2025年7月上海でBilibiliWorld2025が開催された。もともと20万人超が集まる大イベントではあるが、2025年のトピックは昨年までの時点でも大成功のイベントが、今年は+60%超と1.6倍以上もの成長をみせ、「来場者40万人」になってしまった点だ。2023~24年も上海を中心に二次元グッズの大好況時代であったことは以前取材したとおりだ。だがこの2024~25年でこれだけの急拡大があったのはなぜだろうか?今回はBilibiliWorld2025の取材とともに中国の二次元ビジネスの聖地「上海」の現在に迫った。
■40万人越えで世界一!?BilibiliWorld2025にみる中国二次元の現在地
2025年は「世界のアニメ熱」の中心軸がゴロッとズレた音を聞いた。BilibiliWorld(以下BW)という2017年に始まったばかりのアニメイベントが、コロナ収束後の中国において爆発的なファンを集める“お化け”イベントへと変貌したのだ。来場者数は20万人(2023)→24万人(2024)ときて、今年はなんと40万人(2025)になってしまった。すでに30年近い歴史をもつフランスJapan Expoの25万人を一気に飛び越え、世界最大とも名高いAnime Expoの40万人と一気に並んだのである。いや、「コスプレーヤーが3万人以上」(40万人の来客の中でも、カジュアルなコスプレも含めると10万は優に超えていた体感値)という“濃さ”も勘案すると、もはやBWは「世界一のアニメ・ゲームIPイベント」に到達してしまったかもしれない。

世界中から700もの出展社が出展床面積合計24万平方米にひしめき合い(東京国際展示場全体18.5万平米なので、その1.3倍ほどのスペース)に集積する熱気は、かつて経験したことのないものだった。外国人旅行客にはまったく親切とはいえない仕様、GoogleもFacebookも使えない環境でパスポートを使って入場する1割強の外国人参加者も、中国関係者の手引きなしには入場すら容易ではない。それでも4万人近くが中国以外から殺到していたことも驚きであった。











■隆盛する日本IP、2024~25年は中国進出戦略の再構築タイミング
日本IPは初音ミク、ウルトラマン、コナン、ドラえもん、ポケモン、ソニック、進撃の巨人、ウマ娘、バンドリ!、犬夜叉から、ダンダダン、フリーレン、Fate、にじさんじ・ホロライブのVTuberまで、所狭しと並んでいた。会場全体を見渡すと3-4割は日本IPではないだろうか。特にディズニーIPはディズニーブース、ワーナーIPはワーナーブースで1か所ずつしかないのに対して、日本IPは版元からゲームメーカー、商品化メーカー、それもローカルだけでなく日本からのベンダーも各種売れ筋を整えているため、歩く角、歩く角ごとに「薬屋のひとりごと」や「葬送のフリーレン」を見かける、といったような状況だった。




▲天聞角川でも本が売れるようになってきている。IP商品ばかりのなかで「本を売る」という差別化もできるようになってきている


▲中国ではセンサーシップで上映できない『鬼滅の刃』も、現地ファンからの熱いコメントで壁が埋め尽くされる

▲「柱」コスプレは本当に高頻度で遭遇した

▲ONEPIECEは原作でもTVアニメでもなく、NETFLIX実写版をベースにレゴ化しており、派生の多様さを感じさせた

▲日本のYAKUZAも「龍が如く」で中国進出

▲VTuber「眞白かのん」はなんと単独VTuberとしてのブース出展

▲VTuberコーナーだけで50以上ものブースが並んでいた。中国におけるVTuber事務所ビジネスはいまだ大活性化中である

▲LAWSONはIPタイアップにも熱心。「Punishing Gary Raven」とのコラボ

▲ガンダムは巨大模型、Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 「マチュ」のコスプレも多く見かけた
こうした中でも、日系ブースで一番の盛り上がりを見せていたのが「Bang Dream!」だ。本作は2016年からはじまるブシロード社のアニメ・ゲームを中心としたメディアミックスプロジェクトだが、4期にあたる「BanG Dream! It’s My GO!!!!!(通称:マイゴ)」の暗い雰囲気が中国オタクの心を捉え、2023年6~9月に爆発的な人気を誇る。Bilibiliの2025年1-3月クール作品では3位『薬屋のひとりごと』、2位『SAKAMOTO DAYS』で、なんと1位がマイゴの後継タイトルである「BanG Dream! Ave Musica(通称:アベムジカ)」と、中国の人気No.1を獲得してしまっている。クールの人気キャラクターをランキングで並べた結果はトップ10がすべてバンドリ!のキャラクターが席巻する、という、ちょっと日本でも見かけないほどの中国での集中的な人気の高まりをみせた。



