【決算レポ】スクエニHD、9月中間はゲーム事業の収益改善とライツ事業の拡大で営業増益を達成…海外組織再編に伴う特損計上で最終は減益に

スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、11月6日、2026年3月期 9月中間期の連結決算を発表した。前年同期比で減収となったものの、デジタルエンタテインメント事業の収益性改善が進んだことに加え、ライツ・プロパティ事業の業績も大きく伸び、営業利益・経常利益は増益となった。他方、海外組織の再編費用など特別損失を計上したことにより最終減益となった。これは通期の最終利益にも影響を与える。
■業績概要
売上高1338億9500万円(同15.0%減)、営業利益272億7800万円(同28.8%増)、経常利益285億5300万円(同57.4%増)、最終利益100億5200万円(同14.5%減)だった。
・売上高:1338億9500万円(同15.0%減)
・営業利益:272億7800万円(同28.8%増)
・経常利益:285億5300万円(同57.4%増)
・最終利益:100億5200万円(同14.5%減)



■デジタルエンタテインメント事業:減収も増益、HDゲームが黒字転換
売上高は730億5800万円(同25.6%減)となり、営業利益は200億9000万円(同19.3%増)と減収ながら収益性が向上した。HD(High-Definition)ゲームとスマートデバイス・PCブラウザ等の収益改善が主な要因だった。
HDゲームは、売上高が同12.7%減の240億円と減収となったものの、営業利益が前年同期12億円から赤字から50億円の黒字に転換した。「キングダム ハーツ」シリーズの過去作3タイトルのSteam版等を発売した前年と比較して、新作タイトルからの売上が減少した影響が出たものの、開発費の償却負担や広告宣伝費が前年から減少した、としている。減収となったものの、新作タイトルの販売は底堅く推移し、採算性の高いリピート販売も前年を上回ったという。

MMO(大規模多人数同時参加型オンライン)ゲームは、売上高が38.5%減の199億円、営業利益が同40.4%減の78億円と大幅減収減益だった。前年同期に『ファイナルファンタジーXIV』拡張パックを発売していたため、その反動減となる。定期的にMMOの拡張パックを発売し、売上と利益を大きく伸ばすものの、翌年に反動減で売上、利益を減らすことが度々あった。

スマートデバイス・PCブラウザ等の営業利益は、同47.9%増の71億円と大幅増益を達成した。売上高は、同24.1%減の290億円だった。減収となったものの、決済手段の多様化と運営コストの最適化を通じた収益性の改善により増益になった、としている。
■アミューズメント事業:機器販売減も営業利益は維持
売上高は345億7800万円(同4.6%減)となり、営業利益は42億1700万円(同0.3%減)となった。機器販売の減少を既存店売上や景品販売の好調が補い、収益を維持した。
■出版事業:新刊減少で減収減益
売上高は144億2000万円(同3.1%減)となり、営業利益は47億8600万円(同11.3%減)となった。コミックス新刊の減少が響いた。売上構成はデジタル82億円、紙媒体62億円だった。
■ライツ・プロパティ等事業:ロイヤリティ収入で好調
売上高は127億0700万円(同32.3%増)となり、営業利益は67億9300万円(同100.7%増)となった。これだけでも大きな伸びだが、第2四半期会計期間(25年7~9月)でみると、売上高が前四半期比137.0%増の89億3600万円、営業利益が同360.9%増の55億8200万円と急増したことがわかる。
ライツ・プロパティ等事業は、主としてグループのコンテンツに関する二次的著作物の企画・制作・販売及びライセンス許諾を行っているが、有力IPにかかるロイヤリティ収入の計上があった、としている。
決算説明資料には、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』を主な商品として紹介しており、今回の急拡大の立役者となったようだ。同商品は、25年6月末に発売となったが、予約受付段階から品薄状態となり、その後、追加生産も決定するなど爆発的な人気となった。MTGシリーズ最高の売上になったとの情報もあり、同社に与えたインパクトも非常に大きかったことが伺える。



■通期見通し:減収予想も営業利益は増益へ
売上高2800億円(前期比13.7%減)、営業利益410億円(同1.0%増)、経常利益410億円(同0.1%増)、最終利益169億円(同30.8%減)、EPS46.88円を見込む。
なお、2026年3月期の最終利益の見通しを従来の287億円から169億円に引き下げた。海外組織全体を対象にした組織再編費用を計上するため、と説明している。
・売上高:2800億円(同13.7%減)
・営業利益:410億円(同1.0%増)
・経常利益:410億円(同0.1%増)
・最終利益:169億円(同30.8%減)


会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
- 設立
- 1975年9月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高3245億0600万円、営業利益405億8000万円、経常利益409億3900万円、最終利益244億1400万円(2025年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9684