coly、7月中間決算は営業赤字8.5億円も既存事業4.5億円の利益計上 新規開発に13億円先行投資、11月以降の新作投入で収益化へ

木村英彦 編集長
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coly<4175>は9月11日、2027年1月期第2四半期(中間期)の決算を発表した。売上高は前年同期比0.1%減の33億7600万円とほぼ横ばいだった一方、営業損失は8億5000万円(前年同期は9500万円の赤字)に拡大した。一見すると大幅な赤字だが、決算説明資料を見ると、背景には既存IPの事業が大きく崩れたというより、新規タイトル・新規事業への先行投資を積極的に行っていることがある。

 

■売上高は横ばい、ゲーム減収をメディア事業の伸長でカバー

第2四半期累計の売上高は33億7600万円。前年同期の33億7800万円からほぼ横ばいとなった。内訳を見ると、モバイルオンラインゲーム事業は17億8600万円で前年同期比10.6%減。一方、メディア事業は15億9000万円で同15.1%増となった。メディア事業はグッズ販売などを中心に伸長し、現在では全社売上高の約半分を占める規模となっている。

ゲーム事業では、前年同期に大きく寄与した『魔法使いの約束』のアニメ放映効果が一巡した影響が大きかった。一方で、『ブレイクマイケース』は2周年施策が好調に推移し、過去最高の単月売上を記録。『魔法使いの約束』も6.5周年キャンペーンなどを展開し、累計800万ダウンロードを突破した。『スタンドマイヒーローズ』についても10周年に向けた施策を進めている。

メディア事業では、グッズ販売に加え、舞台やリアルイベント、店舗などへの展開を進めた。『coly more!』の店舗規模を拡大したほか、『coly cafe!』では初めて他社IPとのコラボレーションも実施している。

 

■8.5億円の営業赤字、その中身は新規開発への先行投資

今回の決算で注目したいのが、営業赤字の内訳だ。colyは決算説明資料で、既存事業から4.5億円の利益を創出した一方、開発中事業への先行投資費用として13.0億円を計上したと説明している。その結果、全体では8.5億円の営業損失となった。

 

新規開発案件については、費用を研究開発費として計上しており、「リリースまで費用が先行する」と説明している。実際、販管費は前年同期の15億1200万円から19億5000万円へ4億3700万円、29.0%増加した。

つまり、現在のcolyでは、既存IPを運営して利益を確保しながら、その利益を上回る規模の資金を次のタイトルや新規事業の開発に投入している格好だ。

これはゲーム会社の決算を見るうえでは、赤字額だけでは判断しにくい部分でもある。新作開発費を開発期間中から費用として計上すれば、リリース前の段階では利益を押し下げることになる。一方、ゲーム業界では開発費を資産として計上したタイトルが、リリース後に想定を下回り、回収可能性が低下したことで減損損失を計上し、大幅赤字となるケースも少なくない。

colyの場合、少なくとも今回の新規開発案件については研究開発費として先行して費用化しているため、新作がリリースされていない段階で現在の損益にコストを反映させていることになる。もちろん、これだけで新作開発のリスクがなくなるわけではない。ただ、今回の8.5億円の営業赤字については、既存事業の収益力低下による赤字と単純に捉えるのは適切ではないだろう。

 

■11月に『ディズニー スパークリンク・スターズ』、さらに未発表2タイトルも

こうした先行投資が今後どのように収益へ転換されるかが、colyの業績を見るうえで重要になる。現在、本開発中のスマートフォンゲームとして『ディズニー スパークリンク・スターズ』があり、当初2027年1月期第3四半期としていたサービス開始時期を2026年11月へ変更した。colyは変更理由について、よりクオリティの高い作品を届けるため開発期間を延長したとしている。同作は6月に事前登録を開始し、8月末時点で50万人を突破。8月28日から9月13日には初のグッズ販売となるPOP UP STOREも開催した。

 

また、ゲームIPの未発表タイトル2本についても2027年1月期中のリリースを想定しているほか、さらに複数の新規ゲームを企画中としている。

決算説明資料では、2027年1月期中に開発中タイトルから新たに3タイトルのサービス開始を想定しているとしている。もっとも、クオリティを最優先して開発しており、リリース時期については決定次第開示するとしている。

 

■新作の成否で利益が大きく変動する局面へ

こうした事情から、colyは2027年1月期の業績予想を非開示としている。新規リリースを予定する複数事業の売上高を合理的に算出することが難しいことに加え、競争環境の変化が激しいこと、新規開発などへの機動的な投資判断を行うことを理由としている。