▲『BanG Dream! Ave Mujica』で、声優がそのまま演奏まで担当する

夜は夜で「ビリビリMacroLink 2025」が行われた。7000~8000人キャパシティの本会場を使った音楽ライブイベントだ。Ave MusicaのOP主題歌『KiLLKiSS』は熱狂的な支持を受けており、そのクラシックメタル、ゴシックな要素も含めて昨年にはみなかったレベルでのファンの濃さを実感した。「Bang Dream!」以前から人気を誇るLove Live!シリーズからは「虹咲学园 学园偶像同好会」が出演。ほかにもYAMAが『SPY×FAMILY』エンディングテーマ『色彩』を歌い、宮野真守、茅原実里ともはや常連にもなった日本声優界の大御所たちも参加。昼間を超える熱気で会場をもりあげていた。これでもフルフルにうまってしまっており、来年以降も期待できる。BWの会場からは距離があるスタジアム型会場のベンツアリーナを使っていれば、今後1桁違う大興行が実施されるようになるかもしれない。
■グッズブームが火をつけたBilibiliWorldの超大イベント化
そもそも、なぜこれほどの大盛況をBWは誇るようになったのだろうか?いつからこんなにIPを中心としたイベントに成長したのだろうか?
Bilibiliといえば“中国版ニコニコ動画”として本家に3年遅れること2009年に始まった弾幕書き込み式の動画配信サービスで、最初は初音ミクの名前からMikufansと命名され2010年に改名したものだ(Bilibiliという名称もまた『とある科学の超電磁砲』の主人公御坂美琴の愛称「ビリビリ」からとられている)。
日本のオタクコンテンツを祖として始まった中国企業だが、二次創作や海賊版も横行していた当初から比べると、2013年に株式会社化し、2016年にテレビ東京と提携してからというもの、コンテンツの正規化を一気に推進した。2018年にNASDAQ上場、2020年にソニーの出資が実現する頃には、もはや日本企業の中国展開に欠かせないパートナー企業となっていた。動画配信だけでなく、『アズールレーン』や『三国:谋定天下』といったゲームも収益の根幹を担い、いまや中国で6千億元(12兆円)ともいわれるACG(アニメコミックゲーム)市場の旗手となり、冒頭のBWの大成功につながるのだ。
だが2020~22年は低迷した。上場後に一気呵成にプロモーションにアクセルをふんだBilibiliはこの3年間で毎年25~35億元(約500~800億円)もの赤字を出し、なんとか動画配信の赤字をゲーム事業で埋めるような日々だった。現時点でも赤字ではあるが2024~25年は赤字幅も圧縮し、4000~5000億円規模の増収増益に快方にむかっていったのは中国全土におけるIP二次元グッズバブルと無縁ではないだろう。
なぜ中国がこれほどIP一大市場になっているのか?には明確なターニングポイントがある。2022年12月のゼロコロナ政策転換である。奇しくも2018年から構想されていた“日本IPだけでビルまるごと”の「百聯ZX創趣場(通称ZXビル)」が2023年1月からスタートし、記録的な売上をみて、多くの小売店・百貨店が一気呵成に日本IPの獲得に動き出す。マンガの輸入代理店だった杭州翻翻動漫グループはグッズ販売の「三月獣」(March Monster)というサービスを展開、2022年に3億元だった売上は、たった2年で3倍に成長し10億元(200億円)到達。その店舗数も一気に40店舗にまで拡大するスピードは、驚異的である。日本のリテーラーでこんな一気呵成に投資を行う企業は類を見ない。

