【インタビュー】学生たちの視座を上げ、世界と戦えるように――「次世代共創プロジェクト」を立ち上げたコロプラ・緒方仁暁氏が描く未来


コロプラ<3668>は先日、学生共創型インターンシップとして「次世代共創プロジェクト」を立ち上げた。

これは同社が注力する最新技術や知識について学生が学べる機会を用意し、コロプラ社員とともに新たなサービスをつくり出す機会を設けるためのプロジェクト。従来のインターンシップよりも実践的なコンテンツがあり、希望する職種に合わせて選択することが可能だ。

「次世代共創プロジェクト」を立ち上げた理由はどこにあるのか、そして現在の学生がどんな視点を持ち、どう育てていくのかをコロプラの「次世代共創プロジェクト」責任者・緒方仁暁氏にインタビューを行ってきた。

 

■インターンシップは本来、学生が主役となる場所


――:本日はコロプラが取り組んでいるインターンシップ「次世代共創プロジェクト」についてお伺いできればと思いますが、まずは緒方さんが現在携わっている業務について教えてもらえますか。

コロプラの新卒採用責任者を務めています。僕が入社したころのコロプラは従業員数が200名に満たない企業でしたが、約800名を抱える現在の規模に至るまでずっと担当しています。今はまったく違う領域で投資事業や、新規事業の準備なども始めているところです。


――:肩書には「次世代部」とありますが、これは採用面を取り仕切る部署なのですか。
 
そうです。主に新卒社員の採用から配属までをしっかりとサポートする部署です。それに加え、次代を担う若者への支援を目的に、様々なアイディアを出しながら新たな活動を仕掛けています。また、学生起業家に対する支援活動も行っています。
 


――:「次世代共創プロジェクト」が立ち上がったのも次世代部の活動の一環だと思いますが、どんなきっかけがあって取り組むことになったのでしょうか。

コロプラの新卒採用を強化し始めてから、インターンシップを2回ほど実施しました。
 
インターンシップ自体は成功だったのですが、だんだん僕たちの中に違和感が芽生え始めたのです。本当に学生がやりたいことを理解できているのか、学生と一緒になって仕事ができているのか。そう考えると、その時実施していたインターンシップは「一方的だな」と感じるようになったんです。

インターンシップは本来、学生が主役となり学びを得る場であるべきなのです。そういった流れから、僕たちコロプラと学生さんとで一緒にインターンシップを作り上げたいという思いを込めて「次世代共創プロジェクト」を立ち上げました。



――:コンテンツを見てみるとハッカソン、リアルワーク、カレッジ、オンラインサロンがありますね。

ハッカソンは何かを生み出す場を提供するとともに、プロから「ものづくり」を学ぶ機会も作ります。リアルワークは実際の仕事現場を体感でき、仕事に対する姿勢や活動実績について社員からフィードバックを受けることができます。またカレッジは、学校では学ぶことが難しい業務の細かいやり方、考え方を講義形式でお教えします。そしてオンラインサロンは遠方などの距離的な事情やスケジュールの都合で、参加できない人たちに情報を発信するツールです。
 
【「次世代共創プロジェクト」 概要】
■期間:2016年6月21日~2016年12月末※予定
 
■場所:コロプラ本社
 (東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー11F)
 
■対象者:2018年以降卒業・修了予定の大学生、 大学院生、 専門学校生、 高専生
※大学1年生、 2年生の参加も積極的に受け入れています
 
■職種:エンジニア・デザイナー・プランナー・総合職
 
■コンテンツ:
1. ハッカソン
用意されたお題のもとグループを組み、 限られた期間の中でVR技術を用いた新サービスの提案や、ゲーム制作をしていただきます。
 
2. リアルワーク
コロプラ社内で実際に働いていただき、 リアルな現場を肌で体感していただきます。 メンターとなるコロプラ社員が、 参加者の仕事に対する姿勢や活動実績をフィードバックいたします。
 
3. カレッジ
VR、 Unity、 インフラ、 ビッグデータ分析、 キャラクターデザイン、 グローバル展開、 M&Aなど、 最新の技術や開発事例を講義形式で学んでいただきます。 「学び」に主体を置いた場で、 コロプラの現場社員の活きたノウハウに触れていただきます。
 