同社が示す今期の損益イメージでも、運営中のIPについては「保守的に見ても黒字」とする一方、新規タイトルの収益によって利益が大きく変動する可能性を示している。

開発期間の延長が続いている点は気になるところではあるものの、現時点ではまだ新作が市場に投入されていない。少なくとも現段階で新作の成否を評価するよりも、既存IPで確保した収益を次の成長に向けて大きく投じているフェーズと捉えるのが妥当だろう。

『ブレイクマイケース』の2周年、『魔法使いの約束』の7周年、『スタンドマイヒーローズ』の10周年など、既存IPの長期運営を継続しながら、新規IP・新作ゲームの投入を進める。「既存IPを収益源として維持し、その利益を次のIP創出に再投資する」――現在のcolyは、まさにその投資フェーズに入ったと見ることができそうだ。

 

■【9月18日追記】質疑応答では通期黒字化を目指す方針を改めて説明

9月18日、2027年1月期第2四半期の決算説明会における質疑応答要旨を公開した。通期業績の見通しについては、上期の営業損失8.5億円について、新規開発案件の開発が佳境を迎えたことで研究開発費を中心とする先行投資が増加したことが要因と説明。既存事業では約4.5億円の利益を確保していると改めて説明した。

下期については、開発中タイトルのリリースに伴って、これまで先行していた開発費が収益化・回収フェーズへ移行することに加え、既存IPも引き続き利益に寄与するとしている。新規タイトルはリリース後の売上動向によって業績変動が大きいため通期業績予想は非開示としているものの、通期での黒字化を目指す方針を示した。

また、『ディズニー スパークリンク・スターズ』については、サービス開始前の事前登録を含め「想定以上の反響」があり、足元ではグッズ販売も非常に好調に推移していると説明した。

 

■メディア事業は「しっかり利益を創出」

メディア事業については、ゲーム事業と比べて収益性が低いのではないかとの質問に対し、colyは「メディアはゲームとはコスト構造が異なりますが、しっかり利益を創出している事業」と回答した。

今回の利益減少についても、メディア事業の収益性が原因ではなく、新規開発案件の研究開発費を中心とした先行投資の増加が主な要因と説明。既存事業は黒字を確保しており、メディア事業も利益創出に大きく寄与しているとしている。

さらにメディア事業については、単体で収益を獲得するだけでなく、グッズやイベントなどを通じて作品との接点を増やし、ゲームを含めたIP全体のエンゲージメントや収益機会を高める役割も担うとしている。今後も採算性を確保しながら、ゲームとメディアを一体としてIP全体の収益最大化を図る方針だ。

 

■『ディズニー スパークリンク・スターズ』は11月リリースに向け準備

『ディズニー スパークリンク・スターズ』のサービス開始時期については、再度変更されたことから、開発上の問題が生じたのかとの質問も出た。

これに対してcolyは、プロジェクトそのものの方向性に問題が生じたわけではなく、サービス開始時点でより高い品質の作品を届けるため、最終的なブラッシュアップ期間を確保する判断をしたと説明した。

11月のサービス開始に向けて準備を進めているとしており、今回の質疑応答でも、従来説明してきた「品質を優先したスケジュール変更」という位置付けを改めて示している。

 

■ポイント

今回のQ&Aでは、新たな業績数値や大きな事業方針が示されたわけではない。先日の決算説明資料で示された「既存事業で利益を確保しながら、新規タイトルの開発費を先行して計上し、下期以降の新作リリースで収益化を目指す」という構図が、質疑応答でも確認された格好だ。

特にメディア事業については、売上高が伸びる一方で利益が減少していることから、その収益性を問う質問が出たものの、colyはメディア事業自体もしっかり利益を創出していると説明。ゲームとメディアを別々の事業として見るだけでなく、IP全体の収益機会を広げる役割としてメディアを位置付けていることが改めて確認さ

れた。

現時点で大きく見方を変えるような材料はないものの、今後は11月予定の『ディズニー スパークリンク・スターズ』をはじめとする新作が実際にどの程度の収益を生み出すのかが焦点となる。今回のQ&Aは、その点について会社側の認識を補足する内容となった。

 

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株式会社coly(コリー)
https://colyinc.com/

会社情報

会社名
株式会社coly(コリー)
設立
2014年2月
代表者
代表取締役社長 中島 杏奈/共同創業者 代表取締役副社長 中島 瑞木
決算期
1月
直近業績
売上高70億2000万円、営業損益1億4400万円の赤字、経常利益4600万円、最終利益7200万円(2026年1月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
4175
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