今回のBWにおけるMarch Monsterは、自社というより日本のMD・グッズメーカーとともに共同で物販ブースを構えていた。Crux、コンテンツシード、中外鉱業、Anique、メガハウスなど日本ではおなじみのグッズメーカーが並び、「版元ではなく、ライセンシーとしての商品製造・販売を担当するメーカーが出店するようになった」というのも2024~25年での大きな変化だろう。

アニメイト、Goodsmile、Amiami、寿屋、スクウェア・エニックス、タイトー、天聞角川、Furyuなどは常連だが、そこにアルマビアンカ、A3、TAPIOCAといった中規模クラスのMDメーカーも巨大なブースを構えてBWに参加していた。

■“キャラ結婚式”で加熱する中国乙女ゲームのサービス。POPMARTの中国国産IP化の新時代
会場において一番「異様な熱気」を放っていたのは、Papergames『恋と深空』だ。個人的には2025年のビリビリワールドにおけるMVP賞ともいえるブースである。今回のコンセプトはキャラクターに扮したコスプレーヤーと“結婚ができる”ということで、一人一人自前でブライダル衣装につつんだ女性が何十人と列をなし、キャラクターは1人1人をもちあげ、キスでもせまらんばかりの接写距離で「推しと写真がとれる」というものだった。ブーケもすべて生花でつくる本格的演出。このコーナーだけ人が溢れ、きらびやかに着飾った女性100%のコーナーになっており、筆者も足を踏み入れるのに躊躇したほど。
日本でも乙女ゲームは2010年代に入って一世を風靡している。ブロッコリーのうたの☆プリンスさまっに始まり、サイバードのイケメンシリーズ、HappyElementsのあんさんぶるスターズやAniplexのツイステッドワンダーランドなど。この「波」を中国でもたらしたのがゲーム開発会社Papergames、2015年『ミラクルニキ』や2017年『「恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~」などヒット作を連続してリリース、「恋とプロデューサー」はMAPPAで2020年にアニメ化すら実現している。
この「恋と」シリーズの2作目となったのが3D恋愛シミュレーション『恋と深空』であり、現在全世界を席巻する乙女ゲームとなったのだ。



2024年1月にリリースされた本作は毎月数十億円という女性向けとしては異例のヒットをした作品で、日本でもサービスが展開されており、2年かけてやりこんだユーザーたちがリアルのイベントで本当にゲーム内で起こったことが自分で実演できるというわけだ。男性向けには(女性キャラの)露出制限を厳しく取り締まる中国においても、まさか女性向けでの(男性キャラの)露出度をどう制限するかはいまだマニュアル化していないのではないだろうか。

個々人のアカウントをみるとこうしてキャラに抱き着いたブライダル写真をかぞえきれないほどアップしており、下記のようにキャラクターの2頭身を“裸にして”(正式にはタオルを巻いているが、あえてそれをとらえて全裸のようにしている)3290いいねをかせぐといった猛者もいるほど。

恋と美空は一例だが、近年は中国国産IPの創出事例が枚挙にいとまがない。記憶に新しいのは『原神』(2019)だが、2024年は『黒悟空』が中国発の家庭用ゲームとしては初の3000万本販売という大ヒットを飛ばした。2025年は累計3000億円に到達した中国史を塗り替えた国産アニメ『哪吒2』もあるが、それ以上に今年は「POPMART」のLabubuが世界中を席巻している。「The Monsters」というIPカテゴリーだけで売上は70億円(2023)→600億円(2024)→2000億円(2025予想)とハローキティ絶頂期をも超える数字をたたき出してしまった。
2025年は時価総額6兆円に到達し、絶好調のサンリオ社の3倍価値になってしまったPOPMARTがさらなる「中国IPグッズバブル」を引き起こしており、2024年に3.4兆円にもなるグッズ市場はこのまま4-5年で倍になる見込みで成長している。この規模は米国や日本と比べても数倍規模、トンデモナイ市場が立ち上がった中国である。

