アピリッツ<4174>は、6月8日、東京大学発のスタートアップ企業であるH2L社と資本業務提携を締結し、フィジカルAI領域に参入することを発表した。具体的な出資額は非開示。
本提携は、H2L社で初となるBtoC向けサービスを研究開発するための技術提携。H2L社が持つ「身体性のデジタル化」技術と、アピリッツのWebやアプリ開発力・サービスデザイン力を組み合わせ、フィジカルAIソリューションを共同で企画・開発・社会実装することを目的としている。
単なる出資にとどまらず、H2L社を「フィジカルAIの基盤技術パートナー」として、アピリッツがその領域でのサービスを、実装・事業化するパートナーとして機能する対等な共創体制を構築する。「身体データを、使われるサービスへ。」というビジョンのもと、スポーツ・ファン体験・施設・技能継承・製造業など多領域への展開を共同で推進する。
■出資の目的
①フィジカルAIという新たな重点領域の本格推進
同社は、身体データ・AI・アプリケーション開発を統合したフィジカルAIソリューションを、今後の重点戦略領域として位置づけている。
近年、同社はスポーツ・エンターテインメントを含む複数の領域において、身体性を伴うデジタル体験の可能性を探索し、事業化の検討を進めてきた。これらの検討を通じて、身体データや実世界の動作を扱う技術が、今後のデジタルサービスにおいて重要な役割を果たすとの認識を強めている。
こうした背景のもと、同社はフィジカ AI領域の社会実装を加速するうえで、H2L社の技術が不可欠であると判断し、今回の出資を決定した。
②H2L社が持つ「身体性のデジタル化」技術の独自性
H2L社は、人間の固有感覚(位置覚・重量覚・抵抗覚など)をデジタル化し、身体の動き・力加減・緊張といった“身体性そのもの”をデータとして扱うBodySharing技術を世界に先駆けて開発している企業です。同社が構築する技術群は、単なるセンシング技術ではない。
筋変位センサーによる高精度入力、電気刺激・機械刺激による感覚出力、そして固有感覚・触覚・視覚・聴覚を統合したフィジカルAIトークンは、人間の身体とデジタルをつなぐ“新しいインターフェース”を創り出す基盤技術だ。
これは、ロボティクス、スポーツ、医療、製造業など、多様な産業の課題解決に直結する可能性を秘めており、まさに「次の10年をつくる技術」と言える領域だ。
③同社の技術基盤との高い親和性
同社は、Webサービス・オンラインゲーム開発を通じて、ユーザー体験設計、アプリ・UI開発、データ基盤構築、課金・会員管理など、“人が使うデジタル体験”をつくる技術を磨いてきた。
一方、H2L社は、“人の身体そのものをデジタル化する技術” を持っている。
両社の技術が交わることで、これまで存在しなかった新しい体験・新しいサービスが生まれると確信しているという。
④フィジカルAIソリューションとの統合による事業展開
同社は、構想整理、PoC/MVP開発、アプリ・管理画面・課金基盤の実装、商用化後の運用改善まで一貫して担い、H2L社と共に身体データ技術の社会実装を推進していく。
H2L社のBodySharing技術は、同社が重点領域として検討を進めるフィジカルAIソリューションにおいて、以下の領域で重要な役割を果たす。
・スポーツ指導AI
フォーム・力加減をプロと比較し、BodySharing技術と生成AIが改善点を言語化。フィジカルAIに活用するための身体データ蓄積も可能。
・技能継承AI
熟練者の手元動作・力加減・タイミングをBodySharing技術でデータ化し、生成AIが暗黙知を言語化。動画教材では伝わらない技能を継承可能に。
・ファン参加型体験
身体の動きや力加減をリアルタイムに共有し、新しいエンターテインメント体験を創出。
・施設向け AI 測定メニュー
身体データを活用した測定・評価・トレーニングを提供。
⑤身体性・スポーツ領域に関するこれまでの検討と知見の蓄積
同社は昨年、スポーツ領域におけるAI活用の可能性を探索する中で、SportsTech Japan社へマイノリティ出資を実施した。同社との協業検討を通じて、スポーツ指導における課題や身体性を伴うデジタル体験に対する市場の関心を把握してきた。こうした検討を通じ、身体データや動作情報を扱う技術が、デジタルサービスの高度化において重要なテーマであるとの認識を深めている。
H2L社の技術は、こうした身体性領域に関する理解をさらに発展させ、より深いレイヤーで身体そのものを扱うための基盤となるものであり、同社が重点領域として推進するフィジカルAIソリューションの技術的な幅と深さを拡張する存在として位置づけている。
なお、今回の出資による同社グループの業績に与える影響は軽微な見込みだが、H2L社との共創によって生まれる新たな事業領域は、中長期的に当社の成長に寄与する可能性があると考えているとしている。今後、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに発表する予定だ。

会社情報
- 会社名
- 株式会社アピリッツ
- 設立
- 2000年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 執行役員CEO 和田 順児
- 決算期
- 1月
- 直近業績
- 売上高99億5500万円、営業損益3億900万円の赤字、経常損益3億1700万円の赤字、最終損益4億6500万円の赤字(2026年1月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 4174




