KADOKAWA、2Q(4~9月)は売上高2%減ながら営業益は22%増で過去最高に 緊急事態宣言解除後も電子書籍やゲームなどコンテンツに根強い需要

KADOKAWA<9468>は、10月29日、2021年3月期の第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表、売上高975億5300万円(前年同期比2.9%減)、営業利益78億4700万円(同22.8%増)、経常利益81億4000万円(同19.6%増)、最終利益52億600万円(同16.1%減)となった。

緊急事態宣言解除後もコンテンツに根強い需要が継続し、電子書籍やゲーム、教育が好調に推移した。また第1四半期は苦戦した映像も第2四半期は回復傾向となった。なお、営業利益は半期ベースで過去最高を更新している。
 

主なセグメントごとの状況は以下の通り。

①出版事業…売上高601億2900万円(前年同期比7.0%増)、営業利益46億8000万円(同41.5%増)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、第1四半期に都市部の書店の 営業自粛による影響があったものの、「ダンジョン飯 (9)」(コミックス)、「ソードアート・オンライン (24) ユナイタルリングIII」(ライトノベル)、「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之統」「青くて痛く て脆い」(一般文庫)、「あつまれ、どうぶつの森ザ・コンプリートガイド」「世界一美味しい手抜きごはん 最速! やる気のいらない100レシピ」(一般書)などの販売が好調に推移した。また、商品化・ゲーム化などの権利許諾も収益貢献した。

電子書籍・電子雑誌は、市場全体が伸長していることに加え、機動的なマーケティング施策により引き続き好調に推移し、第1四半期に続いて、第2四半期においても四半期ベースで過去最高の売上高を更新した。

なお、現在、埼玉県所沢市において、2022年3月期までの書籍製造・物流工場の稼働に向けて準備を進めている。すでに一部の文庫やライトノベル、新書、コミックは、デジタル印刷による小ロット・適時製造および適時配送を開始しているが、今後これらのさらなる拡充・強化を図っていく。これにより、返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に取り組んでいく。

②映像事業…売上高132億3200万円(同17.6%減)、営業利益8億4200万円(同52.1%減)
北米、中国に向けたアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」「デカダンス」「天晴爛漫!」「宇崎ちゃんは遊びたい!」などの海外権利許諾や国内配信収入に加え、「この素晴らしい 世界に祝福を!ファンタスティックデイズ」などの同社IPを活用し、他社が配信するオンラインゲームとのコラボレーションによる権利許諾が引き続き収益貢献した。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、第1四半期を中心に映画館の営業自粛や座席数の制限による映画配給やデジタル映画鑑賞券「ムビチケ」などへの影響が見られた。映像・音響制作を手掛けるスタジオ事業は、第1四半期に新型コロナウイルス感染症による減収影響を受けたものの、第2四半期には前年同期の水準まで回復した。

③ゲーム事業…売上高83億100万円(同9.6%増)、営業利益28億400万円(同48.5%増)
3月発売の『ポケモン不思議のダンジョン救助隊DX』のほか、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』『DARK SOULS』シリーズなどのリピート販売が引き続き好調に推移した。

④Webサービス事業…売上高108億6100万円(同17.5%減)、営業利益12億900万円(同24.0%減)
動画配信サービス「ニコニコ動画」の月額有料会員(プレミアム会員)は、9月末には159万人となり、3月末の163万人からは減少した。動画・生放送ブログなどを配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」の有料会員数は9月末には124万人となり、3月末の117万人から、引き続き堅調に増加している。

4月開催の「ニコニコ超会議」および8月開催の世界最大のアニソンライブ「Animelo Summer Live」は、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえリアルイベントとしての開催を見送ったが、インターネット上に特化した「ニコニコネット超会議2020」(ネット来場者数1638万1426人)および「ニコニコネット超会議2020夏」(ネット来場者数1773万8806人)、「Animelo Summer Night in Billboard Live」を開催し、好評を博した。ネットによる開催としたことにより、前年に比べて売上は減少し、リアルイベント中止に伴う費用は発生したものの、Webサービス事業全体の収益性は維持した。

⑤その他事業…売上高85億2700万円(同10.1%減)、営業損益14億5700万円の赤字(前年同期11億6700万円の赤字)
MD事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、アイドルCDの発売延期などにより減収となった。一方、教育事業においては、クリエイティブ分野に特化した高等教育の運営を行うバンタン、インターネットによる通信制高校であるN高等学校等など教育コンテンツの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。

■未定としていた通期見通しを発表
なお、2021年3月期通期の連結業績予想は、これまで新型コロナウイルス感染症拡大による事業への影響に関して不確実性が高いことから未定としていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の終息時期は依然として不透明な状況が続いているものの、第2四半期期間における状況、今後も継続すると思われるコンテンツの需要増、書店や映画館における客足数減などによる出版・映画事業への影響など、現時点で予測される影響を踏まえた予想を発表した。

発表された通期予想は、売上高2080億円(前期比1.6%増)、営業利益105億円(同29.8%増)、経常利益110億円(同25.2%増)、最終利益73億円(同9.9%減)の見込み。
 

 
株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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