【インタビュー】『あんさんぶるスターズ!』のHappy Elementsが採用強化中! “ヒットゲームを作れる職場環境”について代表・新井氏に訊いた

現在Happy Elementsでは、開発体制の強化のために様々な職種で採用に力を入れている。

Happy Elementsと言えば、京都に開発スタジオを構え、日々クオリティの高いコンテンツの創出に努めるなど、いま最も急成長を遂げているゲーム企業だ。

スマートフォン向けゲームアプリとして『メルクストーリア - 癒術士と鈴のしらべ -』や『あんさんぶるスターズ!』などヒット作を抱えているほか、2016年には『ラストピリオド – 終わりなき螺旋の物語 –』、リニューアル版『あんさんぶるガールズ!!』と新作も控えている。

今回「Social Game Info」では、Happy Elements代表取締役CEOの新井元基氏にインタビューを実施し、今年大ヒットを記録した『あんさんぶるスターズ!』の取り組みをはじめ、同社の魅力、開発現場の雰囲気、求めている人物像など、様々な視点から話を伺ってきた。

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■職種にとらわれず自分たちで考えたモノを作れる文化…『あんスタ』誕生秘話


――:本日はよろしくお願いします。新井さんには、今年2月にもお話をお伺いいたしました(関連記事)。かれこれ10ヵ月振りではありますが、何か社内や開発体制で変化はありましたか。たしか当時はスタッフの数が80人とのことでしたね。

大きな変化はありませんが、スタッフの人数はアルバイトを含め100人ほどの規模となりました。エンジニアやイラストレーターの学生アルバイトの採用は割とできているのですが、会社の場所が関西(京都)ということもあり、中途採用の社員の採用は相当苦戦しているというのが現状です。


――:御社といえば、今年は『あんさんぶるスターズ!』(以下『あんスタ』)のヒットが大きなトピックスかと思います。このほか『メルクストーリア』をはじめとする既存タイトルに、『ラストピリオド』といった新作も控える中、少数精鋭の部隊が特徴なのかと思います。『あんスタ』の開発チームはどのようになっているのでしょうか。

『あんスタ』は、『あんさんぶるガールズ!』から派生したチームで構成されており、現在のスタッフ数はアルバイトも含めて25人です。職種の内訳としてはイラストレーターやアニメーションデザイナーといったクリエイティブ職が半分以上を占めています。男女は半々くらいで、エンジニアやゲームプランナーはほぼ男性スタッフですが、コンテンツの企画やクリエイティブの制作は女性スタッフが中心になっています。
 

 


――:リリース前から振り返って、開発現場の様子はいかがでしたか。

当社では最近は男性向けのゲームを手がけることがほとんどであるため、女性向けのゲームということで特にゲームシステム部分は相当苦労しました。


――:ジャンルはシミュレーションゲームですが、どのように決まったのでしょうか。

開発開始当初は、女性のゲームユーザーが増えてきているとはいえ、男女ともに遊べるパズルなどのカジュアルゲームが中心で、女性向けでのスマホアプリ市場での大きな成功事例というのはほぼありませんでした。「ゲームが苦手だから」…と敬遠されるのは避けたかったため、幅広い層の女性に遊んでもらうために、ゲームが苦手な方でも誰もが気軽にストーリーやキャラクター性を楽しんでもらえるようなものにしたいと考えていました。

前述の通りエンジニアやゲームプランナーがほぼ男性であるため、女性向けのゲームはよく分からないということで当初は少し女性向けであることを意識し過ぎていた気がしますが、ゲームで面白いと感じる要素は男女でそんなに変わらないのでは無いかということで、次第に “ゲームとして面白いものを作ろう”という意識に立ち返っていきました。

ただ、当初は「リズムゲームにしたい!」という意見も多くありました。



――:リズムゲームで言うと、3Dキャラクターが踊るタイプのものを想定されていたのでしょうか。

いえ、3Dキャラクターは考えていませんでした。というのも、当社には2Dのイラストレーターが多数社内に在籍しており、その強みを最大限生かしていきたいと考えています。業界的には、3Dキャラクターが滑らかに動くような、よりリッチなものになる方向に進んでいると思いますが、私は「2Dと心中する」つもりで考えており、2Dイラストにこだわりを持っています

とはいえ、どんどん競合のゲームアプリの表現はリッチになっていきますので、当社もそれに対抗するべく、より良い表現を生み出していかなければなりません。そこで『あんスタ』では、2Dキャラクターの表情や動きを滑らかに演出できる「Live2D」を採用しました。



