
東京ゲームショウ2026(2026年9月17日~20日、幕張メッセ)の開催期間に合わせて、国内外のゲーム企業を結ぶB2Bマッチングプラットフォーム「MeetToMatch – The Tokyo Edition 2026, powered by Xsolla」が今年も実施される。
運営は本イベントを6年連続で手掛けており、日本を拠点とする企業は引き続き無料で参加可能となっている。
本稿では、きたる東京ゲームショウ2026を前に、「MeetToMatch」のこれまでの取り組みについてと、東京ゲームショウ2026期間で実施される「MeetToMatch – The Tokyo Edition」の内容について紹介していく。
「MeetToMatch」とは?
——ゲーム業界の“新定番”となるB2Bマッチング

「MeetToMatch」は、オランダを拠点とするB2Bマッチメイキング・プラットフォーム事業者だ。運営元は2009年からマッチメイキング型イベントの企画・運営を手掛けており、ゲーム、XR、アニメーション、テクノロジーなど 、複数の産業領域で実績を積み重ねてきた老舗である。
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現在は特にゲーム業界向けサービスにフォーカスし、共同創業者のFedor van Herpen氏らのもと、世界各地の主要ゲームカンファレンスに並走するB2B商談基盤として存在感を高めている。
プラットフォームの基本コンセプトは一貫している。参加企業がそれぞれ自社プロフィールを登録し、参加企業リストから商談したい相手を検索、双方合意のうえで事前に短時間の商談枠を確保する——というシンプルな仕組みだ。
商談は現地(会場ブースや共有ミーティングポイント、レストラン、自社確保スペース)でもオンライン(Zoom / Google Meet / 独自システム)でも実施可能で、独自システム側でタイムゾーンの差も自動で吸収される。会期中の限られた時間を「偶然の出会い」に委ねるのではなく、目的と相手を事前に絞り込んで臨める点が、多くの業界関係者から支持を集めている理由といえそうだ。
日本拠点の企業は「無料」で参加可能
今回の「MeetToMatch – The Tokyo Edition」では、日本を拠点とする企業が無料で参加できる点にある。運営はその理由を「プラットフォームは日本企業が十分に参加していて初めて機能する。海外からの参加者はまさに日本企業と会うために東京へ来ており、コストを理由に商談機会を失うより、その費用自体を取り払うほうを選んだ」と話す。日本のゲーム産業と海外事業者の接点を厚くするという同社のスタンスが色濃く表れた設計といえる。
登録は日本語専用フォームから可能で、登録から利用開始までは1〜2営業日で利用可能だ。参加受付は会期中も継続されるため明確な締切は設けられていないが、「早く登録するほど、相手候補のスケジュールに空きが多く、希望する商談を組みやすい」(運営コメント)とのことだ。
gamescom・GDC・TGSに並走——グローバル展開のこれまで
MeetToMatchの認知を大きく押し上げたのは、世界最大級のゲーム業界イベントとの並走展開である。主な「エディション」の系譜は以下のとおり。

運営自身も自社サービスを「ゲーム業界におけるビジネスの場として新しい定番となるプラットフォームにしていきたい」と位置付けており、それぞれ複数年にわたる運営実績を積み重ねている。実際、GDC、gamescom、ChinaJoyをはじめとする世界の主要ゲームカンファレンス開催時期でも活用され、B2Bミーティング基盤としても知られる存在だ。Tokyo EditionはTGS並走の位置付けを担ってきた。
これまでの取り組み事例——数字と参加者の声
さて、日本国内で行われてきたTokyo Editionのこれまでの積み上げは、単なる「登録企業数」だけでなく、実際の商談成立や日本企業のグローバル接点の広がりに直結してきた。編集部として特に象徴的だと感じるのは、以下の3点である。
①利用企業の93%が海外企業との商談―「海外接点の場」としての機能:
2025年開催時、日本企業が参加した商談の実に93%が海外企業との商談だった。国内展示会や既存の商談会では出会いにくい海外プレーヤーとの接触点を、TGS期間中に集中的に確保できる場として位置付けられていることが読み取れる。
②37カ国の企業と商談― 日本企業のグローバルネットワークが実際に拡張:
同年、日本企業は韓国・ブラジル・米国・スペイン・英国など37か国の企業と商談を実施した。地域パートナーとしてKOCCA(韓国)、MDEC(マレーシア)、Games from Spain、Ukie(英国)、Brazil Games、Sweden Game Arena、medianet berlinbrandenburg(ドイツ)などの産業振興機関が参画していることで、単発の商談にとどまらない各国コミュニティへのアクセス経路が用意されている構図だ。
③ 国内主要企業からの継続参加と“発見される場”としての評価:
本年(2026年開催)には、すでにバンダイナムコエンターテインメント、セガ、講談社、松竹、コロプラ、ドリコム、ジー・モード、KEMCO(コトブキソリューション)、クランチロール、505 Games Japan、アクティブゲーミングメディア、トイロジック、コーラス・ワールドワイドなどの日本企業(順不同・敬称略)が登録済み。
利用企業の担当者からは「どのゲームカンファレンスに参加しても、『MeetToMatchで見つけました』と連絡をもらうケースが一番多い」とコメントしており、海外側から日本企業への“発見のハブ”としても定着しつつあることがうかがえる。
TGS期間中に稼働する“もう一つの商談会場”
そんな、「MeetToMatch – The Tokyo Edition」であるが、どのように利用していくのか。参加企業は事前に自社プロフィールと商談希望を登録し、システム上で相手を探して打診・スケジューリングを行う。商談を行う場所は、幕張メッセ内の自社ブース、近隣のレストラン、民間の貸し会議室など、参加者自身が用意・手配したスペースを選んで指定する仕組みだ。会場に足を運べない場合は、Zoom、Google Meet、または同社独自のシステムを用いてオンライン商談も可能で、独自システムでは海外相手とのタイムゾーン差も自動で調整される。

