モバイルゲーム広告市場は120億ドル規模へ パズルが収益独占 ハイブリッドカジュアルは「広告型」と「課金型」に二極化 Sensor Tower分析

モバイルゲームにおける広告収益化は、もはや補助的なマネタイズ手法ではなく、市場全体を支える中核的なビジネスモデルとなっているようだ。

Sensor Towerはこのほど、「ゲーム深層分析:広告収益化」レポートを公開した。同レポートでは世界19市場を対象に、広告市場の構造や広告ネットワークの需要動向、さらに近年拡大するハイブリッドカジュアルゲームの収益モデルについて分析している。

 

■広告対応ゲームが依然としてダウンロードを牽引

レポートによると、モバイルゲーム市場では広告収益化タイトルが依然としてインストール数の大半を占めている。近年はアプリ内課金(IAP)モデルの成長鈍化や、パズルゲーム、ハイブリッドカジュアルゲームの台頭によって競争環境は変化しているものの、広告モデルの存在感は揺らいでいないという。

Sensor Towerは、広告収益化がIAPに代わる巨大収益源になったわけではないと指摘する。その一方で、幅広いユーザーを獲得し、長期間維持するための「標準的な戦略」として定着したと分析している。

現在、ダウンロードランキング上位を占めるタイトルの多くは、広告視聴をゲームプレイの導線や進行システムの中に組み込み、設計段階から広告を前提とした構造を採用しているという。

 

■広告収益の中心はパズルゲーム

広告収益市場において、最も大きな存在感を示しているのがパズルゲームだ。レポートでは、大手広告ネットワークの多くで、パズルゲームが広告収益全体の半分以上を占めていると指摘している。残りはアーケード、シミュレーション、テーブルトップジャンルが続く構図となっている。

これはインタースティシャル広告やリワード動画広告を中心としたネットワークだけでなく、幅広いカジュアルユーザーを対象とする広告ネットワークでも共通した傾向だという。

広告主にとっては、ゲーム広告の多くがパズルゲームユーザーへ配信されることを意味する。一方で、パズル以外のジャンルを手掛けるパブリッシャーにとっては、どの広告ネットワークを選ぶかが収益性だけでなく、ターゲットユーザーへ適切にリーチできるかを左右する重要な経営判断になっている。

 

■ハイブリッドカジュアルは二極化

近年存在感を増しているハイブリッドカジュアルゲームについても、Sensor Towerは興味深い傾向を指摘している。現在の市場は、大きく「広告主導型」と「IAP主導型」の2つのモデルへ分化しているという。広告主導型タイトルは、収益の大半を広告から得るモデルであり、安定した収益基盤と高いスケーラビリティを特徴とする。

一方、IAP主導型タイトルは、広告収益を組み合わせながらも、本格的なゲーム内経済圏を構築し、売上の大部分をアプリ内課金によって生み出している。特に収益面では差が大きく、IAP主導型タイトルが広告中心型を大幅に上回るケースも少なくないという。

Sensor Towerは、広告収益は安定した収益源となる一方で、ゲーム全体の収益上限を押し上げるのは依然としてIAPであると分析。ハイブリッドカジュアルを開発するスタジオは、企画初期の段階で「高額課金を促進する設計」を目指すのか、それとも「広告インプレッションを最大化する設計」を目指すのかを明確に決定する必要があるとしている。

  

■「広告ありき」でゲームを設計する時代へ

Sensor Towerは、広告マネタイズが単なる運営施策ではなく、プレイヤー獲得や広告需要、さらにはタイトルの成長余地そのものを決定づける重要な要素になっていると総括している。

モバイルゲームの広告市場はすでに120億ドルを超える成熟市場へと成長しており、成功しているスタジオは広告設定の最適化だけでなく、ゲームデザインそのものを広告収益化モデルに合わせて構築しているという。

広告がゲーム運営の「後付け」の施策だった時代は終わりつつあり、今後は企画段階から広告と課金のバランスをどう設計するかが、モバイルゲーム事業の競争力を左右する重要なテーマになりそうだ。

 

 ▼レポート全文ダウンロード
https://sensortower.com/ja/report/gaming-deep-dive-ad-monetization

 

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