【レポート】“最上の切なさ”が現実に――舞台『ヘブンバーンズレッド』が描く、もうひとつの第31A部隊の物語


ライトフライヤースタジオとKeyは、大人気ドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)を原作とした舞台『ヘブンバーンズレッド』を、2025年11月1日~9日までの期間、東京ドームシティ シアターGロッソで上演している。


▲会場には、舞台『ヘブンバーンズレッド』の上演を記念して開発陣から届いたお祝いイラストが飾られていた。

舞台『ヘブンバーンズレッド』では、原作のメインストーリー第1章~第2章を舞台向けに再構築。壮絶な戦いと少女たちの絆、音楽が交差する濃密なドラマを届けてくれる。本稿では、10月31日に行われたプレビュー公演より、原作ファンの視点から見た“完全再現のステージ”の魅力をレポートしていく。

――「生きて、抗え」。あの“最上の切なさ”が、現実のステージで燃え上がる

プレビュー公演では、記者会見と公開ゲネプロが行われた。記者会見では、第31A部隊メンバーである茅森月歌役の結那さん、和泉ユキ役の中野あいみさん、逢川めぐみ役の込山榛香さん、東城つかさ役の星波さん、朝倉可憐役の太田夢莉さん、國見タマ役の早川渚紗さん、そして第31B部隊の部隊長・蒼井えりか役の河内美里さんが登壇し、それぞれの役柄や舞台への想いを熱く語り、観客に対する期待を膨らませた。



まず、結那さんと河内さんに「『ヘブンバーンズレッド』初の舞台化だが、初めて台本を読んだとき感じたことは?」 という質問が飛ぶ。

結那さんは「原作のゲームでは月歌が選択肢で選ぶ内容によって会話のルートが異なる部分も あるので、その部分が1つの台本として舞台になることが想像できなかったです。でも、台本を読んでみたら、『ヘブバン』の面白さが全て詰まっていて、初めて読んだときは泣いてしまったり、声を出して笑ったりと、絶対 に面白くなると感じました。」と答えた。

河内さんも「クライマックスのシーンでは思わず涙がこぼれました。もちろん、原作プレイヤーの方にも面白いと思ってもらえる作品になっていて、舞台化をきっかけに『ヘブバン』に触れ た方も、舞台を観れば『ヘブバン』をプレイしたいと感じてもらえる作品になっていると感じました」と語る。

次に本作の見どころやアピールポイントを聞かれたキャスト陣。

中野さん「見どころはありすぎてキリがないですが、それぞれが扱う“セラフ”という武器の扱い方や戦闘シーンは 舞台化ならではの見どころがぎゅっと詰まっているので注目してほしいです。私が演じる“和泉ユキ”は突っ込みまくっておりますので、何回突っ込んでいるか、是非数えてみてください!私も分かりません!」



込山さん「普段、それぞれのキャラの絡みが魅力的だなと思って原作をプレイしていて、ゲームでは画面上で話し ているキャラクター達の魅力がより良く見ることができますが、舞台では登場している全キャラクターを観ることができます!ゲームの中では見れなかった自身の推しがどんな風に生きているのかを全て見ることができ るので、1回目は全体を観ていただき、2回目以降はそれぞれのキャラクターを観ていただき、是非何回もお越しいただきたいです!」

早川さん「ちょうどこのメンバーということで、生歌唱と生演奏、そして込山さん演じる“めぐみん”のサイキック だったりと、初心者の方もいる中で、みんなで頑張って練習をして、31Aと蒼井の絆も深まったので、そんな 感動シーンが舞台上でどのように表現されるのか注目してほしいです!」

星波さん「本当に役者の表情や動きはもちろんですが、劇場に入って場当たりをする中で、照明や映像など舞台を 構成する全てをこだわっていて、ゲームの鮮やかな画面や繊細な世界観をスタッフ全員で作り上げているので、 空間全てが魅力になっています!」

太田さん「今回、私だけ二面性があるキャラクターということで、どういう風に演じ分けていくのかなと気になっ ていました。今は“かれりん”なのですが、“カレンちゃん”になった時はフードやしっぽなどが違うので、その違いや切り替えも楽しみにしていただきたいです。“かれりん”と“カレンちゃん”が好きなお客様にもご満足いただ けるように精進します!」 