――:「Live2D」を使用した本格的なゲーム作りは、『あんスタ』が先駆けのような気がします。具体的にどのようなところにこだわって開発されましたか。

豊かな感情表現をしながら、違和感を可能な限り小さくすることを目指しました。Live2Dは2Dの素材を3Dっぽく動かすので、どうしても動きに違和感が出やすいです。ただ、違和感を恐れて小さな動きだけに限定すると、感情が思うように表現できません。試行錯誤を繰り返し、何度も作り直し、現在の表情豊かなキャラクターが完成したのはリリース直前でした。おかげで、Live2D社の方からも「どうやって作られたのですか?」と驚かれるくらいクオリティが高いものを実現できました。


――:チームの中に「Live2D」のスペシャリストがいるのですね。

もともとイラストレーターの方で、『あんスタ』のプロジェクトが立ち上がってLive2Dを検討したいとなった時に、「未経験ですがやってみたい」ということで名乗り出てくれたので挑戦してもらいました。苦労はしましたが、表情豊かに動くキャラクターというのは、『あんスタ』の大きな強みとなっています。さらに、Live2Dは2016年配信予定のリニューアル版『あんさんぶるガールズ!!』でも採用します。


――:そもそも『あんスタ』の企画は、どのように立ち上がったのでしょうか。開発経緯を教えてください。

次のタイトルにそろそろ着手しようということになったときに、『あんさんぶるガールズ!』のイラストレーターから企画が出て来たのが始まりです。前述の通り当社スタッフの半数がデザイナー・イラストレーターであり、その8〜9割が女性です。女性が中心となり女の子が沢山でてくるゲームのイラストを制作していますが、「イケメンも描きたい!」という思いがあったんでしょう(笑)。女性向けタイトルの企画を温めていたということで、『あんスタ』の企画が持ち上がりました。
 
【社内風景】




――:イラストレーターからの企画だったのですね。かなり珍しい企画の立ち上がり方なのではないでしょうか。

『メルクストーリア』もエンジニア発の企画でしたし、イラストレーター・エンジニア・プランナー等の職種にとらわれず自分たちで考えた良いモノを作るという文化ですので、あまり当社では珍しいことではありません。

ですが、スマホアプリストアのセールスランキング等を見ていても、女性向けで大成功しているタイトルは無いような状況でした。「そもそも女性向けアプリの市場はあるのか?」と正直疑問だったのですが、「今はまだ出ていないだけで、これから自分たちがつくる」ということで、壮大な話だなと思いつつも、女性向けコンテンツのコアユーザでもある彼女たちがそこまで言うのであれば、信じて挑戦してみようと思いました。



――:市場は存在していましたね。『あんスタ』リリース初期の売り上げランキングを見てみますと、オリジナルIPタイトルでは珍しくとても好調な結果で、そのままの勢いで現在まで推移しています。リリース当初では主にどのような施策を行っていましたか。

事前登録のプロモーションが成功し、16万人以上もの事前登録を集めることができました。最初は豪華声優陣の起用がヒキになって声優好きの方を中心に反響があり、徐々にキービジュアルなどのキャラクターイラストが好評を得て口コミで広がった印象です。


――:そして、12月4日のHappy Elementsのニコニコ生放送にて、『あんスタ』における「アニメ化」や「舞台化」といった様々なメディアミックス展開が発表されました。とても展開が早いと感じますが、リリースの段階からこちらの企画は考えていたのでしょうか。

ゲームの企画段階では、様々なメディアミックス展開に耐えうるようにと考えながら開発はしていましたが、リリース前の段階で決まっているものはほぼ何もありませんでした。メディアミックスについては、展開が早いということで「リリース前から準備していたのか?」とよく聞かれるのですが、リリース前から進めてしまってゲームがうまくいかなかった場合にご協力いただくパートナー様に迷惑がかかってしまいますし、そもそもまだ知名度の全く無いオリジナルIPですし、当社も女性向けコンテンツの成功事例は持っていないような状況ですので、仮に事前に進めようとしても無理だったのではないかと思います。

ただ、アプリのリリース当初から多くの方にご好評をいただくことができたので、それならばと早速それぞれの道のプロの方にご相談させていただき、いろいろな方にご協力頂きながら「グッズ化」「コミカライズ」「ノベライズ」「音楽CD」「舞台化」「アニメ化」と話を進めていった形です。

 




――:各方面から好評の『あんスタ』のイラスト、キャラクターデザインですが、既存のアニメや漫画のキャラクターを意識した部分を感じます。そういったアニメ・キャラクターが好きな層へのアピールも意識していたのでしょうか。

