
KADOKAWA<9468>は本日9月8日、グループのアニメ制作スタジオ5社を統合し、新たなアニメ制作会社「Studio One Base」を2026年11月に設立すると発表した。ENGI、Studio KADAN、チップチューン、ベルノックスフィルムズ、レイジングブルの5社を統合し、約310人の体制でアニメーションの制作・企画を手掛ける。
今回の統合は、KADOKAWAが進めるアニメ・実写領域の制作体制改革「創る人をつくる。創る所をつくる。」の第3弾に位置付けられる。各スタジオのブランドや個性、制作ラインを維持しながら、経営・管理機能を一体化することで、制作力の強化と持続可能な制作環境の構築を目指す。
KADOKAWAはこれまでM&Aを通じてアニメ制作体制を拡大してきた一方、グループ会社が増えることで管理部門の重複という課題も抱えてきた。今回の5社統合では、こうした重複を解消しながら、各スタジオのブランドや制作ラインは維持する。
いわば、これまで「会社を増やすことで広げてきた制作力」を、「機能をまとめることで効率化する」段階に入ったといえる。
■5社の個性は残し、経営・管理機能を集約
KADOKAWAは2018年以降、アニメ制作スタジオの新設やM&Aを通じて制作体制を拡大してきた。これまでグループのアニメ制作スタジオが手掛けた作品は累計48作品、486話に上るという。
一方、アニメ市場では世界的な需要拡大に伴って作品数が増加し、作品そのものの大型化・高度化も進んでいる。その一方で、人材不足や制作コストの上昇など、制作現場を取り巻く環境は厳しさを増している。
KADOKAWAではこうした環境を踏まえ、これまでにもバックオフィス機能の集約や、スタジオ横断での採用・育成体制の構築などを進めてきた。今回の5社統合は、こうした取り組みをさらに進めるものとなる。
新会社では管理部門やバックオフィス機能を集約。経営の効率化・安定化を図るとともに、待遇や福利厚生などクリエイターの就労環境の改善を進める。
さらに、事業管理や制作スケジュールの適正化を徹底することで、制作現場の生産性向上と作品品質の向上につなげる考えだ。
■「会社を一つにする」一方で、スタジオの個性は維持
今回の統合で特徴的なのは、5社を一つの制作ブランドに完全に統合するわけではない点だ。
「ENGI」「Studio KADAN」「チップチューン」「ベルノックスフィルムズ」「レイジングブル」の屋号は継続し、それぞれが培ってきたブランドや独自性、制作ラインを維持する。つまり、経営基盤や管理機能は一体化する一方、作品を生み出す現場については、それぞれのスタジオの個性を活かす形となる。
KADOKAWAは、プロデューサーや作画スタッフを中心に幅広い人材が集結することで、各スタジオの個性から生まれるジャンルの多様性と、3DCG、撮影、美術までを含む幅広い制作機能を両立できることをStudio One Baseの強みとしている。
■池袋の新拠点に集約、スタジオ横断で制作力を強化
5社は、池袋・サンシャインシティ内に開設する新たなアニメ制作拠点「Studio One Base」に集約する。物理的に制作拠点を一つにすることで、クリエイター同士のコミュニケーションを活性化。知見や技術、ノウハウの共有・蓄積、人材交流、若手クリエイターの育成などを促進する。
さらに、作品や制作状況に応じてスタジオを横断して柔軟に連携できる体制を構築。大型化・高度化するアニメ制作への対応力を高める。これまで個々のスタジオが蓄積してきた制作ノウハウを、グループ全体で共有・活用することで、新たな制作体制を構築する狙いだ。
■「人」と「環境」への投資で制作基盤を強化
今回の施策から見えてくるのは、KADOKAWAがアニメ制作の拡大だけでなく、制作を支える組織そのものの効率化・安定化にも踏み込もうとしていることだ。アニメ需要が世界的に拡大するなかでは、制作本数を増やすだけでは人材不足や制作コストの上昇といった問題がさらに顕在化する可能性がある。
そこでKADOKAWAは、制作現場を直接統合して画一化するのではなく、スタジオごとの個性を残しながら、その上位にある経営・管理機能をまとめるというアプローチを取る。クリエイターは制作に集中し、管理部門は効率化する。さらにスタジオ間で人材やノウハウを融通することで、グループ全体として制作能力を高める――という構造だ。