最後に、河内さんは「いよいよ公演が始まりますが、ここにいるメンバー以外にも素敵なキャストがいて、ワー ルドパフォーマーの皆さんも少ないメンバーで沢山走り回って、舞台を支えてくださっています。そして素敵なスタッフさんも含めて全員で創り上げている舞台ですので、本日お越しいただくお客様が観劇くださって本当に舞台が完成すると思っています。千秋楽まで一人でも多くのお客様にご観劇いただけるように頑張りま す。」と挨拶。

結那さんは「緊張していますが、今まで稽古で創り上げてきたからこその緊張なので、その緊張感 も舞台上で生かして、大事にしていきたいです。それぞれのキャストが自身のキャラクターと向き合い続けて、 やっとお客様にお見せできると思うと、とても嬉しい気持ちです。皆様を『ヘブバン』の世界に連れていきたいという気持ちでここまでやってきたので、このGロッソの端っこのお客様まで全部届けられるように頑張ってまいります。是非最後まで楽しんでいただきたいです!千秋楽まで全力で走りますので、どうぞよろし くお願いいたします!」と締めくくった。

ここからは、ゲネプロを観覧した筆者が自身の感想を交えながら、舞台『ヘブンバーンズレッド』の見所を紹介していく。


■ゲーム第1~2章をベースに、自然な構成で再構築された物語

舞台『ヘブンバーンズレッド』のシナリオは、『ヘブバン』第1章~第2章の内容をベースに舞台向けに再構成したもの。出演者リストを見ていただければ分かる通り、第31C部隊の4人が登場しないなど、一部オリジナルな部分もあるが、物語の流れに違和感はまったくない。むしろ、“舞台という表現形式に最適化された『ヘブバン』”という印象で、原作をプレイ済みの観客でも自然と物語へ没入できる作りになっている。

冒頭は、謎の生命体「キャンサー」との戦闘シーンから幕開け。セラフ部隊の面々が次々に登場し、迫力ある剣戟アクションを披露する。 



各キャラクターが操るセラフ(武器)も忠実に再現されており、特に逢川めぐみ(込山榛香さん)と朝倉可憐(太田夢莉さん)の大振りな武器を用いた立ち回りは圧巻だ。



BGMにはゲーム内の楽曲が使用されており、プレイヤーにとっては“あの戦い”の記憶がフラッシュバックするような興奮に包まれる。


■月歌たちの出会い、そして“She is Legend”の誕生

戦闘後、舞台は茅森月歌(結那さん)と第31A部隊の仲間たちの出会いへ。和泉ユキ(中野あいみさん)、逢川めぐみ、東城つかさ(星波さん)、朝倉可憐、國見タマ(早川渚紗さん)らとの関係が丁寧に描かれ、やがて彼女たちがバンド“She is Legend”を結成するまでの過程が展開されていく。



さらに、第31C部隊との間で“切込み部隊である第31A部隊の称号”を巡る争いも織り込まれ、原作のエピソードをしっかりと踏襲した構成だ。 



舞台化で特に嬉しかったのは、ゲームでは見えなかった“キャラクターの裏側”まで描かれている点だ。例えば、月歌と手塚司令官(飯窪春菜さん)の会話中に周囲の隊員たちが見せる細やかなリアクションや、他部隊の少女たちの視線など、ゲームでは想像するしかなかった部分がしっかりと演出されている。『ヘブバン』という世界が、文字通り“生きている”と感じられる瞬間だ。


■キャラクターが“現実にいる”と錯覚するほどの高い再現度

今回のキャスティングには、まさに“キャラクターの解像度の高さ”が光る。蒼井えりか(河内美里さん)の真面目さ、東城つかさの天然さ、カレンちゃんの狂気性、柊木梢(上原れもんさん)の繊細でおどおどした雰囲気など……どのキャラクターも、原作の魅力を損なうことなく、役者たちが丁寧に体現している。

