今回は、カービュー。ソフトバンクとマイクロソフトの合弁会社として上場した同社だが、現在ではマイクロソフトの持ち分はなくなり、ソフトバンクの連結子会社となっている。
「カービュー」や「みんなのカーライフ」に掲載する広告収益がベースとなっていたものの、上場後、国内の自動車販売台数の低迷もあって、収益は伸び悩んだ。そうしたなかで活路を見いだしたのが海外の輸出支援。海外向けの自動車情報サイト「Tragecarview」や「Paytrade」の運営で、海外での中古の日本車へのニーズの高さを背景に売り上げは好調に推移しているようだ。
そういえば、2007年秋頃、同業のプロトを取材したとき、国内自動車市場が伸び悩む中、なぜ業績好調なのかと聞いたことがある。ディーラーの中古車の買い取りから販売までサポートするサービスが伸びているため、という回答だった。新車登録台数が伸び悩むなど中古車の供給台数が減っている上、海外勢の日本の中古車へのニーズが高いため、国内に流通する中古車が減っており、在庫調達に苦労するディーラーが増えているとのことだった。
なお、カービューは、上場時、34億円の資金調達を行っているが、その後の同社のBSの推移を見ると、現金及び預金として常時、40億円程度の金額が計上されている。同社の目論見書では、「将来の事業拡大の投資に備えるため、具体的な資金需要が生じるまでは預金等により運用していく」と記載しており、その方針に基づいた運用となっている。確かに今資金需要があっても、公募増資でこれだけの集めるのは容易ではない。調達できるときにしてしまおうという考え方は正しいのだが。
カービュー(東証マザーズ 2155)・・・2007年6月12日(火)上場
「自動車総合サイト「カービュー」を運営」
カービューが6月12日、東証マザーズに上場する。
マイクロソフトとソフトバンクの合弁会社。自動車総合サイト「カービュー」のほか、自動車用SNSサイト「みんなのカーライフ」を運営している。
主力は、インターネット広告事業で、ユーザーの検索した単語に基づいて広告を表示するリスティング広告がメイン。中古買取事業者や中古販売事業者、新車販売事業者などを対象に顧客管理システム「eCRMシステム」の利用を通じ、「中古車査定仲介サービス」や「中古車掲載サービス」といった広告サービスを提供している。見積もり依頼提供数に応じてサービス利用料を徴収する。
いまひとつはメディア広告事業。自動車メーカーが主な顧客で、不特定多数のユーザーに対し、文字や静止画、動画などの形式で広告掲載を行う。掲載期間や掲載内容に応じて料金を受け取る。
主要顧客は、ソリッドグループホールディングスで、前期の9月中間での売上高に占める割合は10%ほど。
なお、上場で調達する手取概算金34億2000万円は、サービスの拡充や設備投資、事業者拡張費などに充てる方針。
〈会社概要〉
本社=東京都中央区晴海1-8-10
URL=http://www.carview.co.jp/
社長=松本基
設立=1996年9月
資本金=2億7440万円(2007年3月2日現在)
発行済株式数=2万9940株(上場時)
大株主=ソフトバンク1万7477株(59.56%)、マイクロソフト9296株(31.68%)、菊池三郎867株(2.95%)、松本基410株(1.40%)、金子昭一210株(0.72%)