
「ゲーム業界で働いてみたいけれど、実務経験がない」「今の仕事とは違う分野に挑戦したい」――。そんな思いを持つ第二新卒にとって、転職先の選択肢を知ることは、キャリアを考えるうえで重要な第一歩となる。
ゲーム業界の仕事というと、ゲームプランナーやプログラマー、デザイナーといった開発職をイメージする人も多いだろう。しかし、実際にはゲームの企画・開発だけでなく、リリース後の運営、マーケティング、営業、ユーザーサポート、管理部門など、多様な仕事が存在する。
そのため、必ずしもゲーム業界での実務経験がなければ転職できないわけではない。前職で培った営業力やコミュニケーション能力、ITスキル、企画力などを活かせる仕事もある。
今回は、第二新卒や異業種からの転職を検討している人に向けて、ゲーム業界で目指せる10の職種を紹介する。仕事内容や求められるスキル、これまでの経験を活かせるポイントを参考に、自分に合ったキャリアを探してみよう。
■ゲーム業界にはどんな仕事がある?
ゲーム会社の仕事は、大きく分けると「ゲームを作る仕事」「ゲームを運営する仕事」「ゲームをビジネスとして広げる仕事」「会社や開発現場を支える仕事」などに分類できる。
例えば、ゲームプランナーやプログラマー、グラフィック・UIデザイナーはゲームの企画・開発に関わる職種だ。一方、マーケターや営業、広報などは、ゲームをユーザーに届けたり、事業として成長させたりする役割を担う。また、カスタマーサポートやデバッグ、制作進行管理など、開発や運営の現場を支える仕事も欠かせない。
第二新卒が転職先を探す際は、「ゲームを作りたい」という希望だけでなく、自分がどのような形でゲームに関わりたいのかを考えてみるとよいだろう。
■第二新卒から目指せるゲーム業界の仕事10選

①デバッガー・QA(品質管理)
「ゲームの不具合を見つけ、品質を支える仕事」
ゲームの開発中やリリース前に、実際にゲームをプレイしたり、決められたテスト項目に沿って動作を確認したりして、不具合を発見・報告する仕事となる。単にゲームをプレイするだけではなく、どのような操作で不具合が発生したのか、どのような条件で再現するのかを整理し、開発チームに正確に伝えることが求められる。
<活かせる経験・スキル>
・細かい作業を正確に進める能力
・不具合や問題点を発見する観察力
・状況を整理して報告する文章力
・決められた手順を守って業務を進める力
異業種からの転職でも比較的検討しやすい職種の1つだ。事務職でのチェック業務や、製造・品質管理の経験なども活かせる可能性がある。QA業務の経験を積み、テスト設計や品質管理の専門性を高めていくキャリアも考えられる。
②ゲーム運営スタッフ・運営プランナー
「ゲームを長く楽しんでもらうための仕組みを考える仕事」
スマートフォンゲームやオンラインゲームなど、サービス開始後も継続的に提供されるタイトルの運営を担当する。イベントやキャンペーンの企画、ゲーム内データの更新、ユーザーの利用状況の分析、不具合対応など、業務は幅広い。ユーザーの反応やプレイ状況を確認しながら、サービスを改善していくことが重要となる。
<活かせる経験・スキル>
・接客・販売で培ったユーザー視点
・企画やイベントの立案経験
・データ集計・分析能力
・複数の業務を並行して進める調整力
接客・販売、Webサービスの運営、イベント企画などの経験が活かせる可能性がある。ゲームを遊ぶユーザーの視点と、サービスを運営するビジネスの視点の両方が求められる仕事だ。
③カスタマーサポート
「ユーザーの声を受け止め、ゲームのサービスを支える仕事」
ゲームを利用するユーザーから寄せられる問い合わせや要望、不具合の報告などに対応する仕事となる。メールや問い合わせフォームなどを通じて、利用方法の案内や問題解決をサポートする。問い合わせ内容を整理して開発・運営チームに共有したり、FAQや対応マニュアルを作成したりすることもある。
<活かせる経験・スキル>
・接客・販売で培ったコミュニケーション能力
・相手の状況や要望を理解する力
・丁寧で分かりやすい文章を書く力
・問題解決に向けて冷静に対応する力
異業種からの転職では、接客業やコールセンター、一般企業のカスタマーサポートなどの経験が活かしやすい。ユーザーの声を直接受け取る立場だからこそ、ゲームへの理解や相手に寄り添う姿勢も重要となる。
④ゲームプランナー
「ゲームの面白さを企画し、形にしていく仕事」
ゲームの企画立案や仕様書の作成、ゲーム内のシステム・機能の設計、キャラクターやアイテムの設定、ゲームバランスの調整などを担当する。開発チームと連携しながら、自分たちが考えた企画を実際のゲームとして形にしていく役割だ。タイトルや担当領域によって、開発段階の企画を担当する場合もあれば、リリース後の運営施策を担当する場合もある。
<活かせる経験・スキル>
・企画を考え、具体化する能力
・情報収集・分析力
・資料や仕様を分かりやすくまとめる力
