2026年新年のご挨拶 2025年のゲーム業界の振り返りと26年の展望


※画像はGeminiで生成しました。

 

新年、あけましておめでとうございます。年頭所感というわけではありませんが、2025年のゲーム業界を振り返りつつ、2026年を展望していきたいと思います。総花的な内容になっているのはご容赦ください。

2025年のゲーム業界は、長く続いた調整局面を抜け出し、次の成長フェーズへの足掛かりを築いた一年でした。開発費の高騰、ユーザー可処分時間の分散といった構造的課題を抱えつつも、ハード、ソフト、プラットフォーム、制度、そしてIP活用の在り方に至るまで、複数の変化が同時進行した点が2025年の大きな特徴です。

 

■ハード:Switch2が示した“現実的な世代交代"とハードの長寿命化

任天堂が新たに発売した次世代機「Nintendo Switch 2」は、性能競争ではなく、既存ユーザー基盤を活かしながら体験の質を引き上げるという現実的な進化を示しました。発売から4ヶ月で1000万台を突破し、世代交代が順調に行われていることを示唆しています。新しいハードウェアの登場と普及により、ゲーム業界が再び活性化することが期待されます。

他方、ソニーグループも、PlayStationの次世代機にまつわる噂が絶えませんが、年末に手頃に購入できる「PlayStation5」日本限定版を発売しました。「PlayStation4」がいまもなお高い稼働率を維持するなどハードのライフサイクルが長期化しているとし、現行機の拡大に注力する考えを示しました。

 

■大手ゲームはAAAは確度の高いタイトルに集中

2025年は、大型タイトルの本数が抑制される一方で、確度の高いAAAタイトルへの集中投資を行う傾向を強めています。この結果、一部大手ゲーム会社の決算と業績見通しを見ると、再びAAAタイトルを発売する四半期に収益が偏重するようになっています。四半期ごとの収益が平準化していた時期もありましたが、かつての年末商戦に収益が集中したように下半期に収益が集中する傾向に戻りつつあります。

カプコンは、『モンスターハンターワイルズ』が大ヒットした前期と同様に、『バイオハザード レクイエム』を発売する第4四半期に投入する計画で、下期に収益が集中する見通しです。同様に、コーエーテクモホールディングスは『ゼルダ無双 封印戦記』『仁王3』『ぽこ あ ポケモン』を下期に、セガも『Football Manager 2026』や『龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties』などを第4四半期に発売するとのこと。

ただ、全てが下期に偏重するというわけではありません。コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)は、『SILENT HILL f』や『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』『パワフルプロ野球2024-2025』と発売したタイトルが立て続けに100万本を突破しました。下期に発売した『桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~』も好調と伝えられており、年間を通じて安定した収益を獲得しています。

同様にバンダイナムコホールディングスもコンソールゲームについては少数のタイトルに集中投資する傾向にありますが、『ELDEN RING NIGHTREIGN』がワールドワイドでヒットしました。この大型DLCである『The Forsaken Hollows』を年末に発売し、すでに200万本を超える販売を記録したとのアナウンスを出しました。こちらも上半期と下半期がバランスの良い収益になりそうです。

 

■長期投資と運用力が結びついた成功モデルを示したネクソン

2025年の業界勢力図の変化を象徴する存在がネクソンです。新作『ARC Raiders』の大ヒットに加え、『メイプルストーリー』シリーズの新作、『マビノギ』のモバイルタイトルの成功が重なり、同社の時価総額はゲーム関連企業の中でソニーグループ、任天堂に次ぐ規模へと拡大しました。

背景にあるのは、長年にわたって行ってきたグローバル開発スタジオへの投資です。この投資が成果を出し始めており、ネクソンが強みとしてきた運用力と結びつくことで、IPを継続的に成長させる体制が完成度を高めました。ネクソンの事例は、「作る力」と「運営する力」を時間をかけて接続させた企業が、市場から評価される段階に入ったことを示しています。

 

■IP展開:アニメ化が“循環型収益モデル"を加速

ゲームIPのアニメ化・映像化は、ブランド拡張の手段として定着しつつあります。マリオやソニックの成功が記憶に新しいですが、2025年には『デビル メイ クライ』のアニメ化を契機に旧作ゲームの販売が伸長するなど、映像展開がゲーム事業へ還流する好循環が改めて確認されました。IPは単線的に消費されるものではなく、複数メディアを横断しながら価値を循環させる存在となっています。

