
ケイブ<3760>は昨日(8月24日)、8月28日に開催する第32回定時株主総会を前に、株主が関心を持つ事項についての考え方を公表した。今回の資料では、株主還元や株価、業績予想、ゲーム事業のパイプライン、M&A、成長戦略など幅広いテーマについて説明。なかでも、事業ポートフォリオの整理を進めたうえで、今後は「売上高の規模そのものよりも、利益率と収益の安定性を重視する」収益構造への転換を進める方針を明確にした。
■2027年5月期は減収ながら営業利益14.5億円を計画
ケイブは2027年5月期について、売上高105億円、営業利益14億5000万円を見込んでいる。すでに決算発表時に開示したものだが、売上高は前期比12.5%減となる一方、営業損益は黒字に転換する計画だ。
減収となる理由については、2026年5月期までに進めてきた採算の見込めない事業からの撤退や、連結子会社株式の譲渡による事業ポートフォリオ再構築の影響を挙げている。
一方、事業の見直し後に残る事業については「比較的安定した収益が見込めるものが中心」と説明。AIの積極的な活用による業務効率化、既存IPの有効利用、全社的なコスト見直しを進めることで、営業利益率13.8%を目指す。
同社は今回の方針について、将来的な増収を目指しつつも、現段階では売上規模よりも利益率と収益の安定性を重視する段階にあると説明している。
■「2年以内に営業利益20億円超」を短期目標に
さらに注目されるのが、短期の財務目標として「2年以内に営業利益20億円超」を掲げたことだ。2027年5月期に計画する営業利益14億5000万円は、この目標に至る過程の一段階と位置付ける。
その達成に向けては、既存タイトルの安定的な収益を土台としながら、既存IPを磨き込む「リファインプロジェクト」による収益貢献、AIの積極活用による収益性改善を進める。
まずは2027年5月期の業績予想達成を最優先とし、進捗についても適宜報告していく考えだ。
■業績予想を開示、IR活動方針も転換
今回の資料では、これまでのIRの活動姿勢、方針についても踏み込んでいる。ケイブはこれまで、ゲーム事業を取り巻く環境の変動性が高いことから、通期の業績予想の公表を控えてきた。しかし、新しい経営体制のもとで株主・投資家との対話と情報開示を強化する方針へ転換。
2026年4月に2026年5月期の通期業績予想を公表したのに続き、今回、2027年5月期の業績予想も提示した。
同社は、株価が歴史的な水準から低位で推移していることについて、業績の見通しにくさがディスカウントにつながっている可能性があると分析している。そのため、事業ポートフォリオを大胆に整理するとともに、業績予想を開示することで投資家が投資判断をしやすい環境を整える狙いだ。
今後は四半期ごとの決算補足資料や決算説明動画も公表し、投資判断に有用な情報を積極的に発信する方針としている。
■株主還元は2期連続無配、復配は「利益の積み上げと財務健全性」を見て判断
一方、株主還元については厳しい状況が続く。2026年5月期に続き、2027年5月期も無配を予定しており、2期連続の無配となる。同社は無配について「大変、重く受け止めております」としたうえで、復配については今後の利益の積み上げと財務健全性を総合的に勘案して判断するとしている。短期的な利益成長を優先し、まずは収益基盤の立て直しを進める段階にあることがうかがえる。
■でらゲー保有のケイブ株、約1割を「相当な時期に処分」へ
株主構成に関しても重要な説明があった。連結子会社のでらゲーが保有するケイブ株について、発行済株式数の約1割に相当することから「既存株主や経営環境に与える影響は少なくない」と説明。そのうえで「相当な時期に処分を行うべく、方法につきましては慎重に検討を続けております」とした。なお、保有株式の一部についてはケイブ自身が買い取りを実施したことも明らかにしている。
■成長戦略は「IP」「AI」「GLOBAL」
今後の成長戦略として掲げる「IP」「AI」「GLOBAL」についても、それぞれの進捗を説明した。
IP戦略では、既存IPを磨き込む「リファインプロジェクト」を展開。ヒット確率を高めたタイトルの開発に加え、ゲーム化権の取得を目的としてアニメ製作委員会などへのマイノリティ出資も行い、競争力のあるIPの創出を目指す。現在、その第一弾として開発しているのが「新約・怒首領蜂大復活」だ。その他の開発中プロダクトについては、発表できる段階になり次第公表するとしている。
AIについては、独自性や品質、権利の健全性といったクリエイティブの根幹は人間が担う一方、クリエイティブ領域を含めてAIをフル活用し、開発業務を効率化する考え。低コスト・短期間で多数のタイトルを開発することで「挑戦の母数」を増やし、結果としてヒット確率を高めることを狙う。
GLOBAL戦略では、サービスの企画段階から海外市場をターゲットとし、「Steam」など世界規模のPCゲームプラットフォームでの展開を進める。
■「拡大」から「選択と集中」へ
今回の資料から浮かび上がるのは、ケイブが事業規模の拡大そのものを追うのではなく、事業ポートフォリオを整理したうえで、収益性を高める方向へ軸足を移していることだ。2027年5月期は売上高105億円と前期から12.5%減少するものの、営業利益は14億5000万円を計画。営業利益率は13.8%を見込む。さらに、その先には「2年以内に営業利益20億円超」という目標を掲げる。
同社が株価の低迷要因の一つとして「業績の見通しにくさ」を挙げていることを考えると、今回の業績予想の開示やIR強化も、単なる情報開示の充実にとどまらず、収益構造をシンプルにして企業価値を評価しやすくする取り組みと位置付けられそうだ。
不採算事業の整理を終えたケイブにとって、次の焦点は「売上をどこまで伸ばすか」ではなく、まず14億5000万円の営業利益計画を達成し、そこから20億円超へどのように利益を積み上げていくかに移ったと言えるだろう。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ケイブ
- 設立
- 1994年6月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 高橋 祐希
- 決算期
- 5月
- 直近業績
- 売上高139億6900万円、営業利益11億3300万円、経常利益11億3100万円、最終利益2億4600万円(2025年5月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 3760





