Mobage・GREEの新作、スマホ版のリリースが急増…直近は過半数に到達

いまさらあえて書くのもおかしいが、携帯電話のコンテンツ業界では、スマートフォンへの普及にいかに対応していくかが重要な課題となっている。特に、着うたやゲーム、占いなどをフィーチャフォンで提供して一定の収益を上げてきた上場コンテンツプロバイダの中には、スマートフォンにうまく対応できずに業績を悪化させているケースが増えている。 もちろん、ソーシャルゲームもその例外ではない。新作のソーシャルゲームをリリースする場合、スマートフォンへの対応が必須になりつつある。今回のSocialGameInfoでは、これまで取り上げたMobageとGREEのソーシャルゲームの新作の紹介記事をもとに、ソーシャルゲームの新作タイトル数の推移をプラットフォーム別・デバイス別に集計してまとめた。今回の記事は過去1年間の推移をみていきたい。 使っている数字は、あくまで当サイトで集計したものなので、プラットフォーマーの公開する公式統計ではないが、新作タイトルについてはおそらく80%程度は捕捉できていると考えている。スマートフォンとフィーチャフォンで同時にリリースしたものは、それぞれ1タイトルずつ、合計2タイトルリリースされたとして集計している。ミニゲームや診断系アプリは原則、集計対象としていない。  

全体の動向

まず、「GREE」と「Mobage」でリリースされたタイトル数の推移を見ていこう。2011年3月から2012年2月までの期間、GREEとMobageでリリースされた新規ソーシャルゲームの数は、1871タイトルだった。このうち、Mobageが970、GREEが901タイトルであった。デバイス別では、フィーチャフォン1235タイトル、スマートフォン636タイトルで、スマートフォンの比率は34.0%となっている。 2011年3月以降の推移を見ていこう、2011年は、東日本大震災の影響もあって、新規のリリースタイトルが非常に少なかったものの、4月以降、月間100タイトルを超えて推移し、2011年12月には合計200タイトルを超えるまでになった。年明け後も月間150タイトル超の水準と堅調に推移している。   次にデバイス別のリリースタイトル数の推移を見ていくことにしよう。2011年8月まではフィーチャフォンでのリリースが主流であったが、スマートフォンの普及に伴い、徐々にスマートフォンでのリリースもしくはフィーチャフォンからの移植が進められるようになってきた。2011年12月にはスマートフォンの新規タイトル数は、フィーチャフォンのそれとほぼ同水準となり、2月には上回った。以下、プラットフォーム別の状況を見ていきたい。    

Mobageの動向

「Mobage」における新規リリースタイトル数をみていこう。まず、デバイス別の状況を見ていくと、フィーチャフォンが637タイトル、スマートフォンが333タイトルだった。全体に対するスマートフォンの比率は34.3%だった。 2011年3月以降の推移は以下のグラフのようになっている。デバイス別に表記している。3月のタイトル数は、フィーチャフォン25タイトル、スマートフォン3タイトルだったが、翌月には44タイトルに拡大し、その後順調に伸び、2011年12月には110タイトルとなった。デバイス別では、フィーチャフォンのタイトル数が徐々に減少する一方、スマートフォンでのリリース数は右肩上がりで伸び、フィーチャフォンとスマートフォンがほぼ同数となった。    

 GREEの動向

次に「GREE」における新規リリースタイトル数を見ていこう。まず、2011年3月から2012年2月までのリリースタイトル数は、フィーチャフォンが598タイトル、スマートフォンが303タイトルとなり、スマートフォンの比率が33.6%だった。 2011年3月以降の推移は以下のようになった。3月は震災の影響で37タイトルとなったものの、4月は68タイトルとなり、それ以後、順調に伸びた。2011年には107タイトルとなった。デバイス別の状況を見ると、「Mobage」とほぼ同じく、フィーチャフォンが漸減となる一方、スマートフォンでのリリースが急速に増えており、2012年2月にはスマートフォンのタイトル数がフィーチャフォンを上回った。スマートフォンのリリース数はMobageに比べて変動が大きいが、その理由はよくわからない。  

まとめ

以上、当サイトに掲載されたリリース記事を集計し、MobageとGREEにおけるリリースタイトルの状況を見てきた。まず、MobageとGREEでリリースされるタイトル数自体は震災後である3月と4月は減少したものの、150タイトル前後で推移しており、あまり変化していないことがわかった。また、デバイス別では、スマートフォンの普及に伴い、フィーチャフォン単体でのリリースが減る一方、スマートフォンのリリースタイトルが増えていることもわかった。今後もその比率は上がっていくものと見られる。 ただ、このリリースペースを維持できるかどうかは疑問で、リリースタイトル数が減っていく可能性もあると懸念している。SAPの寡占化の議論とも関連するが、ソーシャルゲームの開発規模の大型化に伴い、新作リリースまでにかかる期間が長期化するとともに、技術者不足も相まって、開発コストが大きくなっている。カードゲームや恋愛ゲームなどの開発をサポートするシステムなどが出ているものの、以前のようにハイペースで出していけるのだろうか。かつてコンシューマーゲームやオンラインゲームの辿った道だ。 もうひとつは、マイナス要因ともいえないが、SAPとユーザー双方にとって、スマートフォンのネイティブアプリの魅力が高まってきたことも無視できないだろう。アドウェイズ「カイブツクロニクル」のヒット以後、ネイティブアプリでブラウザソーシャルゲームをリリースする際、GREEやMobageなどのプラットフォームと連携させなくても、ユーザーを獲得できるという認識が広がっている。あるヒットアプリを手がけるプロデューサーは、「ネイティブアプリとしてソーシャルゲームをリリースする場合、SNSとの連携はむしろ障害でさえある」などと話してくれた。 KLabは、「真・戦国バスター」のブラウザアプリ版については「Mobage」で提供する一方、ネイティブアプリ版はMobageとは連携させていない。また、アプリボットも同様に、「不良道~ギャングロード~」については、単独でネイティブアプリ版をリリースした後、ブラウザアプリ版を「Mobage」で提供している。SAPによって、こうした使い分けが行われているため、プラス要因に働いてくる可能性もあるが、ネイティブアプリ一本にするケースも少なからず見られる。影響は未知数だ。
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る
グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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