アニメや漫画が好きなスタッフが多く、自分たちが好きなコンテンツの影響はどうしても受けてしまう部分はあると思いますし、好まれるパターンというのがある程度あるように思います。

『あんスタ』では、乙女ゲームのように「頭身が高くて、顔が格好良くて」というところには向かいませんでした。そういったキャラクターでは、乙女ゲームユーザーにしか訴求ができず、ターゲットがかなり限定されてしまうと考えました。どちらかというと少年誌の漫画のようなテイストで、かわいらしくしてなるべく広い層にアピールできるようなキャラクターデザインを心掛けました。

また、シナリオについても、乙女ゲームのように格好いい男性がプレイヤーである女性に恋愛感情を持って接するようなものにはしませんでした。

『あんさんぶるガールズ!』も『あんスタ』も、「あんさんぶる」シリーズではさわやかな青春を楽しんでもらうというコンセプトで制作しており、恋愛要素がゲームの中心にならないようにしています。恋愛要素は感情を動かす大きな要素ですので、どちらのタイトルを開発をスタートする際に私から「恋愛要素は要らないのか?」という質問はしました。…が、「いりません」と説明され、「あ、そうですか」と(笑)。



――:すごい信頼関係ですね(笑)。よく聞く話として「上の人間がこう言っているので」と、現場の人がそれに準じて動くというケースが多いと思うのですが。

私は、より良いモノを作るための組織作りや環境作りといった部分ではこだわりを持っていますが、「何を作るか」という部分は完全に現場に任せています。私自身もプログラマーですが、上から何か理不尽なことを言われたら、やる気がなくなってしまいます(笑)。

また、上から言われたからという理由で、納得もしていないのにそれを取り入れてしまったら、誰もプロダクトに対して責任をとれなくなってしまいますし、思い入れを持つこともできなくなります。強い思い入れと責任を持って制作にあたれる環境でありたいと考えています。私から現場に仕様や完成度の不備を指摘したり感想をフィードバックしたりはしますが、ゲームやコンテンツの内容について指示を出すようなことはありません。



――:分かりました。そして現在御社では、様々な職種で新しい人員を募集しているとのことですが、特に募集している職種はあるのでしょうか。

現在、特にエンジニアを募集しています。当社のエンジニアは、サーバーサイド、クライアントサイドの両方のプログラムができる人がほとんどで、少数精鋭で開発にあたっています。元々サーバサイドのWEBエンジニアだった方が多いのですが、当社がブラウザゲームからスマホアプリゲームへ転換する時や、入社後にUnityを習得してもらっています。

当社ではサーバーサイドの開発言語はRuby(フレームワークはRuby on Rails)で統一しており、元々ブラウザベースのソーシャルゲームを開発していたということもあり、どちらかというとクライアントよりもサーバーサイドに強みがあります。ただ、今後はクライアント側も強みとしていけるように取り組んでおり、クライアント技術に強みをもったエンジニアの方にも是非来て頂きたいと考えています。もちろん、今後クライアント技術を伸ばしていきたいというエンジニアの方も存分にご活躍頂ける環境ですので、そういう方のご応募もお待ちしています。これまでゲーム開発が未経験の方でも、ゲームが好きな方であれば大歓迎です。

 

それ以外にも、イラストレーターやアニメーションデザイナー、グラフィックデザイナー、プランナー、マーケティング担当、人事担当といった職種でも募集していますので、当社に興味を持って頂けたら是非一度当社採用ページをご覧頂きたいです。内製でオリジナルタイトルにこだわり、クリエイターが最大限力を出せる環境作りを行っており、「面白いゲームを作れる」環境には自信があります。

会社の場所が京都ということもあり、なかなか今遠方にお住まいの方には検討が難しいところだとは思いますが、引っ越し支援金制度を用意しており、前職が東京の会社だった方も割といるような状況です。一次面接は東京等でも行うことができますので、当社に少しでもご興味を持って頂けたら、是非お気軽にご連絡頂きたいです。



――:それでは、最後に「Social Game Info」読者にメッセージをお願いします。

先日のニコニコ生放送でも発表しましたが、『あんスタ』のアニメ化・舞台化、『あんさんぶるガールズ!』の大型リニューアル、『メルクストーリア』の2周年記念キャンペーン、新作である『ラストピリオド』のリリース等が控えています。今後も是非ご期待ください。


――:ありがとうございました。
 
【最新作『ラストピリオド』スクリーンショット】


 
 
 
 


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