駅探<3646>が3月3日、東証マザーズに上場する。目論見書と有価証券1の部をベースに同社の概要を紹介していこう。
同社は2003年、東芝の一事業部門から分離する形で設立された。当時の社名は駅前探検倶楽部。2007年10月、現在の筆頭株主であるポラリス・プリンシパル・ファイナンス(当時)の投資事業組合が東芝より株式を譲り受けて筆頭株主となり、2008年4月、現在の社名に変更された。
主力は、駅探モバイル事業で、2010年3月期の売上高は13億7100万円全体の売上に占める割合は56.5%。携帯電話ユーザーを対象に、公共交通機関に関する乗換情報の案内や時刻表情報、運行情報などの情報を提供している。携帯電話キャリアの公式サイトで、サービスの内容によって、無料版、月額105円のベーシック版、210円のデラックス版に分かれる。
2010年12月末現在の会員数は約264万人。内訳は無料176万、ベーシック43万5000人、デラックス44万9000人だった。無料会員を有料に移行させるとともに、ベーシックをデラックスに移行させることで収益を伸ばしてきたようだ(下表)。
プロモーションに関しては、主にリスティング広告やアフィリエイト広告を使っている模様。
ASPライセンス・広告事業は、乗換案内サービスとしてASP提供やPC向けソフト「駅探エキスプレス」のライセンス販売、同社HP上で無料で乗換案内サービスを提供する一方、他社に広告枠を販売している。売上高は10億5700万円で、売上に占める割合は43.5%だった。
対処すべき課題として、(1)乗換案内や位置情報に軸足を置いたソーシャルメディアへの取り組み、独自データ保有による手数料収入の構築など収益基盤の多様化、(2)サービスの利便性の向上とスマートフォンなどへの対応、(3)人材育成、(4)コーポーレートガバナンス体制の強化をあげている。
なお、業績については、2010年3月期は、売上高24億2900万円、経常利益5億1100万円、当期純利益2億7700万円だった。
■株主関係
筆頭株主は、ポラリス第一号投資事業有限責任組合で、保有株式数は103万8100株(保有割合60.99%)で、第2位株主はフジ・メディア・ホールディングスで22万4900株、第3位株主は、インクリメント・ビーで、14万7000株(同8.64%)となっている。
■株式関係
上場時発行済み株式総数は、172万2200株。公募増資は12万株。そのほか、売出は8万5000株、オーバーアロットメントによる売出は3万0700株。売出は、筆頭株主であるポラリス第一号投資事業有限責任組合が行う。
■資金使途について
増資による資金調達での手取り概算金は、約2億89000万円。その使途は、新規サービス開発のためのマーケティング、情報収集、付随して発生する人件費等の研究開発費として、2012年3月期に1億2800万円に、2013年3月期には1億1100万円を充当する。また自社サービス用サーバー増強のための設備資金として、2012年3月期に3000万円、2013年3月期に2000万円を充当する。