【決算レポ】シリコンスタジオ、第3四半期決算は営業赤字に転落 ゲーム業界の市況悪化響く フィジカルAI事業や産業向けCGソリューションを本格始動

シリコンスタジオ<3907>は10月8日、2026年11月期第3四半期累計(25年12月~26年8月)の決算を発表した。売上高は前年同期比4.6%減の30億8200万円となり、営業損益は2億600万円の赤字(前年同期は1億2600万円の黒字)に転落した。主力の開発推進・支援事業で大型受託開発案件の終了に伴う売上減を補えなかったことに加え、3DCG映像制作案件の採算悪化やオンラインソリューションの減収などが響いた。通期業績予想も下方修正しており、厳しい事業環境が続いている。

 

■国内ゲーム業界の市場環境悪化が影響

第3四半期累計の業績は、売上高が30億8200万円(同4.6%減)、営業損失が2億600万円(同1億2600万円の黒字)、経常損失が2億300万円(同1億2700万円の黒字)、最終損失が3億円(同1億4700万円の黒字)となった。

同社は決算補足説明資料で、開発推進・支援事業と人材事業の双方が、特にからの国内ゲーム業界の市場環境悪化によって大きな影響を受けていると説明している。

開発推進・支援事業の売上高は18億9500万円(同5.0%減)、セグメント利益は6000万円(同79.9%減)だった。受託開発では大型主要案件の終了に伴う売上減を他案件で補えず、一部案件の売上計上時期の後ろ倒しも発生した。また、オンラインソリューションでは、大手従来顧客によるサービス終了が減収要因となった。

事業区分別に見ると、受託開発の売上高は12億1500万円(同0.1%減)とほぼ横ばいだった一方、ミドルウェアはライセンス収入や請負開発などの積み上げにより4億7600万円(同11.0%増)と伸長した。これに対し、オンラインソリューションは2億300万円(同41.6%減)と大きく落ち込んだ。

受託開発では売上高がほぼ横ばいでも、利益面では厳しい状況にある。昨年度に受注した3DCG映像制作案件については、第3四半期に売上を一括計上したものの、損失の発生に伴う受注損失引当金繰入額を売上原価に計上した。さらに、制作遅延による想定以上の工数投入でリソースが不足し、ほかの新規案件を受注する機会も失ったという。

案件の終了を補う新規受注が進まなかったことに加え、個別案件の採算悪化が新たな受注機会にも影響した格好だ。

 

■人材事業も減収減益、即戦力人材への需要と供給にミスマッチ

人材事業の売上高は11億8600万円(同3.9%減)、セグメント利益は2億500万円(同3.3%減)となった。

有料職業紹介の成約数は179名(同13.9%減)、派遣稼働者の延べ人数は1633名(同4.9%減)だった。従来の大手顧客中心の営業から、配信系エンターテインメント業界や中小スタジオを含む幅広い顧客の開拓に取り組んでいるものの、依然として厳しい状況が続いている。

人材派遣では、顧客側がミドル・ハイクラス人材を重視する一方、派遣希望者はジュニア層が中心となっており、需要と供給のミスマッチが進んでいるという。

開発案件の獲得環境が厳しくなるなか、受託開発だけでなく、人材紹介・派遣にも影響が及んでいることがうかがえる。

 

■通期予想を下方修正、最終赤字は3億2500万円に拡大

同社は10月8日、2026年11月期の通期業績予想を下方修正した。売上高は従来予想の42億3100万円から40億7300万円に引き下げた。営業損失は2億円から2億6600万円、経常損失は1億9800万円から2億6500万円、最終損失は2億2800万円から3億2500万円にそれぞれ赤字幅が拡大する見通しだ。

会社側は、第3四半期累計の業績が予想に対して低調に推移したことを受け、セグメント別・事業区分別に第4四半期の業績見通しを精査した結果、前回予想を下回る見込みとなったと説明している。

また、出資に関連して取得した株式について、投資有価証券評価損億3900万円を特別損失に計上した。なお、配当は無配を予定している。

 

■ゲーム開発で培った技術を産業向けに展開

厳しい業績環境にある一方、同社はゲーム・映像分野で培ったリアルタイムCG技術やゲームエンジンの知見を、非エンターテインメント領域に展開する取り組みを進めている。

もともと同社は、ゲーム開発用ミドルウェアやリアルタイムグラフィックス技術を事業基盤としてきた。近年は、自動車、製造業、土木・建設などを対象に、CG技術を活用したソリューションの提供にも力を入れている。

具体的には、画像認識AIの学習に用いる教師画像をCGで生成するサービスや、点群データから精細なCGを制作するサービス、自動車のドライビングシミュレーター向けソリューションなどを展開している。ゲームや映像の制作で培った技術を、産業分野の課題解決に生かす狙いだ。

第3四半期累計では、産業界から可視化技術への引き合いがあることを踏まえ、ウェブサイトの充実や分析に基づく施策、インサイドセールス体制の拡充などに取り組んだ。さらに、フィジカルAIシミュレーション基盤事業も本格的に始動させ、顧客基盤の拡大を図っている。

ゲーム業界では、開発費の高騰などを背景に、発注側が投資対象を厳選する傾向が強まれば、受託会社にとっても案件の獲得や採算の確保が課題となる。同社の今回の決算でも、大型案件の終了を補う受注が進まなかったことや、制作遅延による受注機会の損失が業績に影響した。

こうしたなか、ゲーム開発で培った技術を産業向けに展開することは、特定の業界の投資動向に左右されにくい収益基盤を構築するうえでも意味を持つ。ただし、産業向け事業がどの程度の売上・利益を生み出すかは、現時点で明らかになっていない。

既存事業の収益改善と、新たな顧客基盤の開拓をどう両立させるか。ゲーム業界の市況悪化が続くなか、以前から取り組んできた非ゲーム領域の事業を、次の収益の柱へと育てられるかが注目される。

 

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シリコンスタジオ株式会社
https://www.siliconstudio.co.jp/

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高43億300万円、営業利益1億4700万円、経常利益1億4800万円、最終利益2億600万円(2025年11月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3907
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