2025年5月28日、大阪・梅田にて「関西初上陸！LINE NEXTが挑む！次世代ブロックチェーンゲームPFの可能性」と題したセミナーが開催された。
本イベントでは、LINE NEXT日本事業統括本部長・栗原氏が登壇し、リリースからわずか4か月で急成長を遂げた「LINE Dapp Portal」の詳細や、Web2からWeb3へのスムーズな移行ノウハウが解説されるなど、さらにTencent Cloudからは大規模トラフィック対応の技術戦略、ビヨンドからは24時間365日のサーバー保守体制の重要性が紹介された。
関西地域の開発者にとって、次世代のゲーム開発と運営を考える上で貴重な機会となった。本稿ではその模様を紹介していく。
「LINE Dapp Portal」が切り拓くWeb3ゲームの新しい入口
LINE NEXT日本事業統括本部長である栗原氏の講演は、急成長を遂げるWeb3ゲーム市場における「参入障壁の低さ」と「既存アセット活用」の重要性を軸に進められた。
Web3と聞くと、依然として一部の先進的なユーザーや開発者だけの領域と捉えられがちだが、LINE NEXTが提供する「LINE Dapp Portal」は、その印象を覆す仕組みを備えている。
最大の特徴は、LINEアカウントでそのまま利用できる点だ。ウォレット作成や暗号資産管理といった煩雑な初期設定を不要にし、一般ユーザーでも直感的に使えるUXを実現。
これにより、Web2の感覚でWeb3コンテンツにアクセスでき、特に国内のカジュアル層や非暗号資産ユーザーにとって大きな魅力となる。
また、開発者にとっても参入障壁を下げる仕組みが整えられている。既存のゲームエンジンやAPIとの互換性を保ちながら、ブロックチェーン連携機能を追加可能。初期コストや学習コストを最小限に抑えられるようだ。
LINE Dapp Portalは、既存のWeb2ゲーム資産を活かしたWeb3化についてもスムーズな実装を可能にしており、既存のIPやユーザーデータを保持したまま、NFT・トークンエコノミーを組み込むことで、収益モデルを多様化できる。
課金モデル・広告モデルと、NFT取引や二次流通によるロイヤリティ収益を組み合わせたハイブリッド運用も可能なようだ。
栗原氏は「既存ユーザーのゲーム体験を損なわず、新たな体験価値を上乗せすること」がWeb3化成功の鍵であると強調する。
実際の導入事例として、既存モバイルゲームのWeb3化によってARPU（1ユーザーあたり売上）が約20％増加し、ユーザー定着率も1.5倍に向上したケースも紹介された。
特に限定NFTや、ユーザー間取引機能の追加がエンゲージメント向上に寄与。イベント連動NFTは配布後24時間で取引量が数万件規模に達したという。
LINE NEXTは単なるプラットフォーム提供に留まらず、開発・運営フェーズにも深く関与する。技術支援、マーケティング支援、ユーザーテスト環境の提供など、伴走型支援を強化。
また、海外展開やファンコミュニティ形成を支援する機能追加も計画中だ。栗原氏は最後に、「Web3ゲームは特別な存在ではなく、既存ゲームの進化形として捉えるべき」と語り、会場の関心を集めた。
グローバルインフラで支える安定稼働とコスト最適化
Tencent Cloudの講演では、同社が誇るグローバルインフラとコスト最適化戦略が紹介された。ゲーム運営において、安定稼働とコスト削減は両立が難しいテーマだが、同社は豊富な実績と技術力でこの課題を解決している。
Tencent Cloudは世界70以上のリージョン、280以上のノードを保有。特にアジア圏における低遅延通信と、中国本土接続の強みは他社にはない大きな差別化要因だ。
これにより、日本から中国、東南アジア、北米に至るまで、数百万規模の同時接続にも耐えるネットワークを構築できる。
需要予測と自動スケーリング機能により、リソースの過剰割り当てを防止。これによって最大30％のコスト削減を実現した事例もある。
大規模イベント時には瞬時にサーバーリソースを増強し、イベント終了後には自動で縮小。これにより、ピーク時のパフォーマンス確保と日常運用の効率化を両立する。
また、国内人気スマホRPGの事例も紹介された。大型イベント時には通常の3倍以上のアクセス集中が発生するが、Tencent Cloudのインフラにより遅延や接続障害を発生させず運営できたという。これにより、ユーザー満足度の維持と課金機会の最大化が実現できたそうだ。
そして、DDoS攻撃や不正アクセスに対しては多層防御を採用。さらに、日本国内のパートナーと連携し、緊急時の迅速なサポート体制を構築している。
「高性能・低遅延・安全性」を同時に実現するインフラとして、Tencent Cloudは今後も日本市場でも注力していきたいとし、今後もゲーム会社の支えになっていきたいとして講演を終えた。
「24時間365日保守」で守るゲーム運営の安定性
ビヨンドの講演では、株式会社ビヨンド 執行役員の中内氏より、運営の裏側を支える「24時間365日保守」の重要性が語られた。
サーバー障害は売上損失やユーザー離脱に直結し、ブランドイメージにも深刻な影響を与える。こうしたリスクを最小化するための取り組みが紹介された。