・関係者と協力して物事を進める調整力
広告・Web業界での企画経験や、他業界でのサービス開発、商品企画などの経験が活かせる可能性がある。一方で、ゲームプランナーは人気の高い職種でもあり、未経験者を対象とした求人が常に豊富にあるわけではない。ゲームの仕組みを分析したり、自分なりの企画書を作成したりするなど、応募に向けた準備も重要となる。
⑤制作進行・プロジェクトアシスタント
「開発チームの仕事を円滑に進めるための調整役」
ゲーム開発では、プランナー、プログラマー、デザイナー、サウンドクリエイターなど、多くのスタッフが協力して一つのタイトルを作り上げる。制作進行やプロジェクトアシスタントは、スケジュールの管理、会議の調整、資料作成、関係者への連絡などを通じて、開発プロジェクトが円滑に進むよう支援する。担当範囲によっては、外部の協力会社やクリエイターとの連絡・調整を行うこともある。
<活かせる経験・スキル>
・進捗管理やスケジュール調整の経験
・資料作成や事務処理能力
・社内外の関係者とのコミュニケーション能力
・複数のタスクを整理して進める能力
一般事務や営業事務、イベント制作、広告・映像制作などで進行管理を経験している人は、これまでのスキルを活かせる可能性がある。ゲーム開発の専門知識が必要となる場合もあるが、まずはアシスタント業務から開発現場の仕事を学べる求人を探すのも一つの方法だ。
⑥ゲームマーケター
「ゲームの魅力をユーザーに届け、ファンを増やす仕事」
ゲームタイトルの認知度を高め、ユーザーの獲得や継続利用につなげるための施策を企画・実行する。Web広告やSNSを活用したプロモーション、キャンペーンの企画、広告効果の分析、市場調査など、担当する業務は多岐にわたる。タイトルのターゲットや特徴を把握し、どのようなユーザーに、どのような方法で魅力を伝えるのかを考えることが重要だ。
<活かせる経験・スキル>
・Web広告やSNSの運用経験
・マーケティング・市場調査の経験
・データ分析や数値管理の能力
・企画立案・プロモーションの経験
広告代理店やWebマーケティング会社、一般企業の広報・販促部門などで働いた経験が活かせる職種。ゲーム業界での経験がなくても、マーケティングの実務経験を評価する求人を探すことで、転職の可能性を広げられる。
⑦営業・アライアンス担当
「ゲーム事業のビジネス機会を広げる仕事」
ゲーム会社の営業職は、法人向けの提案営業や開発案件の獲得、他社との協業・提携など、さまざまな業務を担う。例えば、ゲームの開発・運営を受託する企業であれば、取引先のニーズを把握し、自社の開発力やサービスを提案する。アライアンス担当であれば、他社との協業やIPの活用、共同事業などのビジネス機会を開拓することもある。
<活かせる経験・スキル>
・法人営業や提案営業の経験
・顧客との関係構築・交渉力
・課題やニーズを把握する能力
・社内外の関係者との調整力
営業経験者にとっては、これまで培ったスキルを活かしやすい分野の一つ。ゲームやエンタメに関する知識を深めることで、業界特有の商習慣やビジネスモデルへの理解も進められる。
⑧広報・PR・宣伝担当
「ゲームや会社の魅力を社外に発信する仕事」
新作タイトルやイベント、企業の取り組みなどを、メディアやユーザーに向けて発信する仕事となる。プレスリリースの作成、メディア対応、SNSでの情報発信、イベントや発表会の企画などを担当する。ゲームタイトルの宣伝では、発売・配信時期に合わせたプロモーション計画の立案や、広告・制作会社との調整なども行う。
<活かせる経験・スキル>
・広報・PRやメディア対応の経験
・広告・販促企画の経験
・文章作成や情報発信の能力
・SNSやWebメディアに関する知識
一般企業の広報や広告代理店、出版社、Webメディアなどでの経験が活かせる可能性がある。ゲームの魅力を理解し、ユーザーやメディアに伝わる形で発信する力が求められる。
⑨ゲームプログラマー・エンジニア
「ゲームを動かす仕組みを技術で実現する仕事」
ゲームのキャラクターや背景の動作、ゲーム内のシステム、ネットワーク機能などをプログラミングによって実装する。使用する技術は担当領域によって異なり、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジン、C++やC#などのプログラミング言語を扱うケースがある。また、オンラインゲームではサーバーやデータベースなどの知識も必要となる。
<活かせる経験・スキル>
・プログラミングやシステム開発の経験
・Web・アプリケーション開発の経験
・論理的思考力や問題解決能力
・新しい技術を学び続ける姿勢
IT・Web業界でエンジニアとして働いた経験がある人は、技術的な知識をゲーム開発に応用できる可能性がある。一方、完全未経験から目指す場合は、プログラミングの基礎やゲームエンジンの操作を学び、自分で制作した作品などを通じてスキルを示すことが重要となる。
⑩グラフィック・UIデザイナー