特に、結那さんが演じる主人公・茅森月歌は圧巻で、コミカルな軽口から、シリアスな覚悟を見せる場面まで、表情・声・動きすべてに月歌が持つ“カリスマ性”が宿っていた。ステージ上の結那さんを見つめていると、まるで本物の月歌がこの世界に存在しているかのような錯覚に陥る。




■“最上の切なさ”が現実に顕現したステージ

物語の終盤にかけては、まさに『ヘブバン』のテーマである“最上の切なさ”が舞台上で顕現する。展開を知っていても、キャラクターたちの運命を見届けるたびに胸が締めつけられる。筆者も正直に告白すると、公演中に少なく見積もって4~5回は涙を流してしまった。それほどまでに、役者陣の演技と演出、そして音楽が完璧に融合していたのだ。




■ライブシーンはまさに“ヘブバン”そのもの――生演奏×生歌唱の衝撃

本作の大きな見どころのひとつが、出演者による生演奏&生歌唱だ。

“She is Legend”のライブシーンでは、観客の視線と照明が一点に集まり、息をのむほどの熱量が生まれる。音が鳴り、声が響き、照明が揺れる瞬間――その全てが“ゲームで聴いたあの曲が、現実世界で鳴り響いている”という感動に直結する。この瞬間の臨場感こそ、舞台という形で『ヘブバン』を体験する最大の魅力だろう。




■最後に
舞台『ヘブンバーンズレッド』は、原作ファンの期待を裏切らないどころか、その想像を軽く超える作品に仕上がっていた。『ヘブバン』の持つ“キャラクターの魅力”“、音楽の力”、“物語の切なさ”を、ここまでリアルに再現した舞台は稀有と言っていい。ステージ上に広がるのは、紛れもなく“彼女たちが生きている世界”そのもの。ぜひ、すべての“ヘブバンファン”に見届けてほしい公演だ。




(取材・文 編集部:山岡広樹)

【イベント概要】

舞台『ヘブンバーンズレッド』
公演期間:2025年11月1日(土)~11月9日(日)
会場:東京ドームシティ シアターGロッソ
脚本:ほさかよう/演出:西田大輔
原作:Key × WFS『ヘブンバーンズレッド』
公式サイト:https://officeendless.com/sp/hbr_stage/

◆舞台『ヘブンバーンズレッド』Blu-ray 発売決定!!特典付き先行予約版も販売!
販売価格:12,100円(税込)
発売:2026年6月上旬
収録内容:
① 本編
② 映像特典
・メイキング&バックステージ
・カーテンコール集
・ビジュアル撮影アザーカット集
・アフタートーク集 他
③ ブックレット
特典付き先行予約版:
2025年11月17日23:59までに購入した方には舞台写真ブロマイドセットの特典が付く。

◆11月9日12:00/16:00公演のライブ配信も実施!!
配信公演:
・2025年11月9日(日)12:00
・2025年11月9日(日)16:00
※全てライブ配信+1週間見逃し配信付きでの販売。
配信期間:各公演配信開始~2025年11月16日(日)23:59
販売価格:
各公演3,800円(税込・特典なし)
2公演セット 7,000円(税込・特典付き)
2公演セット特典内容:ゲーム内使用アイテム取得シリアルコード
※詳細は舞台『ヘブンバーンズレッド』公式サイトで確認できる。
販売期間:2025年10月16日(木)21:00~11月16日(日)21:00
チケット購入:https://l-tike.zaiko.io/e/hbr-stage

◆公演グッズ通販開始!

購入はこちら▶https://officeendlessshop.stores.jp/?category_id=6900a089f6398ebc3e9c9666


©WFS Developed by WRIGHT FLYER STUDIOS ©VISUAL ARTS/Key
©舞台『ヘブンバーンズレッド』製作委員会

株式会社ビジュアルアーツ(Key)
http://visual-arts.jp/

会社情報

会社名
株式会社ビジュアルアーツ(Key)
設立
1991年3月
代表者
代表取締役 馬場 隆博
決算期
6月
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株式会社WFS
https://www.wfs.games/

会社情報

会社名
株式会社WFS
設立
2014年2月
代表者
代表取締役社長 柳原 陽太
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