4. オンラインサロン
第一線で活躍するコロプラ社員が、 エンジニア/デザイナー/プランナーを目指す方、 総合職を目指す方、 それぞれに向けてお役立ち情報を定期的に配信します。 各イベントのリポート等もお送りすることで、 遠方にいらっしゃる学生の方々にも学ぶ機会を提供いたします。

【2015年度インターンシップの様子】





――:現状、募集はどこまで進んでいますか。

ハッカソンやカレッジは、特に応募が好調で学生さんの興味・関心の高さを感じます。この「次世代共創プロジェクト」において僕たちが最も重要だと思っているのは、学生であれば学年を問わず積極的に参加を受け入れている点です。大学1年生のうちにプロから仕事のエッセンスを得ておけば、その後の学生生活がまったく違うものになると考えています。


――:これまでの期間で実際に何かアクションを起こしているのでしょうか。

7月にプランナー向けのカレッジを開催し、学生さん50名が集まりました。「ゲームクリエイターになろう!」と題したこの講義では、弊社の浅井P(『白猫プロジェクト』プロデューサー)から学生時代の話、開発現場のリアルな温度感について、ゲーム開発に対する想いや考え方などをお話ししました。座談会形式で行われたこともあり、希望する職種を問わず、参加した学生さんからはたくさんの質問が出て活発な意見交換がなされていました。「また参加したい」といった声も多数いただいています。
 

▲浅井氏が登壇したカレッジの様子


――:ではこれからもさまざまなスタッフが講義を行うかもしれませんね。

そうですね。今後は、浅井Pだけでなくコロプラのほかのスタッフも巻き込んで、学生が明日から使えるスキルを教える場を設けたいと思っています。それはプロデューサーやデザイナー、エンジニアといった職種にとどまらず、ビジネス職や総合職を希望する人にとっても良い経験になるはずです。

また、コロプラではグループ会社を通じて、学生企業家やVRに注力する国内外企業へ積極的に投資を行っていることもあり、投資やマーケットの現状などをテーマとして語ることも検討しています。せっかくやるなら、社会人が受けても面白いと思える魅力的な講義にしたいと思います。



――:とはいっても、現状参加される方の志望職種はエンジニアなど現場職が中心なんですよね。

何かを作りたい、もしくは実際に何かを作っている人が現状多いですね。ですが、さまざまな人に来てほしいですし、ビジネスの最先端を目指している人も大歓迎です。コロプラはゲームを中心としたエンターテインメントを生み出していますが、現時点でエンターテインメントに興味がなくてもいいんです。むしろ、そういう人こそ全然知らない世界が見えるはずです。

 


――:コロプラに限らず、「次世代共創プロジェクト」はゲーム業界全体の入り口になりそうですね。

おっしゃる通りです。僕らがやりたいことは、エンターテインメント業界の魅力に気づいてもらい、マーケットを盛り上げていくことなんです。将来の選択肢のひとつとしてエンターテインメントがあるということを多くの学生の方に知ってほしいのです。そしてこのプロジェクトが、業界の技術力向上の一助となれたら嬉しいです。コロプラに入りたいと思ってくださる人はもちろん大歓迎ですが、コロプラ以外でエンターテインメントに携わる職業を目指す人も積極的に応援していきます。


――:入り口という意味では、オンラインサロンの存在も大きいと思います。

オンラインサロンに関してはコロプラ社員が発信する情報以外にも、少し目線を変えて、社員が日常的に収集している情報を紹介する機会を作っても面白いと思っています。ときにはゲームとはまったく関係のないニュースが混ざっているかもしれませんが、コロプラ発のキュレーションメディアにできたら、より幅広い人々にアプローチできるのではと考えています。


――:現状は浅井さんのカレッジだけですが、参加するとどんなメリットがあると考えていますか。(7月11日取材時点)

一番は新しい価値観の発見ですね。学生内で研究や制作をやっていると思いますが、そこにプロの仕事のエッセンスを少し入れるだけでまったく違うものになるんです。すると価値観が変わり、成長の角度も一気に変わります。これにより新しい選択肢も生まれるのです。将来的にはコロプラの「次世代共創プロジェクト」がきっかけでエンターテインメント業界に入った」という人が生まれてくれたら嬉しいですね。

