
松竹<9601>は、10月14日、2027年2月期 第2四半期累計の連結決算を発表し、売上高489億2100万円(前年同期比1.4%減)、営業利益34億5000万円(同18.8%減)、経常利益37億3000万円(同14.5%減)、最終利益7億3600万円(同82.1%減)だった。
最終利益が大きく減ったが、大阪松竹座など劇場施設及び賃貸不動産などに関して減損損失23億7200万円を計上したことによる。内訳は「映像関連事業」において3000万円、「演劇事業」において18億7100万円、「不動産事業」において4億7000万円を減損損失として特別損失に計上した。
・売上高:489億2100万円(同1.4%減)
・営業利益:34億5000万円(同18.8%減)
・経常利益:37億3000万円(同14.5%減)
・最終利益:7億3600万円(同82.1%減)
主力の映像関連事業が減収減益となったほか、大阪松竹座の閉館などに伴う減損損失を計上したことが最終利益を大きく押し下げた。一方、演劇事業は大幅な増収増益となっており、事業ごとに明暗が分かれる決算となった。
■映像関連事業は減収減益、前年の興行実績も高い水準に
映像関連事業は、売上高が256億5200万円(同8.4%減)、セグメント利益が5億5800万円(同78.3%減)となった。
劇場運営では、邦画「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」、洋画「トイ・ストーリー5」が興行収入100億円を超えるヒットとなった。映画配給でも「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」が15億円、「黒牢城」が10億円を超えるなど、ヒット作が生まれた。
もっとも前年同期も非常に好調な興行実績を残していた。邦画では「名探偵コナン 隻眼の残像」「国宝」「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が興行収入100億円を超え、洋画でも「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」が大ヒットとなっていた。こうした前年の実績を踏まえると、今期の減収を評価するうえでは、比較対象となる前年の興行環境にも目を向ける必要がありそうだ。
実際、松竹配給作品の上期興行収入は84億4600万円(同11.9%減)となった。ただし、四半期別では第1四半期が28億8800万円(同44.1%減)だったのに対し、第2四半期は55億5700万円(同25.9%増)と前年を上回った。
一方、松竹マルチプレックスシアターズが運営する映画館の興行収入は上期123億7400万円(同5.6%減)。第1四半期は同10.1%増だったものの、第2四半期は同16.5%減となった。配給作品の興行収入と映画館運営の興行収入では異なる動きが見られており、映像関連事業全体の業績を考えるうえでも、それぞれの動向を見ていく必要がある。
事業別の売上高では、劇場運営が168億6300万円(同3.5%減)、映画配給が23億1500万円(同12.2%減)となった。一方、映像版権許諾は29億4400万円(同16.5%増)と伸長。「正反対な君と僕」の配信や海外での権利販売が好調だった。
劇場興行や映画配給が前年を下回る一方、配信や海外販売など、映像コンテンツの権利活用は伸びている。映像関連事業では、興行面の動向に加え、作品の二次利用や海外展開による収益化も引き続き注目される。
■演劇事業は大幅増益、大阪松竹座は5月に閉館
演劇事業は、売上高が151億1200万円(同17.1%増)、セグメント利益が21億9500万円(同348.9%増)となった。
劇場運営では、歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」「八月納涼歌舞伎」や、新橋演舞場の「スーパー歌舞伎『もののけ姫』」などが好成績を収めた。その他の公演でも「第三十九回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」が盛況となったほか、全国での巡業公演などが業績に貢献した。
一方、大阪松竹座は5月の「大阪松竹座さよなら公演 御名残五月大歌舞伎」をもって興行を終了し、閉館した。長年にわたって関西の演劇文化を支えてきた劇場が営業を終える節目となったが、演劇事業全体では公演の好調を背景に大幅な増収増益を確保した。
■減損損失23億7200万円を計上、最終利益を圧迫
中間純利益が同82.1%減となった大きな要因のひとつが、特別損失の増加だ。中間期の特別損失は31億300万円となり、前年同期の3億2900万円から大幅に増加した。このうち減損損失が23億7200万円、立退補償金が6億8000万円を占める。
減損損失の対象には、大阪市の劇場施設・賃貸不動産のほか、千葉県柏市の映画館設備、東京都中央区の事務所備品などが含まれる。大阪松竹座の閉館を含む資産の見直しが進むなか、減損損失が最終利益を押し下げた格好だ。
ただし、減損損失は資産の帳簿価額を見直す会計上の損失であり、計上額と同額の現金がその期に流出するわけではない。一方で、営業利益も18.8%減少していることから、最終利益の減少を減損損失だけで説明することはできず、映像関連事業の収益動向にも注意が必要となる。
■通期予想は据え置き、下期の興行と収益動向が焦点に
2027年2月期の連結業績予想は据え置いた。売上高1000億円(前期比1.8%増)、営業利益37億円(同40.1%減)、経常利益35億円(同44.8%減)、最終利益22億円(同58.0%減)を見込む。
・売上高:1000億円(同1.8%増)
・営業利益:37億円(同40.1%減)
・経常利益:35億円(同44.8%減)
・最終利益:22億円(同58.0%減)
・EPS:160.07円
中間期の売上高は通期予想に対して48.9%の進捗となった一方、営業利益は34億5000万円に達し、通期計画37億円に対する進捗率は93.2%となった。ただし、映画作品の公開時期や公演の動向などによって業績は変動するため、進捗率だけで通期業績を判断することはできない。
【通期計画に対する進捗率】
・売上高:48.9%
・営業利益:93.2%
・経常利益:106.6%
・最終利益:33.5%
下期は「最終楽章 響け!ユーフォニアム 後編」「八つ墓村」「映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!」などの劇場公開作品に加え、「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ZERO」などもラインナップに含まれる。演劇事業でも歌舞伎座や新橋演舞場、南座などで公演が予定されている。
映画事業では前年の大型ヒット作が生んだ高い比較基準を踏まえつつ、今期の公開作品がどこまで収益に貢献するかが焦点となる。また、演劇事業の好調や映像版権許諾の成長が、映像関連事業の減益をどこまで補えるかも注目される。
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会社情報
- 会社名
- 松竹株式会社
- 設立
- 1920年11月
- 代表者
- 代表取締役会長 会長執行役員 迫本 淳一/代表取締役社長 社長執行役員 髙𣘺 敏弘/代表取締役 副社長執行役員 武中 雅人
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 売上高982億4900万円、営業利益61億7300万円、経常利益63億4500万円、最終利益52億3600万円(2026年2月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9601