運営は「東京ゲームショウを目的に来日する海外関係者の多くが、日本企業との商談機会を強く求めている」と語る。TGSの会場やアフターアワーの人的ネットワークだけに頼るのではなく、事前に相手を特定し、目的と時間を合意した上で臨める点が本プラットフォームの特徴といえるだろう。
実際、TGSに長らく足を運んでいる人は実感があるかもしれないが、TGSの会場を歩き、名刺交換は捗るもののしっかり話す時間はない…ということは良くあることだろう。
編集部からみても、限られたTGS会期を最大限に活用するための補完ツールとして活用したい存在だ。
【ご参加にあたっての留意点】
ちなみに、MeetToMatchでは、商談を行う具体的な場所——自社ブース、レストラン、民間の貸し会議室など——を「用意し、手配し、選ぶ」責任は参加者側にある。プラットフォーム上で相手候補に対して提示・提案される場所も、あくまで参加者自身が入力・登録した情報に基づくものだ。
MeetToMatch側があらかじめ用意しているのは、駅前の待ち合わせ場所のような「ミーティングポイント(=集合場所)」のみであり、着席してじっくり商談するためのスペースではない点には注意が必要である。
言い換えれば、MeetToMatchが担うのは「相手企業とのマッチングとスケジューリング」であり、「商談を行う物理的な場所」は参加者側が主体的に段取りするフォーマットになっている。参加を検討する企業は、TGS期間中に自社としてどのような商談スペースを確保できるか(自社ブース内の商談席、近隣の予約可能なミーティングルーム、レストランでのランチ商談枠など)をあらかじめ想定した上で登録すると、当日の運用がスムーズになるだろう。
「英語が堪能でなくても大丈夫」——構造化された商談設計
国内企業が海外事業者との商談で最初にぶつかりがちな心理的ハードルが、言語の問題である。運営もこの点を明確に意識しており、「初めて会う海外企業に外国語で話しかけることは確かに勇気がいる。しかしその一歩が踏み出せないだけで、双方にとって有益だったはずの関係が生まれないケースは非常にもったいない」とコメントしている。
MeetToMatchで組まれる商談は、双方の合意のもとで事前設定される短時間のセッションであり、目的を確認した上で開始される。希望しないリクエストを受け入れる義務はなく、昨年も英語対応スタッフを常駐させていない日本企業が数多く参加した。海外側の参加者も「相手は日本企業である」ことを理解した上で商談に臨むため、心理的なミスマッチが起こりにくい構造になっている。

「プロフィールを英語で比較的詳しく記述したこともあり、海外のデベロッパーからマッチングのお誘いをいただきました。また参加企業リストが非常に見やすかったので、こちらからもパブリッシャーにリーチできました」
――ナツメアタリ株式会社 東京事業所 デジタルコンテンツ事業 シニアプロデューサー 風間 紀明 氏
運営は「企業プロフィールを英語で用意しておくと、海外のデベロッパーやパブリッシャーから発見されやすくなり、問い合わせや商談申込みにつながりやすい」とも案内しており、英語プロフィールの整備についても、MeetToMatchチームからは、イベント前のプロフィール最適化に関する相談や支援は手厚く行ってもらえるそうだ。国内企業にとっては、参加のハードルを下げる実務的なサポートといえよう。
数字で見る「Tokyo Edition 2025」の実績
「MeetToMatch – The Tokyo Edition」が公表している昨年(2025年開催)の主な数値は以下のとおり。