 

■参加するとしないでは人生がまったく違うものに

 
――:緒方さんとしては、今後に向けた課題は見えてきましたか。

まだ始めて間もないですが、学生さんからのポジティブな反応や声を聞くと「次世代共創プロジェクト」をスタートできてよかったと改めて思います。それと同時に、このプロジェクトをより多くの方に伝えていかなければ、と気持ちを新たにしました。また、先日のカレッジを見ていて、インターンシップへの熱の入り方が例年以上であるということを実感したので、今後はカレッジ、リアルワーク、ハッカソンのいずれも期待以上のものを提供していかなければならないと強く感じました。


――:最近の学生の就職動向を見て、変化は感じられますか。

変わりましたね。特にすごいと思うのが、自分たちで情報を発信する機会が多い世代になってきたという点です。SNSで情報を発信するのはもちろん、ゲームを作って表現する人も非常に多く、「自分の力で変えてやる」という熱意を感じます。また「世界」という言葉が近い世代でもあります。「世界中の人に見てもらいたい」とモチベーションを高く持ち、ギラついている人が多いですね。
 
反対にネガティブなところもあって、情報の真偽を自ら深く掘り下げることなく、一度見聞きしただけで物事のよしあしを判断する学生も見受けられます。単純に規模の大きな企業に行きたい、知名度の高い企業に行きたいと話す人が多く、就職することが目的になってしまっていると感じます。



――:緒方さん個人としては、やはりギラついている人は大歓迎ですよね。

ビジネスでもなんでも、自分の欲を表現できるのは強いと思います。情報収集の仕方も僕たちの世代とは全然違って、普通の生活を送っているだけで自動的に情報が入ってくるといっても過言ではありません。だからこそ、情報の処理の仕方も上手いです。情報が多すぎるせいで、真偽を見極めることが少し苦手かもしれませんが、全体的に優秀だと思います。


――:実際にコロプラで採用を見ていても、そういった学生は多いですか。

もちろん来ています。世代の違いもあるためか、僕たちには想像もできない野心を持っていてコロプラにとっても大きな価値になると思います。「次世代共創プロジェクト」を通して、そういった学生さんたちがさらに集まってくれたら嬉しいですね。

いろいろな職種を希望する人がそれぞれの野心を持って同じ場所に集まるんだから、絶対に面白くなるはずです。全員がコロプラに入社するわけではなくバラバラになったとしても、そこで一度繋がったことは彼らにとっても財産になります。この業界に興味がある人はもちろん、同じ志を持つ仲間がほしい人にもぜひ参加してほしいです。



――:では、今後の「次世代共創プロジェクト」の展望についても教えてもらえますか。

まずは夏だけでなく、秋・冬と就職活動が本格的に始まるギリギリまで学びの場を提供し続けていく予定です。この取り組みを通して、次代を担う学生に数多くのスポットライトを当てていきたいです。
 
普通に生活を送っていたら埋もれてしまう若者でも、コロプラをきっかけに開花してもらえたら嬉しいです。それに、エンターテインメントの本質、ビジネスの本質を伝えることができれば、大学に通うだけでは得られない面白い学びが得られるでしょうし、キャリアデザインにも繋がると思うんです。
 
そして、学生さん一人ひとりの視座を高くしてあげることも目標です。今見えている世界を一段でも二段でも高くして、世界を相手にしてほしいと思っています。僕は学生さんにもっと大きなことを成し遂げて欲しいですし、これが成功すれば業界もさらに面白くなるのではないでしょうか。

 


――:参加する方々へのメッセージがあればお願いします。

この「次世代共創プロジェクト」は、コロプラが学生の皆さんにプレゼントをする場ですので、ぜひ利用してもらいたいですね。参加するとしないでは、人生がまったく違うものになると自信を持って言えます。まずは気軽に参加していただければと思います。


――:ありがとうございました。
 
(取材・構成:編集部  原孝則)
(文:ライター  ユマ)


■次世代共創プロジェクト
 

公式サイト


 
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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