これだけの市場だ。取り組む日本企業も本格的に中国企業と手を取り合ったIP開発が始まっている。Bilibiliとそのアニメ会社絵梦であるBeDream、そしてアニプレックスが手を組んで共同製作プロジェクト「TO BE HERO X」全世界に広げていく。2025年4月から2クールのアニメが放送・配信中で、My Anime ListにおいてもScore8.72と海外評判も高い。アクションフィギュアなどの商品化も決まっており、今後ゲーム化など次なるメディアミックス展開が待たれる。

2022年7月からZLOONG社が展開する「ミラクルニキ」のような着せ替えコーデのゲーム『Life Makeover(きらめきパラダイス)』も異彩をはなつ目立つブースづくりをしている。今回はPC・Steam版での新規展開ということで、現状は2/3が中国売上でまだまだ日本・台湾・米国・タイなど海外人気にまで広がっていない本作も今後一層力をいれていくといったかまえだ。

ウルトラマンの中国展開のマスターライセンシーであるSCLA(上海新創華文化発展有限公司)社によって中国独自の「ネコ化したウルトラマン」も日本では見られないものだ。母国市場に先駆けて中国のみのローカライズ展開を許す背景にはすでにウルトラマンIPとして日本と比べ物にならない市場が中国で形成されていることの証左だろう。

▲“ゆるがん”(ゆるいガンダム)として中国発での新しいアレンジも始まっている。上記はガンダムと初音ミクのコラボ作品


▲自動販売機を並べるだけのBOOM COMICのブース。これでも大人気!
Z/Xビル、MINISO LAND、初音ミクの巨大立像―街なかに染み出す日本IPの中国展開

▲街中にでてみれば、BWそのものが都市化したかとみまごうばかりのグッズ景気のしみだしを感じる。

▲BWの期間中、街中ではこのようなコスプレーヤーが道端でも散見された

▲POPMARTのグッズ自販機ROBOSHOPSはすでに全世界2300機展開

▲前回も特集した2023年からの中国IPブームを引き起こしたZ/Xビル、2024年夏、2025年夏と訪れるたびに入口の看板も店舗も入れ替わるサイクルの早いトレンド発信基地

▲「マジカルちいかわ」はZ/Xビルの1Fスペースで長蛇の列ができていた。

▲Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)に見入る少年



まるで街中がBilibiliWorldになったかのような光景だったが、これはむしろ「日常」だ。Z/XビルはBWからの派生客、夏休みの観光客で常にこの密度で集積しており、2024年夏でピークといわれた売上も更新するのではないかという騒ぎだった。
この2024年になかった大型施設としてはMinisoLandが同じ南京東路の目抜き通りに新設されていた。Minisoの通常物販店とは違い、3階建てでまるでテーマパークに入ったような、おもちゃばこをひっくり返したIPタワーだ。実は「入場制限」すらあって、10分ほどまって30人くらい列がたまったところではじめて入れた。購買店舗なのに店舗内の滞留率が高すぎて、入場制限しないとみてまわれないほどの盛況ぶりだった。





口惜しくもこのMINISO LANDをメインで彩るのは日本IPばかり。ちいかわを看板に、サンリオ製品、アンパンマンまで立ち並ぶ。店舗を出た先にも、新世界城の対面にある上海世茂国際広場の玄関を飾るのは5メートルはあろうかという初音ミク。北海道からはじまったクリプトン・フューチャー・メディアの本IPもまたBilibiliの創成そのものにも関わる中国におけるIPブームの第一世代の先駆けであり、もはや日本におけるドラえもんやクレヨンしんちゃんといったかのような「国産IP」のような扱いぶりにも驚くばかりだ。