ビヨンドは大阪本社を中心に、横浜・徳島・カナダ・中国に拠点を持ち、サーバー保守・構築、ゲームAPI開発、予約システム運営などを展開している企業だ。
有人監視でリアルタイムにアラートを検知し、即時対応を行う体制を構築。ダウンタイムを最小化し、プレイヤー体験と信頼を守る。
また、問い合わせ対応は無制限で、イベント時の急なアクセス増加にも柔軟に対応できるそうだ。
多くの実績を持つ要因として、カナダ拠点との時差を利用し、夜勤をなくした日中稼働体制を確立したことが一つとしてあるそうだ。これによりエンジニアの負担を軽減しつつ、24時間体制を維持できているという。
また、AWSやGoogle Cloud、Oracle CloudからTencent Cloudへの移行実績も紹介。アニメ化された人気タイトルや、App Store売上ランキング1位の作品なども同社が保守を担当しており、今後Web3ゲームなどの新しい可能性を模索するゲーム会社をサポートできる存在でありたいとして本講演を終えた。
LINE Dapp Portal参加企業への支援
本セミナーは、Web3ゲームの新しい可能性、グローバルインフラの重要性、そして安定運営の裏側という、ゲーム・エンタメ業界の持続的成長に欠かせない3つの視点にて講演されていた。
最後に、LINE Dapp Portalの国内最大エージェンシーであるNull Up代表の齋藤氏からは同PFに参加する企業向けの支援プログラムを紹介。
詳細はセミナー参加企業限定公開とのことだったが、企業が新しい市場に参入するのに必要な人、モノ、金、情報を網羅したとても魅力的なプログラムであり、懇親会では、実際にWeb3ゲーム参入を検討しているゲーム会社もおり、登壇者も交えて情報交換が行われていた。
また、本セミナーの好評を受けて、8月25日〜26日に「WebX 2025」の公式サイドイベントとして8月27日（水）に都内にて「Build & Play: LINE’s Mini Dapp Seminar & Networking」も開催されることが決定。
本イベントは、これまでWeb3への移行を検討してきた日本/グローバルのゲーム開発者が集まり、これまで高い障壁と感じられていた部分について、LINE NEXTの各事業統括本部長が直接プラットフォームの詳細や最新のKPIが公開される。参加者同士の懇親会もあるので気になる人はチェックしてみよう。
■Dapp Portalについて
Dapp Portalとは、LINE NEXTが提供する、コミュニケーションアプリ「LINE」を基盤とした分散型アプリケーション（Dapp）のプラットフォーム。
LINEアプリ内から、ゲーム、ソーシャル、コンテンツなど様々なMini Dappを簡単に探して利⽤できる。Dappをプレイすることで、リワードとして仮想通貨KAIAやゲーム内トークン、NFTなどが獲得できる仕組みも⽤意されている。
こういった内容に当てはまる⽅々にオススメ！
★ ゲーム開発に携わっている
★ Web3に興味はあるが、第⼀歩が踏み出せない
★ スマホゲーム/コンソールゲームの開発経験しかない
★ 次世代のゲームトレンドをいち早くキャッチしたい
タイムテーブル
| 時間 | セッション内容 |
| 17:30 ～ 18:00 | Event Registration |
| 18:00 〜 18:10 | Greating |
| 18:10 〜 18:30 | LINE NEXT Keynote Session [JP] |
| 18:30 〜 18:50 | LINE NEXT Keynote Session [EN] |
| 18:50 〜 19:10 | Google Cloud Keynote Session |
| 19:10 〜 19:20 | Null Up Keynote Session |
| 19:20 〜 20:50 | Networking Time |
※ スケジュール‧プログラムは変更される場合があります。
会場案内
【会場名】
アルシアタワー3階
https://alcea.tokyo/
【住所】
東京都港区虎ノ門二丁目2番3号
注意事項
◆下記のような項⽬へ該当する場合、次回以降の勉強会‧コミュニティへの参加をお断りさせていただきます。
‧他⼈への迷惑⾏為（セクシュアルハラスメント‧パワーハラスメント‧ストーカー‧荒らし⾏為 など）
‧ネットワークビジネス、宗教活動、政治活動、その対象を問わず販売、勧誘、斡旋と⾒なされる⾏為
‧勉強会の趣旨、⽬的と逸脱した⾏為
■登壇企業
◆LINE NEXT
◆Google Cloud
◆Null Up
■主催者情報
◆LINE NEXT
【イベント概要】
イベント名：Build & Play: LINE’s Mini Dapp Seminar & Networking
日程：2025年8月27日（水）18:00〜21:00（UTC+9）
会場：東京都港区虎ノ門二丁目2番3号 アルシアタワー3階
主催：LINE NEXT