特に、日本企業が参加した商談の実に9割以上が「海外企業との商談」で占められている点は象徴的だ。国内の展示会や商談会では出会いにくい海外プレーヤーと接点を作れる場として、参加各社が明確に本プラットフォームを位置付けていることが読み取れる。
2026年の参加状況——日本の主要各社が続々登録
運営によれば、2026年開催に向けてすでに522社が本プラットフォームに登録し、商談予約を進めている。日本からの登録企業には、以下のような各社が名を連ねている(順不同・敬称略)。
• 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
• 株式会社セガ
• 株式会社講談社
• 松竹株式会社
• 株式会社コロプラ
• 株式会社ドリコム
• 株式会社ジー・モード
• 株式会社コトブキソリューション(KEMCO)
• クランチロール株式会社
• 505 Games Japan株式会社
• 株式会社アクティブゲーミングメディア
• 株式会社トイロジック
• コーラス・ワールドワイド
パブリッシャー、デベロッパー、IPホルダー、ローカライズ・パブリッシングサポートまで、レイヤーの異なる企業が並んでいる点が特徴だ。海外プレーヤーから見れば「日本市場攻略の打診先が一望できる場」、日本企業から見れば「海外展開のパートナー候補と一度に接触できる場」と、双方向のメリットがある構造だといえる。

「どのゲームカンファレンスに参加しても、『MeetToMatchで見つけました』とご連絡いただくケースが一番多いです」
――松竹株式会社 ゲーム事業室 室長 石毛 宏明 氏
また、商談場所の選択肢は柔軟だ。幕張メッセ内の自社ブース、近隣の予約可能な貸し会議室、レストラン、あるいは各社が独自に確保するスペースなど、参加者側で用意・手配した場所を選び、システム上で相手と共有する形になる(前述のとおり、MeetToMatch側が用意しているのは駅の待ち合わせ場所のような集合用「ミーティングポイント」のみで、着席商談用の会場は運営から提供されない点は改めて留意されたい)。地方拠点や海外拠点の担当者など、東京まで足を運べない参加者向けにはオンライン商談も用意されており、Zoom、Google Meet、そしてタイムゾーンの自動調整機能を備えた同社独自システムから選択できる。
海外展開の後押しーiGi・SO-FUとも正式パートナーシップを
本年、MeetToMatchは日本のスタジオを支援する2つのインキュベーションプログラムであるiGiおよびSO-FU(順不同・敬称略)と正式にパートナーシップを結ぶことも発表された。
「私たちの共通の目標は、これらのプログラムに参加するデベロッパーが、これまで以上に海外企業と関係を築きやすい環境を整え、東京ゲームショウをきっかけとして、その後も続くより深い関係を構築できるようにすることです」
――Fedor van Herpen MeetToMatch 共同創業者
iGi・SO-FUはいずれも国内デベロッパーの海外展開・事業化を後押しする代表的なインキュベーションの枠組みであり、両プログラム参加スタジオにとっては、TGS期間中の海外事業者との接点確保がこれまで以上に組織的に行える形となる。編集部としては、単発の商談機会にとどまらず、TGSを起点とした継続的な関係構築を狙う動きとして注目したい取り組みだ。
参加方法と注意事項
日本を拠点とするゲーム業界関連企業は、専用ウェブサイトから無料で参加登録が可能だ。登録は日本語フォームで完結するので、気になる人は利用してみよう。
【ご注意】
- MeetToMatchのアカウントには、幕張メッセおよび東京ゲームショウへの入場資格は含まれない。TGSのビジネスエリアへの入場には、TGS発行のビジネスパスまたはゴールドパスが別途必要となる点は留意されたい。
- アカウントは運営チームが手作業で発行するため、登録後1〜2営業日程度を要する。
- 本プラットフォームおよびサービスは、東京ゲームショウ(主催者)とは提携関係になく、東京ゲームショウの公式サービスではない。
国内ゲーム産業のグローバル化が進むなか、海外事業者との商談機会を「無料・事前設定・短時間」で確保できる仕組みは、特に中堅・中小や新興スタジオにとって現実的な選択肢となり得る。参加規模・パートナー体制ともに毎年拡張されており、TGSを商談の場としてより有効活用したい国内企業にとっては、早めの登録とプロフィール整備を検討する価値がある取り組みといえるだろう。