 

■ゲームセンターを“ファン接点"として再定義

IP活用の文脈では、大手ゲーム会社におけるゲームセンターの位置付けにも変化が見られました。収益性では主力のゲーム事業に劣るものの、限定景品やグッズ販売、コラボイベント、試遊体験会などを通じて、ファンとのリアルな接点として積極的に活用する動きが広がっています。ゲームセンターは「稼ぐ場所」から「IPを体験させる場所」へと役割を変えつつあります。

 

■PCゲーム市場の隆盛:SteamとEpicが支える新しい成長基盤

SteamやEpic Games Storeを中心とするPCゲーム市場は、2025年にその存在感を一段と高めました。高性能化するPC環境、配信文化やMODとの親和性、そしてグローバル同時展開の容易さにより、PCはAAAからインディーズまでを受け止める基盤市場として再定義されるようになってきました。

 

 

■インディーゲーム:IP創出の供給源としても注目

2025年は、インディーズゲームが単なる話題作にとどまらず、明確なヒットとIP展開を生み出した年でもありました。『都市伝説解体センター』『魔法少女ノ魔女裁判』『Hollow Knight: Silksong』『スルタンのゲーム』『Chill with You:Lo-Fi Story』など、多様なジャンル・規模の作品が国内外で評価を高めました。

これらの作品では、ゲーム単体の成功に加え、キャラクターグッズ、イベント、イラスト集、コミカライズといったクロスメディア展開が広がり、ゲーム原作のアニメ化を含む映像展開への注目度も高まっています。インディーズは「小規模な挑戦」ではなく、IP創出の重要な供給源として認識され始めました。

 

■AAタイトル:中間層が直面する構造的な苦戦と2026年への課題

その一方で心配な部分もあります。シリーズタイトルを除く中規模ゲーム、いわゆるAAタイトルが苦戦しているとの声も聞こえてきます。市場は二極化する傾向を強めており、莫大な開発費とブランド力を背景にしたAAAタイトルと、尖った発想や独自性で存在感を放つ一部のインディーゲームに、ユーザーの関心と消費が集中しています。

AAAタイトルは、圧倒的な体験で市場を席巻し、インディーゲームは低価格で革新的なアイデア、世界観の作品を提供しています。中規模ゲームは、価格帯やクオリティ面で両極端な選択肢に挟まれ、競争力を維持するのが難しくなっているというのです。

ただ、中規模ゲームの苦戦は、これまでの主流ハードウェアの端境期において、たびたび見られた事象で、次世代ハードウェアの登場と普及によって、解消されてきた問題でもありました。インディーゲームの盛り上がりなど構造的な相違もあり、打開策が求められると見ています。

 

■モバイルとPC:法制度の変化とプラットフォーム横断運用の常態化

スマホ決済法の施行は、モバイルゲーム市場に構造変化の兆しをもたらしました。いわゆる外部決済の選択肢が現実的となったことで、IPを軸とした直接課金やファンビジネスへの関心が高まっています。その一方で、アプリの審査やフィーチャーなど、プラットフォーマーとの関係も依然として重要であり、舵取りの難しさも意識されるようになってきました。

また、SteamやEpic Games Storeを中心としたPC市場の拡大と相まって、モバイルの運用型ゲームをスマートフォンとPCで同時展開することが当たり前の選択肢となりつつあります。モバイルとは異なるユーザーにアプローチが可能になっており、PCは運用初期から組み込まれる主要プラットフォームとして位置付けられています。

 

■2026年に向けて:問われるのは“運用とIPの持続力"

2026年のゲーム業界は、単一の成長ドライバーに依存する時代ではありません。ハードの世代交代、AAAの厳選投資、インディーズの台頭、IPのクロスメディア展開、リアル接点の再評価、そしてプラットフォーム横断運用──これらが同時に進む中で、企業に求められるのは、IPとファンとの関係を長期的に育て続ける力です。2025年は、そのための基盤が整った一年でした。2026年は、その成果が業績と市場評価として可視化される年となるでしょう。ゲーム業界は今、再び静かな成長期の入り口に立っています。