gumi、子会社がヒトマイクロバイオームと薬物代謝の相互作用を予測するAI基盤モデル開発を手掛ける米スタートアップ企業Anto Biosciencesに出資

gumi<3903>は、子会社gumi Americaがヒト微生物叢(マイクロバイオーム)と薬物代謝の相互作用を予測するAI基盤モデル開発を手掛ける米国のスタートアップ企業Anto Biosciences(以下、Anto Biosciences)に出資したことを発表した。具体的な出資額などは非開示。

Anto Biosciencesは、微生物を活用した「生菌製剤」そのものを開発する従来のスタートアップとは異なり、製薬会社に対して創薬リスクを低減するための「創薬支援プラットフォーム」を提供している。同社のAIモデルは、従来の低分子化合物やバイオ医薬品が微生物の干渉によって代謝・分解されるリスクを事前に予測し、最適化することを可能にする。

実際に同社の解析では、中国では有効性が確認されたものの米国での治験に失敗した「10億ドル(約1,500億円)規模のがん治療薬」について、その原因が人口集団ごとの微生物叢(マイクロバイオーム)の違いにあることを特定し、解決策を提示することに成功している。このように、国や地域による微生物叢の差異を埋め、失敗した治療薬を再生させる技術は、グローバルな製薬企業にとって極めて大きな需要が見込まれる。

このように、薬そのものを作るのではなく、創薬の成功率を高めるための予測モデルを提供するという独自の立ち位置を築いている。同社の強みは以下のとおり。

・創薬支援プラットフォームとしての独自の立ち位置
自社でリスクの高い新薬開発を行うのではなく、製薬会社に対し、既存の低分子薬やバイオ医薬品を最適化するための解析基盤を提供することで、安定かつ広範な収益機会を創出する。

・独自のデータ圧縮技術「スパース化」
CEOのGollwitzer氏が開発したアルゴリズムにより、膨大かつノイズの多い微生物ゲノムデータを99%削減しながら高精度な予測を実現している。これにより、競合他社には不可能なスケールでの高速計算とモデル構築が可能となった。

・地域差による「創薬失敗」の回避と再生
人口集団ごとの微生物叢(マイクロバイオーム)の違いを解析することで、「ある国で成功し、別の国で失敗した薬」の原因を解明できる。これにより、製薬企業は過去に開発中止となった有望な薬剤を、特定の市場や患者層向けに再開発(復活)させることが可能となる。

同社は、Airbnb社やStripe社などを輩出した世界屈指のスタートアップアクセラレーター「Y Combinator」の最新バッチ(Fall 2025)採択企業。Anto Biosciencesの創業チームは、高性能コンピューティングと生物学の融合領域において卓越した実績を有している。CEOのArvid Ernst Gollwitzer氏は、MIT・ハーバード大学ブロード研究所、MIT、スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究員を経て起業した。同氏が専門とする「スパース化」技術は、予測精度を維持したままノイズの多いゲノムデータを99%削減するアルゴリズムであり、他社が計算コストの壁で挫折する中、同社のモデルを実現可能にした核心的技術だ。

また、生物学・医学部門を統括するDavid de Gruijl氏は、ハーバード大学医学大学院での消化器病学研究に加え、ジョンソン・エンド・ジョンソンおよびスイス連邦工科大学チューリッヒ校でのキャリアを有している。薬物と腸内環境の相互作用に関する深い専門知識を持ち、製薬企業のR&D現場における課題や失敗の構造を熟知している。

<Anto Biosciences, Inc.会社概要>
名称:Anto Biosciences, Inc.
所在地:米国 カリフォルニア州 サンフランシスコ市
代表者:CEO Arvid Ernst Gollwitzer
事業内容:微生物叢(マイクロバイオーム)による薬物代謝を予測するAI基盤モデルの開発・提供

株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高89億4200万円、営業利益3億7000万円、経常利益21億300万円、最終利益20億6300万円(2025年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
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