KADOKAWA執行役 Chief Anime Officerの田中翔氏は、「人と環境への投資こそが、次世代の才能を育て、技術革新を生む源泉」とコメント。Studio One Base代表取締役社長に就任する菊池剛氏も、今回の統合について「単なる組織再編ではなく、各スタジオが培ってきたブランドや個性を未来へつなぎながら、その価値をさらに高めていくための取り組み」と説明している。
■アニメ制作の「量」から「持続可能性」へ
KADOKAWAは基本戦略として「グローバル・メディアミックス with Technology」を掲げており、アニメはIPの創出・展開を支える重要な柱となっている。今回、約310人規模のアニメ制作体制を一つの会社に集約することで、制作機能をグループの成長戦略により組み込みやすくなるとみられる。
一方で、5社のブランドや制作ラインは残す。これは、アニメ制作において重要なクリエイターやスタジオ固有のノウハウを維持しながら、企業としての経営基盤を強化するための仕組みともいえる。
アニメ市場の拡大によって制作需要が増えるなか、今後問われるのは「どれだけ作品を作れるか」だけではなく、「クリエイターが長く制作を続けられる体制をどう作るか」という点でもある。
Studio One Baseは、KADOKAWAにとって制作本数や制作能力の拡大だけでなく、人材育成、制作効率、ノウハウ共有を含めた次世代のアニメ制作基盤を構築するための拠点となりそうだ。
なお、Studio One Baseの資本構成はKADOKAWA100%。代表取締役社長には菊池剛氏、代表取締役副社長には田村淳一郎氏が就任する。2026年9月時点で従業員数は約310人。連結業績への影響は軽微としている。
■コメント
株式会社KADOKAWA 執行役 Chief Anime Officer 田中翔氏:
「アニメへの需要が世界的拡大を迎えている今、私たちは未来を見据えた持続可能な制作基盤の構築へ挑みます。各スタジオが誇る独自の個性や表現力を継承しながら経営基盤を強固にし、アニメを作ることに安心して没頭できる環境を整えます。人と環境への投資こそが、次世代の才能を育て、技術革新を生む源泉となるからです。変革を恐れず、集結した多様な才能とともにアニメ制作の新たな未来を切り拓き、世界中のファンへ想像を超える感動をお届けできる魅力的な作品を生み出してまいります。」
株式会社Studio One Base 代表取締役社長 菊池剛氏:
「アニメ制作を取り巻く環境が大きく変化する中、私たちは、クリエイターが安心して制作に向き合える環境をつくることが、魅力ある作品を生み出し続けるために不可欠であると考えています。今回の統合は、単なる組織再編ではなく、各スタジオが培ってきたブランドや個性を未来へつなぎながら、その価値をさらに高めていくための取り組みです。これからもクリエイターと一緒に、魅力的な作品を生み出し続けられる制作環境づくりに挑戦してまいります。」
【会社概要】
会社名 :株式会社Studio One Base(読み:スタジオ ワン ベース)
所在地 :東京都豊島区東池袋三丁目1番1号
資本構成:株式会社KADOKAWA 100%
役員構成:代表取締役社長 菊池 剛
代表取締役副社長 田村 淳一郎
取締役 曽根 孝治
取締役 村川 忍
取締役 田中 翔
取締役 鎌田 肇
監査役 盛田 勉
従業員数:約310名
事業内容:アニメーションの制作および企画
※記載内容は2026年9月8日時点の情報。
【AD】ゲーム業界の転職支援サービス「エンターエンタ」
「エンターエンタ」はゲームを含むエンタメ業界に特化した転職支援サービスです。「gamebiz」ならではの強みを活かし、有力ゲーム企業の求人情報を掲載しています。プロデューサー、ディレクター、プランナー、サーバーサイド・フロントサイドエンジニア、AIエンジニア、マーケター、広報・宣伝など非公開・独占求人を多数取り扱っています。転職をお考えの方、よかったら登録してみませんか?
会社情報
- 会社名
- 株式会社KADOKAWA
- 設立
- 1954年4月
- 代表者
- 代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2829億800万円、営業利益81億200万円、経常利益117億100万円、最終利益12億7800万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9468
