株価が転換社債型新株予約権付社債の転換価額を下回って推移したため、行使期間(2022年1月4日~2024年12月6日)に転換権は行使されなかった。結果として、転換社債型新株予約権付社債は2024年12月20日に満期償還され、このスキームによる流通株式比率の改善は達成できなかった。

 

■今後の展望

同社は現在、上場維持基準適合に向けた新たな取り組みの検討を進めている。現時点では具体的な内容と実施時期は未定だが、決定次第速やかに開示するとしており、今後の発表が待たれる。

コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高831億5000万円、営業利益321億1900万円、経常利益499億8800万円、最終利益376億2800万円(202年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
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