「ゲームのビジュアルや画面デザインを制作する仕事」
キャラクターや背景、アイテムなどの2D・3Dグラフィック、ゲーム画面のUI(ユーザーインターフェース)などを制作する。2Dデザイナー、3Dモデラー、モーションデザイナー、UIデザイナーなど専門分野は幅広く、それぞれ求められる制作スキルや使用ツールが異なる。
<活かせる経験・スキル>
・イラスト・グラフィック制作の経験
・Web・広告・映像などのデザイン経験
・PhotoshopやIllustrator、Maya、Blenderなどの操作スキル
・デザインの意図を理解し、形にする能力
Webデザインや映像制作、広告制作などの経験がある人は、これまでの制作スキルを活かせる可能性がある。ただし、グラフィック・UIデザイナーは専門性が重視される職種であり、未経験者の場合も、ポートフォリオなどで制作能力を示すことが求められるケースが多い。
■自分に合った職種は? 前職の経験から考えるゲーム業界への転職
ここまで紹介した10職種は、求められる能力や応募条件がそれぞれ異なる。第二新卒が転職先を考える際は、ゲーム業界への興味だけでなく、これまでの仕事で培った経験と照らし合わせてみることが大切だ。
例えば、次のような考え方ができる。

営業・販売職の経験がある人:営業・アライアンス、カスタマーサポート、ゲーム運営
広告・マーケティング職の経験がある人:ゲームマーケター、広報・PR・宣伝
事務・管理部門の経験がある人:制作進行・プロジェクトアシスタント、QA・品質管理
IT・Web業界の経験がある人:ゲームプログラマー・エンジニア、ゲーム運営、QA
デザイン・映像制作の経験がある人:グラフィック・UIデザイナー
企画・イベント制作の経験がある人:ゲームプランナー、ゲーム運営、制作進行
もちろん、前職の職種と転職先が必ずしも一対一で結びつくわけではない。例えば、営業職で培った調整力は制作進行でも活かせる可能性があり、接客業で身につけたユーザー視点はゲーム運営や企画にも応用できる。大切なのは、前職の仕事内容をそのまま次の職場に持ち込むことではなく、そこで身につけた能力を新しい仕事にどう活かせるかを考えることだ。
■未経験からゲーム業界を目指すために準備しておきたいこと
第二新卒や異業種からゲーム業界への転職を目指す場合、まずは自分が希望する職種の仕事内容と応募条件を確認しよう。
「業界未経験OK」と「職種未経験OK」は必ずしも同じではない。ゲーム業界での経験は問わなくても、営業やマーケティング、エンジニアなど、応募する職種の実務経験を求める求人もある。一方、ポテンシャル採用やアシスタント職など、経験が浅い人材を対象とした募集もあるため、求人情報を幅広く確認することが重要だ。
転職活動に向けては、次の3点を意識したい。
①これまでの経験・スキルを棚卸しする
まずは、前職で担当した業務や身につけたスキル、仕事で工夫したことなどを書き出してみよう。例えば、営業職なら顧客との交渉や提案、事務職なら資料作成や進行管理、接客業ならユーザー対応や問題解決など、日々の業務の中にもゲーム会社で活かせる経験があるかもしれない。
②希望する職種に必要な知識を身につける
応募したい職種が決まったら、必要な知識やスキルを確認しよう。プランナーならゲームの企画書や仕様書の作成、マーケターなら広告・データ分析の基礎、エンジニアならプログラミングやゲームエンジンの学習、デザイナーならグラフィック制作やUI設計のスキルなど、職種によって準備すべき内容は異なる。
すべてを独学で身につける必要はないが、応募先の仕事を理解し、自分なりに準備を進めていることは、選考でもアピール材料となる。
③未経験者を対象とした求人を探す
ゲーム業界の求人を探す際は、第二新卒歓迎、業界未経験OK、職種未経験OK、アシスタント募集などの条件にも注目したい。ただし、こうした表記があっても、必須条件や歓迎条件は求人ごとに異なる。自分の経験やスキルが応募条件に合っているかを確認し、これまでの経験をどのように活かせるか整理しておこう。
■第二新卒だからこそ、これまでの経験を次のキャリアにつなげよう
ゲーム業界には、企画・開発から運営、マーケティング、営業、ユーザーサポートまで、さまざまな仕事がある。ゲーム制作の専門スキルを必要とする職種もあれば、異業種で培った経験や社会人としての基礎力を活かせる職種も存在する。
第二新卒として転職を考える際は、「ゲーム業界で働きたい」という希望を出発点にしながら、自分の経験や適性に合った職種を探すことが大切だ。また、未経験から挑戦できる仕事であっても、入社後に求められる役割や必要なスキルは職種によって異なる。求人情報をよく確認し、自分がどのようなキャリアを築きたいのかを考えてみよう。
これまでの仕事で得た経験は、必ずしもゲーム業界と無関係ではない。 自分の強みを見つめ直し、それを活かせる仕事を探すことが、新しいキャリアへの第一歩となるはずだ。
