ネクソン<3659>が11月8日、2013年度第3四半期(7~9月)の連結決算を発表した。7~9月の売上収益(売上高)は398億円と、前四半期(4~6月)に比べて32億円(9%)増、営業利益も同28億円(21%)増えるなど好調。ただgloopsなどを含む国内モバイル事業に目を向けると、4~6月に続き、売上高が前四半期比で減少した。決算内容についての疑問点を、ネクソンの企業広報チームリーダーであるグレゴリー・メルチャー氏に聞き、一問一答形式でまとめた。
「一般的に、モバイルはパズルなどカジュアルゲームが多く、MAUが重要なKPIだ。一気にアクティブユーザーが増えるが、いつ無くなってしまうかわからない。我々のモバイルゲームは『大戦乱!!三国志バトル』をはじめ、もう少しコアユーザー向けで、リリースされた1年後にアクティブユーザーがピークレベルをつけるなど、一般的なモバイルゲームより長期的に遊んで頂いている」
「確かにMAUだけ見ると下がったが、ARPPUと課金率は上がっており、ユーザー基盤は健全と考えている。ゲームを長く遊んでもらうためには、MAU、ARPPU、課金率の3つのKPIのバランスが重要だ」
「先に述べたように、モバイルの市場の変動は予想以上に激しい。我々は数の勝負ではなく、コンテンツの質を重視している。国内では年内にネイティブタイトルを5タイトル以上リリースする予定だ。たとえば『欧州クラブチームサッカーBEST☆ELEVEN+』のAndroid版のリリースを近く実施する。韓国でもグラフィックがPC並のオンラインRPG『Legion of Heroes』や、三国志モチーフでパズルジャンルの『Puzzle Three Kingdoms for Kakao』など5タイトル以上を配信予定、中国でも複数タイトルの配信を予定している」
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・決算説明資料
――7~9月期の売上高・営業利益が計画値を上ぶれた理由は?
「『アラド戦記』など既存タイトルが堅調で、韓国でも『FIFAオンライン3』が引き続き強かった。純利益が計画レンジの下限を下回っているが、為替換算の影響によるテクニカルな部分が理由だ。中国での『アラド戦記』の配信は、テンセント社を通じて実施しており、テンセントはロイヤリティ(権利使用料)をネクソン・コリア(韓国法人)にドル建てで支払っている。ネクソン・コリアでは会計時に韓国ウォンで換算するが、ドル安ウォン高が進んだため、為替差損が発生した。なお円安は業績全体の追い風となっている」――ここ数四半期、国内モバイルゲーム事業の減収が続いている。
「国内モバイル事業はネクソンの日本法人、gloops、インブルーなどを含んでおり、gloopsが半分以上を占めている。国内モバイル市場の変動は予想以上に激しく、ブラウザが伸び悩んでいる。もっとも、ネイティブ市場は確かに伸びているが、ブラウザ市場の成長が止まったわけではなく、ブラウザが引き続きモバイルゲーム市場の主流だと考えている。たとえばgloopsのブラウザ新作『スカイロック』は堅調だ。ネイティブでもブラウザでも、コンテンツが良ければ、市場がある。面白いコンテンツがこれから、どれだけ出せるかという問題だ。数より質を重視していく」▼日本における売上高の推移
――モバイルのKPIを公開してもらいたい。
「KPIの開示をどうするかは真剣に考えている。いまはクロスプラットフォームでの提供もあるため、どのように開示すべきかを迷っているところだ」「一般的に、モバイルはパズルなどカジュアルゲームが多く、MAUが重要なKPIだ。一気にアクティブユーザーが増えるが、いつ無くなってしまうかわからない。我々のモバイルゲームは『大戦乱!!三国志バトル』をはじめ、もう少しコアユーザー向けで、リリースされた1年後にアクティブユーザーがピークレベルをつけるなど、一般的なモバイルゲームより長期的に遊んで頂いている」
――モバイルにおけるネイティブとブラウザの売り上げ比率を知りたい。
「現時点では詳細は開示していないが、どちらかというとブラウザの方が多い。現在の市場はブラウザ市場のほうがまだまだ大きい。その大きな市場を捨ててネイティブに注力するというのは、ビジネス的に考えてナンセンスだ。ブラウザでリリースした作品が、ネイティブ版でも好調に推移した例もある」――中国事業に起因するMAUの低下が株式市場などで話題だ。
「全体のMAUが大きく低下したが、人口の多い中国事業の影響が大きい。中国事業は7~9月期、『アラド戦記』で大型のコンテンツのアップデートを実施した際、接続しにくいなどの不具合が発生した。また今回、長期的にゲームを遊んでもらうための定期メンテナンスの一環として、自動レベルアップなどチートツールを使っていたアカウントを大量に停止した。さらに今回のアップデートは、ゲーム内のレベルの高いユーザー層向けのアップデートだった。MAU低下はこの3点が重なった結果だと考えている」「確かにMAUだけ見ると下がったが、ARPPUと課金率は上がっており、ユーザー基盤は健全と考えている。ゲームを長く遊んでもらうためには、MAU、ARPPU、課金率の3つのKPIのバランスが重要だ」
▼ネクソン全体の主要KPIの推移(モバイル除く)
▼中国における売上高の推移
――4Q(10~12月)の業績計画で営業利益率が低下している。
「主要市場である中国と韓国の売上構成比の変化によるものだ。足元では中国よりマージン(利益率)の低い韓国の割合が増えている。中国はロイヤリティなのでほぼ100%利益になる。また『FIFAオンライン3』が好調でIPを保有するEA(エレクトロニック・アーツ)にロイヤリティを支払っている。今後の成長が期待できるDOTA2も他社IPゲームだ。地域構成の変化で4%、IPゲームの売上構成増加で4%、それぞれ営業利益率を圧迫する」
――4Qのモバイル事業は売上減を見込んでいる。
「先に述べたように、モバイルの市場の変動は予想以上に激しい。我々は数の勝負ではなく、コンテンツの質を重視している。国内では年内にネイティブタイトルを5タイトル以上リリースする予定だ。たとえば『欧州クラブチームサッカーBEST☆ELEVEN+』のAndroid版のリリースを近く実施する。韓国でもグラフィックがPC並のオンラインRPG『Legion of Heroes』や、三国志モチーフでパズルジャンルの『Puzzle Three Kingdoms for Kakao』など5タイトル以上を配信予定、中国でも複数タイトルの配信を予定している」▼日本と韓国における10~12月のモバイル事業の見通し
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・決算説明資料
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659