■3.4兆円到達でアメリカを超えた中国グッズ市場、その1割すら手にすることは難しい
これほどのIPバブルがありながら、中国における日本企業は進出どころか撤退する事例も少なくない。日系IPそのものは使われても、日本企業がこの市場で直接商売をしていくとなるとなかなかハードルが重いのだ。集英社とバンダイナムコホールディングス、ベネリックの合弁会社、集英万夢実業有限公司を率いる阿相道広総経理に話を聞いた。同社は2019年設立後、ECだけでは市場に入り込めず2021年12月から「SHONEN JUMP SHOP」という実店舗を展開してきた。ゼロコロナ期の2022年に強烈なダウントレンドを味わいながら、2023-24年と急回復&バブルともいえる中国IP市場とともに成長してきた。だが“熱しやすく冷めやすい”中国市場、昨年のBWあたりをピークに実店舗でのグッズ販売は半減。競争過熱でグッズが市場に溢れすぎたのだ。
同社も三月獣のような急拡大の中国企業とも取引はするが、一気呵成に40店舗に増やすようなスピードに乗っかるのもリスクがある、という。「売れるとなれば一気にくるが、売れないとなれば一気に引いてしまう。IPを育てるという発想を一緒にもってくれる事業者は少ない」。ならばこそと、自社で運営しているSHONEN JUMP SHOPはブランディングの旗艦店としてデザイン性が高く、カフェも併設した体験空間としての価値を高めていく。2025年7月にBWにあわせ別々の場所で運営していたショップとカフェを統合し、上海美罗城で再始動。2024年に開店した成都と2都市でショップとカフェ併設型の店舗を展開している。日本とは比較にならないスピードで乱降下を繰り返す中国IP市場、その大波を操舵しはじめた同社の成果には今後も業界が注目している。
市場データからみても、中国の谷子(グッズ)市場は2019年に1.6兆円を超えて、日本の玩具・ガチャ・プライズ市場を合計した数字を凌駕し、3兆円規模の米国トイ・ホビー市場を2024年の時点で超えたという目測になる。予測は予測なので、2029年まで順調に伸びて6.2兆円というのはさすがに楽観が過ぎるかもしれないが、それでも米中が玩具・マーチャンダイジング市場として並んだ、というのは大きな“事件”である。
世界玩具市場は常に米国が世界をけん引し、2010年で中国は米国の1/4以下、2015年で1/2以下だった。「製造」としては世界玩具の8-9割をつくる生産ハブだった中国が「消費地」として2024年に世界トップに躍り出たというのはグッズ市場における世界の中心軸が米国から半世紀ぶりに地殻変動を引き起こしている。

出典)https://mp.weixin.qq.com/s/pqhevUo1CN_QQ9DsR32fuw、IPF社分部氏の資料より著者作成
2024年・2025年でのグッズIP売上比較

2024年は日本IPがある意味「頂点を極めた年」でもあった。ちいかわ、呪術廻戦、ハイキュー!!、ブルーロック、SPY×FAMILYがどの街角でもみられたこの時代、たしかに図の2024年でみるとトップ3をこれらが独占している。中国産の「光与夜之恋」や「恋と美空」が続くが、トップ10には名探偵コナンも文豪ストレイドックスも入っていた。2024年の中国グッズトップ10の半分は日本IPだったのだ(ちなみに欧米IPはトップ20にすら入ってこない)。
だが2025年はどうだろうか。「恋と深空」がNo.1に君臨し、「第五人格」「明日箱舟」「非人哉」なども入ってきて、トップ10入りの日本IPは同じ顔ぶれで4つに微減。「家庭教師」「銀魂」「鬼滅の刃」「NARUTO」とあるが、若干昨年よりも衰えている節はある。なにより日本の最新作が少なくなった。新作は国産IPのほうがより深く刺さるようになってきているのだ。
日本IPの力で中国で100億円、200億円と売上を伸ばし続けてきたメーカーたちもブーム3年目にして急激に国産IPに振ったり、大量の在庫をかかえて撤退する事例なども聞き始めている。ロックダウン後のボーナス期のようだった2023~24年と比べて2025年はそれなりのアップダウンもあり、トップラインのIPは入れ替わりをみせはじめており、2026年に向けて必ずしも強気一辺倒ではいけない、というのが正直なところでもある。これはなぜなのだろうか?次回、集英社上海の展開とそのブランディング戦略のインタビューによってそれを明らかにしていきたいと思う。




会社情報
- 会社名
- Re entertainment
- 設立
- 2021年7月
- 代表者
- 中山淳雄
- 直近業績
- エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
- 上場区分
- 未上場