KLabの3Q決算は前四半期比で減収減益…4Qは来期の飛躍に向けた投資期間に

KLab<3656>が第3四半期の決算発表を行った。第3四半期までの累計は、売上高116億2500万円(前年同期比243%増)、営業利益27億3100万円(同644%増)、経常利益27億3700万円(同653%増)、四半期純利益15億9400万円(同701%増)だったが、今回、決算説明会資料が開示されたので、それをもとにまとめてみたい。 第3四半期会計期間(2012年3~5月期)では、売上高39億8300万円(前年同期比290%増)、営業利益6億2200万円(同293%増)、経常利益6億2800万円(同297%増)、四半期純利益3億7000万円(同310%増)だった。 前年同期比では大幅な伸びとなったものの、前四半期との比較(QonQ)では売上高2%減、営業利益44%減、経常利益43%減、四半期純利益42%減となった。さらに、発表していた計画との対比でも、各利益が30%のマイナスとなる着地だった。      

既存のオリジナルタイトルが落ち込み、TVCMも響く

QonQでの伸び悩みの要因として、会社側は、新作タイトルの投入ペースが鈍化したことに加え、既存のオリジナルタイトルの落ち込みが大きかったこと、計画になかったテレビCMなど広告宣伝活動(2億円)を行ったことなどがあると説明している。     さらに、外注費が45.8%増、給与手当が46.9%が増加した。ソーシャルゲームの開発規模が大型化するとともに、カードゲームでもクオリティの高いイラストを使用するようになり、イラスト関係の外注費が高騰しているようだ。これは以前、ある外資系証券のセミナーで話したが、イラストの外注費の高騰については、複数のSAPから同様の声が出ている。    

第4四半期は前年比でも減益に

2012年8月通期では、売上高152億6700万円(前期比169.5%増)、営業利益28億6800万円(同198.2%増)、経常利益28億7700万円(同202.5%増)、当期純利益16億7500万円(同204.6%増)を見込む。 また、第4四半期会計期間(2012年6~8月期)は、売上高36億4200万円、営業利益1億3700万円、経常利益1億4000万円、四半期純利益8100万円を見込む。前四半期だけでなく、前年同期比でもマイナスとなる見通し。    

減益要因は新作開発の遅延や新作の開発費を先行計上するため

資本市場関係者から深刻に受け止められそうなのが、売上の落ち込みだ。会社側では、オリジナルのブラウザゲームの低下や6社協議会のガイドライン対応による売上の低下、新作開発への遅延、幽遊白書のリリース時期が8月になったことなどをあげている。 費用面については、ネイティブアプリ用ゲームエンジンや来期1~3Qのサービスイン予定の開発費の費用計上、テレビCM、世界的なIP獲得など世界展開による販管費の増加などがある、としている。特にIPの調達費については一部権利元が競争入札制を採用するなど上がっているという話も聞く。     ちなみに、第4四半期中には、「真・三国志バスター」のiPhoneアプリ版、「真・戦国バスター」のAndroid版、「幽☆遊☆白書」、「Lord of The Dragons」をリリースする計画。  

2013年8月期1Qは過去最高の売上を計画

2013年8月期の第1四半期には、売上高43億円と四半期ベースでは過去最高になる計画としている。「幽☆遊☆白書などの新作が収益に貢献するとともに、第1四半期初期からの新作ラッシュ、ガイドライン対応の完了でブラウザゲームの売上が戻ることを想定している。いわば第4四半期は、2013年8月期に向けた投資期間になるという位置づけだ。     国内ソーシャルゲーム市場については、ここにきて急速に成熟化しつつあるという指摘が強くなっている。成長戦略の考え方として、(1)マーケットの拡大とともに自社の売上を拡大する、(2)他社から市場シェアを奪うことで収益を伸ばす、という2つの考え方があるが、マーケットの状況認識からしてKLabも(2)のIPを活用して他社からシェアを奪うという方向に舵を切るようだ。 クルーズが決算説明会資料で記載しているように、「幽☆遊☆白書」の発行部数や他の人気IPタイトルの運営状況、ゲーム化した際の売上などを示しながら、本作もヒットが期待できるといった紹介の仕方をすると、より説得力が出てくるのではないかと思われる。 もうひとつ注目すべき点として、海外向けのソーシャルゲームへの取り組みがあるだろう。2013年8月期の第1四半期で12本のタイトルをグローバル向けにリリースする予定。箱庭系ゲーム用のエンジン「KLab Game Engine for 2D Games 」を開発しているとのことで、日本のいわゆる「メニュードリブン」とよばれるソーシャルゲーム以外のコンテンツもリリースしていくようだ。    

KLabの株価は割安か

このほか、株価についても言及されている。決算説明会資料で自社の株価が割安と記載する例はあまり見たことがないが、最近増えているのだろうか。株価は「市場が決めるもの」としつつ、自社株買いなどで市場に適宜メッセージを発信するというスタンスの会社が多いように思われる。 株価に言及することの是非はさておき、2012年8月期予想のPER(株価収益率)でKLabの株式は割安とのことだが、エイチーム、モブキャスト、ガンホー、カプコン、スクエニは比較対象として妥当なのだろうか、という疑問が出てくる。表の意味もよくわからなかったが…。 ソーシャルゲーム関連という枠組みで見た時、ドリコムやボルテージ、クルーズ、アクセルマークなどの会社が出てこないのは不自然だし、これらと比較するほうが妥当と思われる。四季報ベースの予想PERでは、ドリコムが7.9倍、ボルテージが8.8倍、クルーズが6.1倍、アクセルマークが5.8倍。これに対するKLabは8.6倍であり、とりたてて割安という印象を受けない。     © KLab Inc.
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高238億9500万円、営業損益11億500万円の赤字、経常損益10億2800万円の赤字、最終損益34億6800万円の赤字(2021年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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